被ってたバスタオルを
玲に放り投げ、
パジャマのボタンをはずす。
玲は、
ウザそうに
顔にかかったバスタオルを払い、
床に落とした。
考えを変える気はないみたいだし、
パジャマを脱いで
玲に放り、裸のまま玲の前の椅子に座って、
テーブルの上のおにぎりに手を伸ばした。
「いーなー、おまえ。
毎日いずみさんの
手料理食べられて。」
抜群の塩味の
おにぎりを食べながら、
玲を見る。
反応なし。
「あ、携帯貸して。
目覚まし合わすから。」
投げつけたパジャマを
肩にかけたまま、
俺の方を見ようともせず、
玲がポケットから
携帯を出して、机の上に置いた。
ったく、
お気に入りのパジャマ、
俺に着られたくらいで、
怒ってんじゃねーよ。
目覚ましを合わせながら、
おにぎりを食った。
「そーだ。
おまえ、何か言いかけてなかった?
あのタクシー乗る前。」
そうだ、思い詰めた顔で
俺に言いかけてた。
玲は、
なぜか俺じゃなく、
冷蔵庫の方を向いて
タバコを吸ってる。
「ってかおまえも早く
風呂入って来いよ。
マジ泥だらけだぜ。」
「……誰のせいだよ。」
やっと玲が口を開く。
「何、怒ってる理由、それ?」
「怒ってる?」
「機嫌わりーじゃん。」
「何がだよ。」
玲が吸ってたタバコを灰皿に揉み消し、
新しいタバコに火をつける。
「俺も吸いたい。
さっき山で俺の吸いきっちゃってさ。」
玲は無言で俺にタバコを放る。
1本咥えると、
玲が次にライターを放って寄こす。
カチ。
ライターから火花が散るのに、
火がつかない。
カチカチ。
「……それ、
コツがあんだよ。
親指もうちょい力いれてみ。」
カチカチ。
アドバイス通りにしてみたけど、
つかねーし。
「めんどくせー。
そっちの火、貸して。」
座ってる玲の隣まで行って、
目線を合わすのに、
立て膝をついた。
顔を近づけ、
玲の咥えタバコの火で
自分のタバコに火をつける。
「おまえ、ここ、
蚊に食われてんぜ。」
玲の左顎のあたりに、
赤く丸い痕が
3つもついてる。
「……だから、
誰のせいなんだよ。」
「俺のせいだって言いたいんだ。」
タバコの煙を吐き出す。
玲の左手にも、
蚊に食われた痕がある。
蚊に食われてんのも
わかんないほど、
一生懸命穴掘ってたってことだよな。
「わかった。
お礼する。」
「は?」
玲は、俺の方を見、
慌てて視線を逸らした。
「俺、腕枕して、
髪撫でてやるよ。
それ、超幸せなんだろ?」
「はあ?」
玲が、
やっと、俺の方を見た。
はー。今回ちょい長ですよね。でも切るトコ見つけらんなかった~北斗ったら玲のことちっともわかってないしー。この2回バージョン、玲バージョンでも書きたい~
。