夏の甲子園の私的改革案を考えてみた | 欧州野球狂の詩

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日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 7日に開幕した夏の高校野球は、昨日から2回戦に突入。東海大相模の一二三が8四死球と苦しみながらも初戦を突破したり、逆に広陵の有原が聖光学院相手に好投しながらも、暴投による1点に泣いて初戦敗退したり、さまざまなドラマが早くも生まれています。もちろん、俺自身も高校野球観戦は大好きで、(例年ほど数は多くないけど)テレビでの観戦を楽しませてもらってます。


 ただその一方で、今の高校野球の在り方にもいくつか問題があることも、俺は実感している。前のシングの記事 でも触れた、留学生の問題もその一つ。ただ、ここではあえて、グラウンドの中における問題点(地区予選も含め)について考えてみたい。


 俺が今問題だな、と考えているもののうち、最も大きいのは次の2つだ。


①弱い学校は、1,2試合だけで夏が終わってしまう

②エースを2日連続で完投させるなど、投手を必要以上に酷使するような起用法が横行している


 ①については、自分が中学時代、市の大会ですぐに負けてしまうようなチームにいたから、こういう学校でプレーしている選手の気持ちはよくわかるんだ。中学と高校でカテゴリーが違うとはいえ、最後の大会が終わった後の「なんでこんなに早く終わってしまったんだろう」というむなしい気持ちは、どちらでも変わりはないと思う。今週号の週刊ベースボールに載っていた、石田雄太さんのコラムでは「トーナメントでは、どんなに強いチームでも1敗したら終わり。逆に、どんなに弱いチームでも2敗することはない。だから平等だ」という風に書いてあるけど、俺はそれは違うと思う。確かに「1敗したら終わり」という点では同じかもしれないが、その1つの黒星をどこで喫するか、それを喫するまでにどれだけ試合ができるかは、決して平等じゃない。1試合だけやって散るのか、甲子園の決勝まで戦い抜いて散るのか。その試合数の違いを考えたら、平等なんて口が裂けても言えないだろう。


 ②の起用法については、これは東北学院の記事 でも書いた。まだ体の出来上がっていない16,17,18歳の子供に、体感温度40度の炎天下で100球も200球も投げさせるなんて、やっぱり正気の沙汰じゃないよ。現に、エースの本田投手はそれで病院送りになってるじゃないか。熱中症の危険性や、自分が部員の人生や命を預かっている身分だということを、指導者は本当に分かってるんだろうか。「野球が終わっても人生は続いていく」と指導する監督さんは多いと聞くけど、だったらなんで、選手の将来のキャリアを潰すような起用法をするの?


 ハイスクールスポーツというカテゴリーでは、日本の高校野球は間違いなく世界一のレベルにある(アメリカはシーズン制で、野球以外にも様々なスポーツをするのが当たり前だし、ヨーロッパにはそもそも学校スポーツという概念がない)。そこで鍛えられた高校球児は、日本の野球界全体にとっての宝であり、貴重な財産なんだ。大学、社会人、プロ、もしかしたらメジャーまでいくかもしれない。そういう稀有な才能を、きちんとリレーしていく責任が日本球界にはあるんだ。そのリレーを自ら断ち切るようなやり方が、高校野球における常識だというなら、俺はそんなものは絶対に認められない。


 この2つは、どちらも今の大会が「ノックアウト方式のトーナメント制」で行われていることに起因すると思う。トーナメントだから、弱いところは1試合で終わってしまうし、早期敗退を避けたいという意識があるから、エースを何試合も連投させるような起用法が横行する。だったら、大会のフォーマット自体を、思い切って変えてみたらいいんじゃないの?というわけで、俺が考える高校野球の改革案を以下に書いてみたいと思います。全国大会に出ても、必ずしも甲子園の土を踏めない可能性もあるなど、暴論であることは重々承知ですが、私案の1つとして読んでもらえたら幸いです。


(1)出場枠(計54チーム)

・各都道府県の代表校47チーム

・北海道、東京、千葉、神奈川、愛知、大阪からの第2代表6チーム

・前回優勝校1チーム


 前回優勝校も各都道府県予選には出場するが、結果如何にかかわらず本大会には自動的に出られる。ただし、前回優勝が保証するのは全国の出場権のみ。本大会からは優遇は一切ない。


(2)レギュレーション

・全54校を6校ずつの9組に分け、それぞれの組に1つずつ、関西地区の球場(甲子園以外)を割り当てる。

・各校は組ごとに1試合総当たり、1校につき計5試合のリーグ戦を行う。また、リーグ戦は第1試合A対B、第2試合C対D、第3試合E対Fというように、同一球場で1日3カードを行う。

・予選リーグ終了後、各組の成績1位9チームと、2位の成績上位7チーム、計16チームが甲子園での決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメントはノックアウト方式とする。

・各都道府県の地区予選も、原則このフォーマットに準拠して行うものとする。


(3)ベンチ枠、出場制限

・ベンチ入りは25人まで、背番号は1~25の連番とする。また、投手は必ず6人以上登録しなければならない(野手との兼任も可)

・監督が実力を認めれば、女子選手も登録・起用してかまわない。

・投手の投球制限は、予選リーグが1試合75球、決勝トーナメントが100球まで。打者との対戦中に制限を迎えた場合は、その打者との対戦が終わるまで登板を続行できる。

・投球制限の80%(予選は60球、決勝トーナメントは80球)以上1試合に投げた投手は、次戦での登板は不可(野手としての起用は可)


 メリット

・例え決勝には出られなくても、全国に出られれば最低でも5試合は戦える

・投手に過度な負担をかけるような起用法が避けられる

・前回優勝校のアドバンテージが増える

・女子球児が性別の壁に泣くことがなくなる

・阪神タイガースが死のロードを行わなくて済むようになる(笑)


 デメリット

・全国大会に出ても、必ずしも甲子園の土を踏めるとは限らない

・選手数が少ない学校にとっては辛い(特に投手起用が)

・1日に行われる試合数が増えるため、NHKとBS朝日での全試合テレビ中継は事実上不可能に


 さて、いかがでしょうか?皆さんの熱い意見をお待ちしてます。