球界改革のコンセプトを考えてみた | 欧州野球狂の詩

欧州野球狂の詩

日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 今回は、先日書いた「市民の力で、球界を変える」の続編として、日本球界における改革のコンセプトはどのようなものがふさわしいのか、考えてみようと思う。


 まず、今の日本球界における問題点には、具体的にはどんなものがあるだろうか。問題点としては笑えないほどの数があると思うが、とりあえず自分が「これは」と思ったものを挙げてみよう。


・ビジネスモデルの問題

(1)球団の場合

 プロ野球球団は、基本的には企業の広告塔という形であり、親会社からの補てんをもとに成り立っているため、本業が赤字になると2004年の近鉄のように、球団消滅のリスクが非常に高くなる。また「興業」というスタンスであることで、非常に高い球場使用料を試合開催のために支払わなければならない。


(2)リーグの場合

 NPBは、現状として各球団の収益を管理する機能を持たないため、新規参入に制限を賭ける「クローズドリーグ」の最重要機能である、球団ごとの財力格差の調整ができない。リーグの収入源が、オールスターとポストシーズンの2つしかないため、財政的にも非常にひっ迫している。また、最高責任者たるコミッショナーの権力にも、協約上事実上の制限があるため、リーダーシップを取ってビジネスを展開していくことができない。


・制度設計の問題

 ドラフト、FA、年俸調停権など、選手獲得にかかわる重要な制度がそれぞれ個別に設計されていて、連動したものになっていない。ルール5ドラフトやマイナーFA権など、飼い殺しを防ぐルールもない。一方で、日本のドラフト指名を拒否してアメリカに渡った選手には、3年間日本でのプレーを禁止するルールができるなど、非常に体制が閉鎖的である。年金など、セカンドキャリア面に関しても非常に脆弱である。


・プロアマ対立の問題

 1961年の柳川事件をきっかけに、プロとアマの対立が深刻化し、現在でもプロ選手が高校生を指導することに制限があるなど、完全な共同歩調を取れているとは言い難い。日本の野球界を一元的に統括するための組織がない。また、特に国際大会再編関連の問題に対して、他国のように「日本球界全体としての総意」を提示することができない。代表派遣についても常に揉めている。


・海外普及に関する問題

 上述したように、NPBの財政面がひっ迫していることもあるが、いわゆる「野球後進国」への普及活動が、組織的に行われているとは必ずしも言い難い。五輪復帰運動のアピールが国内だけにとどまってしまっていて、なかなか海外に目が向いていかない。


 では、これらの問題点をもとに、コンセプトを考えてみる。


1)「企業」から「公共」へ

・企業の広告塔、興業としてのプロ野球ではなく、地域全体の財産となることを目指す

・市民株主制度や、地域からの支援体制も確立する


2)「分割」から「一括」へ

・収益は各球団の自由競争ではなく、NPBが一括管理する方式に改める

・プロ野球における「共同オーナー制」を認める

・ドラフト、FA、年俸調停にかかわる制度を、すべて一連のものとして連動させる

・統一組織である「日本野球協会」を結成する

・海外普及のための統一プログラムを作成、実行する


3)「対立」から「共存」へ

・プロとアマの間にある対立をなくし、アマ選手の指導等も自由に行えるようにする

・代表派遣についての統一見解を作り、スムーズに派遣を行う

・国際大会の再編問題に対しては、プロアマ双方が共同で議論を行い、統一見解の形成に努める


 以上が、球界改革運動に向けての俺の考えです。「確かにその通りだ」と考えるか、「単なる絵に描いた餅だ」と考えるか?いずれにせよ、皆さんからのたくさんの意見をお待ちしています。