昨年、同僚を亡くしました。
彼女が新採用だった頃、初めて一緒にクラスを担任しました。
その数年後にも、もう一度同じクラスを受け持ちました。
その後異動などもあり、長く離れていましたが、昨年度、20年ぶりくらいに同じ園で働くことになりました。
けれど、その年度途中に、彼女とのお別れが待っていました。
突然命を終えてしまいました。
そして今年。
彼女の命日が近づいていた頃、私は年長児の水遊びで楽しめそうな遊びを探していました。
動画を見ていて、金魚すくいの「ポイ」を頭につけて、水鉄砲で狙う遊びを見つけました。
「これ、子どもたち喜びそうだな」
そう思ったのですが、ポイは使い捨て。
子どもたちの人数分となるとかなりの数になるので、園で購入してもらうのは難しいだろうし、自分で買うのもちょっとためらわれて。
「面白そうだけど、今回はやめておこう」
そう思っていたんです。
ところが、ある日出勤すると、園長先生が箱を持ってきました。
「こんな金魚のポイ、使わないよね?」
見ると、100個入りの、まだ開けてもいない箱。
私は思わず、
「えっ……私、欲しかったんです!」
と、声を上げてしまいました。
すると園長先生が教えてくれました。
前日、彼女の命日が近いということで、ご自宅へお線香をあげに伺ったそうです。
そのとき、お母様が遺品を整理していて、保育に使えそうなものが出てきたので、「園で使ってもらえたら」と渡してくださったのだとか。
その中に、この金魚のポイがありました。
不思議でした。
金魚のポイなんて、普段そうそう誰かからいただくものではありません。
まして、私がほんの少し前に「これがあったら子どもたちと遊べるのに」と思っていたものが、彼女の遺したものとして、まさにそのタイミングで私のところへやってきた。
偶然と言ってしまえば、それまでなのかもしれません。
でも私は、なんとなく彼女から届いたような気がしてしまいました。
私は先日、お墓参りに行ってきました。
手を合わせながら、
「今年は年長さんと、これで遊ばせてもらうね」
と、心の中で話しかけました。
20年ぶりくらいにまた同じ園で過ごした時間。
そして、その翌年に彼女が遺してくれたものが、今度は子どもたちの笑顔につながっていく。
そう思うと、なんだか胸がいっぱいになります。
この夏、子どもたちの頭に金魚のポイが乗って、水鉄砲を持って走り回る姿を見たら、きっと私は彼女のことを思い出すでしょう。
「先生、子どもたちと使ってね」
そんなふうに、彼女がそっと届けてくれたような気がして。
ありがとう。
大切に使わせてもらうね。



