今日は春ならではの絵本を。
「つくしだれのこ すぎなのこ」
わらべ歌のように耳の奥に残っている方も
いらっしゃるのでは？
その意味も ことん と胸に残る絵本です。
作者はNHKNスペでも放送された
甲斐信枝さん。
そのお人柄と才能を知ると
一層絵本が深く味わえます。
子どもの頃、お彼岸に つくしを摘むのが
楽しみでした。
自分達で摘んだものを
帰ってから料理して食卓を囲めると
子どもは誇らしいような気持ちで
嬉しいのです。
どんどん見かけなくなっていきますねぇ。
つくしをコンビニのレジ袋に入れて持つ
小さな手を愛おしむような
甲斐さんのまなざしを感じる中表紙から
始まり‥。
つくしのごちそうが並びます。
つくしの天ぷら
卵とじ
つくしごはん‥‥！
うちの家はもっぱら佃煮でした。
たんぽぽがちらほらの野道に探しに行きます。
見つけたつくしを摘むと
何故か根本からプツンと切れて
ねっこが出てこない。
一変して地面の断面図へと
つくしのねっこは
ほってもほっても きりがない
うねうね、どこまでも続くねっこ。
おや
地面の上では別々のつくしが
じめんのしたでは ねっこで なかよく
つながりあっている。
おやおや
つくしと おなじ ねっこから
はえている くさもある。
何の草か、わかりますか？
土の中から長いねっこを取り出してみると‥‥。
草の名前は すぎな です。
表紙の絵の左下に二本の草が
その姿。
ねっこの深いところに
ころん とした丸いものがいくつもあります。
食べるとおいものような たま は
つくしやすぎなを育てる栄養をためています。
たんぽぽは 時 が来たら
我が子を巣立たせるように
まんまるの綿毛を飛ばせます。
つくしは
摘みとるときに緑の粉が煙のように散ります。
はるかぜがふくと風に乗せます。
ふけ ふけ はるかぜ とべ とべ ぼうし
とおくの のはらで なかまをふやせ
ちかくの どてにも なかまをふやせ。
ほうしを飛ばし終わったつくしは
枯れていきます。
つくしにかわって
こんどは すぎなが のびはじめた
おひさまの ひかりをすいこみ
せっせと えいようをつくって ねっこに
おくりこむ。
夏も秋もすぎなは栄養を送り続け
やがてねっこからつくしを産み始めます‥‥！
知らなかったです‼︎
冬がきて
すぎなも枯れます。
土の中では
つくしの赤ちゃんが
たま や ねっこの栄養を
おっぱいを飲むようにして
大きくなっていきます。
雪が積もるころには
丸々太ったつくしの赤ちゃんが
少しでも暖かくなったら頭を出そうと
地面にぴったり頭をくっつけている絵が
かわいいです。
ほんのりピンクです。
はるが きた。
見開きページいっぱいに
力強く誇らしいそうに
はずかしそうに
頭を出すつくし に
まだ低く咲くたんぽぽに
すぎなも少し。
足の裏に土のやわらかいさを
感じますか？
じめんのしたで つながりあった
つくしとすぎなは なかよし かぞく。
「つくし だれのこ すぎなのこ」
心地よい言葉で物語が終わります。
先日、子育て終盤のママ達と読みあって
みんなで
「あ〜〜！」と
どこがで聞いていた
心地よい言葉の意味に合点がいきました。
是非、口にしてみて下さい。
近くにいる幼い子や
お父さんお母さんに
言葉の心地よさを聞かせてあげてください。
ねっこがつながるように
ねっこが元気に伸び続けるように。
甲斐信枝さんの
生命力あふれる絵に加え
あらゆるものを慈しむ言葉に
子育ての始まった頃も今も
きっとこれからも抱きしめられます。
今日の物語はこれでおしまいです。
たんぽぽは日々を語りあい
巣立ちの寂しさや安堵をも分かち合える
ご近所さん
仲間のようですね。
ごきげんよう。
さよなら あんころもち また きなこ♪
