一万円選書の岩田書店

岩田 徹さんの講演会。




鳥取市立図書館会館40周年の記念講演
ということもあり
図書館、書店
司書の方が
本を手渡していく
役割の大きさを再考する講演でもありました。


岩田さんが登壇された瞬間
ずっと本を読んでこられた方の在り方に
本の力
本を読むということの凄みに圧倒されます.

テレビやお写真で何度も拝見していましたが
もう
それでは伝わりきらない知性溢れる方でした。

その知性のグラデーションは
誠実さや強さ
思いやり深さ、包容力に
飾らない人柄、ユーモア‥‥。
言葉が尽きません。

物語は、こんなに人を磨くことに
なんて本の世界は素晴らしいのだろうと
思うのです。



「終わらざる夏」
という本も紹介して下さいました。



玉音放送のあった終戦後も
北海道では戦争を続けたこと。

それは
缶詰工場で働く娘達をソ連兵から護るために。
娘達が無事船出したと確認して
すぐに降伏します。

ソ連兵が上陸すると
日本兵達はシベリアに抑留されます。

岩田さんのお父様も
四年間もの間抑留されたそうです。

地図を使って
北海道の方が悲壮な時代に経験したことを
話してくださいました。

思春期には
家を出たいと思うほど反抗されましたが
お父様が炭坑夫から本屋になったことが
「この事実を知って
 全てがつながったんです」
と。


お孫さんの
「じいちゃん、ロシア核打つの?」の言葉に

「子ども達は傷ついている
 悲惨な映像を日々見せられて」
と。


「僕はプーチンと同年代なんですよ」
その言葉に唖然とします。

「武器を増やし対抗するのではなく
 本で立ち向かうしかない。

 本は有効な武器になる。
 図書館、本屋の役割は大きな力」と。


私の中にも、そう思う気持ちがあるのに
自分で言い切ることができない言葉でした。

改めて
今まで出会ってきた
命を守るため
平和に向かうために
行動した本の主人公達をリアルに想い
出会い直しました。


武器ではない力で
立ち向かった人達の物語を読むことは
その人達の選択を知り
それが未来につながったことを知るということ。

流されないように
自分で考える力の芽になるはず。

世界中で
ルールではなくモラルを選んだ人達がいたから
助かった命があり
未来とつながったのだと
清水真砂子さんの本に視野を拡げてもらい

この日の岩田さんの言葉と
ぎゅっと、つながりました。

本にはそんな力がある
人が持つそんな力をつないでいくことで
立ち向かう力となる。
まだまだ知らない
読まなければならない本が沢山あります。


選書 
という選択肢を掲げてこられた岩田さんは
ずっと私の憧れで
一番星のように指針となってくださった方。


その岩田さんに会えるチャンスを
いただけたこと
一つでも岩田さんから学んで
貴重な一万円選書のカルテを
使わせていただきたいと思って
聴きに行きました。


後半に向かって
岩田さんの信念に触れて
自分の頭の中が
清水真砂子さんの言われる
「いい本は、人をかき混ぜる」の状態に。

本との出会いは人との出会いと同じ
の言葉そのもの。

岩田さんも
「10冊の本に出会うのは10人の賢者と
 出会うこと」とこの日も話されていました。



質疑応答で勇気を出して質問しました。

選書は個人へのもの、
というイメージだったのが
例えば
図書室
図書館
を通じて
個人に本が届く というルートも視野に入り
改めて難しさと可能性を感じていることへの
アドバイスをお願いしました。
心臓ばくばく冷や汗かきながら。

岩田さんは

「大切なのはね
 今読むべき本 を選び手渡していく

 10年前から本当の事を言っている
 10年生き残っている本物の本を
 探し出会っていくことも大切です。

 大胆に踏み込んでいってください」
と言ってくださいました。


他の方へのお答えも素晴らしく
その方にとって大切なことを
瞬時に伝えられるのは
凄い!
の言葉に尽きます。


一万円選書のカルテの意味の深さ

どうして、このカルテとなったのかを

聴かせていただけて

頭が整理されたと同時に

足がすくむ思いでもあります。

自分の小ささを思い知っています。



市職員さんも熱い方でした。
ご配慮くださって
岩田さんの控え室に急遽
連れて行ってくださいました。

目の前の岩田さんに
きゃーきゃー泣きそうです。

「整理できましたか?」
とにこやかに言葉をかけてくださいました。

岩田さんは
ずっと私の1番星。


              990円税込

この本の中でも

岩田さんおすすめの本と出会っていただけます。

絵本屋つきのあめから

お届けできます。



            1460円税込