イラン野球支援企画立ち上げ | 欧州野球狂の詩

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日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 近日中の来日が内定している、野球イラン代表のアミール・カーリグ・サケット投手(31)。10月5日に到着する方向性ですでに固まっており、いよいよ彼の日本でのプレーが現実のものになります。


 そんな彼が最近、来日後の活動についての、新しいアイデアを持ちかけてきました。今回日本のチームに移籍するのは、母国イランの貧弱な野球環境に、不足や不満を感じてのこと。ならば滞在の間、WBCで2度優勝した日本の人々に、その現状のPRと支援の呼びかけをしようじゃないか、というわけです。


 具体的には、イラン球界の現状を紹介する専門ホームページを立ち上げ、そこで現在のプレー環境や連盟・リーグの現状、野球用具の出回り状況などを詳しく知ってもらいます(もともとこのアイデアは、俺たち日本側が提案したもの)。同時に、そのホームページの中に物販ページを作り、グッズ販売を引換とした金銭的支援を呼びかけようとも考えているようです。


 現在販売するグッズとして考えているのは、イランの伝統的なデザインを施したはがきや木工製品。そして、日本とイラン両国の国旗を描いたブレスレットなども、候補として挙がっています。木工製品に関しては、アミールさん自身が大学にいた頃、木工製品のアーティストを志す友人がおり、彼に作り方を教えてもらったため、自分で手作りすると言っています。ブレスレットは1つにつき10ドル(750円くらい?)。これからさらにすり合わせを行う中で、さらに種類は増えていくかもしれません。


 この支援呼びかけの目的は、アミールさんのもう1つの夢でもある、母国における野球アカデミー建設にかかる資金をねん出するため。以前の記事 でも触れたように、アミールさんは現在、イラン国内リーグに参加する傍らで、地元の子供たちに無償で野球を教えていますが、将来的にはこの活動を、広島のドミニカアカデミーのような規模にまで昇華させたいとのこと。彼曰く、「もしアカデミーを立てたら、俺は日本人指導者に、ぜひ指導に来てもらいたいんだ」とのこと。イタリア・ティレニアのMLBアカデミーのように、何でもかんでもアメリカ人に指導を任せるのではなく、同じアジアの雄である日本に協力してもらいたいのだと。


 しかしそのためには、当然相当な額のお金がかかります。もちろん、1つ750円のグッズ収入だけで、それがペイできるわけでは到底ないですが、少なくとも何もしないよりはマシ、というわけ。これは以前の記事でも書いたかもしれませんが、俺がかつて大学で授業を受講した、元日本サッカー協会専務理事の平田竹男先生は、「テレビで放映していない試合は、やっていないのと同じ」が持論。分野や競技は違いますが、人々に存在を知ってもらうことが大事であるという点に関しては、俺も全くの同意です。だからこそ、こういう取り組みをしていくことは大事だと思っています。


 ただし、問題もいくつか。1つは、これがアミールさんが取得する、ビザの要件に違反しないかということ。今回、彼は観光ビザで来日するため、日本では経済活動を行うことは認められません。そのため、共鳴する人々からお金を頂戴することになるこの活動は、見方によってはグレーゾーンにもなりかねないわけ。さすがに、旅券法違反で逮捕なんてのはゴメンです。もっともこの点に関しては、あくまで責任者は俺で、アミールさんは金銭が絡む部分には、一切手を付けないというようなことを対外的にも明確にしておけば、問題はない気もしますが…。


 もう1つは、信用の問題。今回のケースでは、手続き上法人格の取得を申請しても、彼のビザの期限切れまでに間に合わない可能性があるため、法律上で言う任意団体として活動することが濃厚です。しかしながら、任意団体では団体名義での口座開設ができないため、俺自身の個人口座に振り込みということになる可能性が高い。これが、信用という意味でどう捉えられるか。もちろん、こちらとしては振り込まれたお金を犯罪に使う気など、さらさらないんですけどね。


 他にも、ホームページで注文されたグッズを、確実に相手先に送り届ける方法など、これから詰めなければならない点は、まだまだたくさんあります。もちろんまだ企画段階なので、実際にこれが実現するかどうかは分かりません。ただ、やるからには危ない橋を渡るのではなく、きちんと公明正大な方法でやっていきたいと思っています。くどいかもしれませんが、自分たちは罪を犯す気は毛頭ないので。法律の部分もきっちり調べながら、この件についてはさらに話を深めていきたいと思っています。