『家族の灯り』についての映画評論や見所解説します!!
こんにちは。作曲家のShota Nagasakiです。
体調不良によりブログの更新が遅れまして申し訳御座いません。。
でももう万全ですので書いていこうと思います!
先ず、この監督について少し説明しようかと思います。
このマノエル・ド・オリヴェイラ監督はポルトガル出身で2015年に106歳で亡くなるまで現役最高年齢の映画監督でした。
1908年生ですので、第一次世界大戦や、第二次世界大戦を経て人間の光や闇を照らし出した繊細な作風が魅力的な監督です。
そして珍しい事にこの監督は23歳に監督になったのですが、定期的に作品を作るようになったのは幾度かの長い監督業休眠期間を経て60歳を過ぎてからなんです。笑
63歳の時に撮った『過去と現在 昔の恋、今の恋』で世界的に評価されるようになり、70歳以降から一年一作に近い凄いペースで作品を撮って行くようになりました。
凄いですね。。オリヴェイラ監督にとっては60歳が普通の人間の脂の乗った30代で70以降からは40代みたいなものなのですかね?笑
ともあれ大器晩成型の典型的な映画監督です。
そんなオリヴェイラ監督はヴィネツィア、カンヌ、ベルリン国際映画祭などで多くの賞を獲っております。
有名な作品は
・『神曲』
・『世界の始まりへの旅』
・『アンジェリカの微笑み』
・『アブラハム渓谷』
などです。
監督の説明はここまでにして、映画評論を始めていきたいと思います!!
『家族の灯り』
この作品はとても奥深い作品なので、中々こう言う映画がとっつきにくいと思う方居るかと思います。しかし、この様な作品は鑑賞者側が壁を作っているだけなので、観ようとちゃんと向き合えばスルメの様にじっくりじっくり味が染み出て、ウイスキーの様な味わい深さを感じる事が出来ます。では書いて行きたいと思います。
あらすじ
舞台はヨーロッパの港町。困窮に苦しみ、日々に苦悩を抱くある家族は8年前に失踪した息子を待っている。その真実を知らない妻ドロテイア(クラウディア・カルディナーレ)に夫ジェボ(マイケル・ロンズデール)と義理の娘ソフィア(レオノール・シルヴェイラ)は息子ジョアン(リカルド・トレパ)が失踪した事を隠し続ける。そんな時失踪したジョアンが突然帰る
本作のテーマについて評論
僕はこれを書くために4回鑑賞しました。(笑)
常々思うのですが、良い作家は人間をよく見ているんです。感情の細かな動き、喜怒哀楽では表現できない感情などをよく観察しているし、一つ一つ意味を持って生成しています。勿論、映画以外でも様々な分野に於いてそれは共通しています。
この映画は人間の心を殺す困窮を主軸テーマに絶望や苦痛、苦悩を徹底的に見せる事により、その対極にある愛や希望を垣間見せます。
人は心の中で思っている事を100パーセント現実世界に表出させて、声に出す事は出来ないと思いますし、そんな心の叫びも時間に、日々に流されてしまいますよね。
人は絶望に、苦悩に、困窮に、不安に心を苛まれています。そして希望を、喜びを、幸せを、待ち望みます。でもそんな日々を淡々と繰り返している人間心の中に誰しも生活や日々に埋もれてしまっているけど、愛や希望。それは淡くても、濃くても、元々必ず存在してるよって、心の中に静かに囁いてくる映画です。
家族の灯りの設定や見所!
この映画はほぼ全編通して家の中での会話がメインとなる映画です。自分は観ている内に絵画や舞台演劇の様に見えてきて『あれ?これ映画だよね?ああ、映画か』と入り込むとこんな様になりますが、(流石に入り混みすぎですね(笑))
そうなる理由は、ワンカットワンシーンの長回しのカメラワークの多用と、映像には何処かに必ず灯りがあって視覚的なメタファーも織り込んでいるのが理由だとは思います。
この視覚的なメタファーとは灯りは希望として、家の中の影を照らす存在としての役割を担っているからです。
会話の中に影と言うセリフがよく出て来ますので、その際に光はどうなっているのかを観るのも面白いかと思います。
そして、この家の中だけ!という閉鎖的な舞台の中だからこそ、人と人との会話を通して人間の心理をこれでもかと表現できる様になっているのだと思います。
そして、映画史に残る名女優、名俳優にも注目してみてください。
知っている人は知っているフランスの名女優が作品中盤に現れます。
さいごに
マノエル・ド、・オリヴェイラ監督の103歳にして創り上げた名作。皆様も鑑賞してみてくださいね。
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次回はアラン・レネ監督の『二十四時間の情事』
原題ヒロシマモナムールについて書いて行こうと思っています。