小説~ONESTAR番外編~
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ヨッシーの目線に合わせる為に、あたしも床に座る。
ヨッシーは、やっと左の手首を瞼から離してあたしを見た。
「あたし達、かわいそうね。」
「どうして?」
「報われない思いを抱えて、ずーっと生きてかなきゃなんないから。」
「自分で勝手に好きになったんだから、仕方ねーじゃん。向こうは……メーワクなだけなんだからさ。」
メーワク、か。
だからね、あたし、言わないんだ。
ズルイね。
勝手に好きになって、
勝手に傷つけて、
だけど、自分は一ミリも傷つきたくない。
なんて身勝手なんだろう。
「俺達は、ONESTARを見つけたんだよ。」
「なぁに?」
「この世は、真っ暗で、何もなくて、だけど、夜空に星が、唯一の光を放ち続ける限り、俺は、その星を目指して、生きてくことが出来る。」
「それ、なんかのお話?」
「歌だよ。」
「歌?」
この世界で見つけた唯一の光。
それがONESTAR。
あたしのONESTAR。
眩しくて、
摑まえたくて、
そして、
絶対に届かない。
「世の中にはさー、見つけらんないヤツもいんだぜ。全然かわいそーじゃねーよ。」
「そだね。」
強がるヨッシーに笑いかけてやる。
お姉さんの前では、
とろけそうに幸せそうな顔をする、
S高ナンバーワンのモテ男は、
「幸せなんじゃね?俺達。」と澄まして言った。
「ヤマザキ!どこだよ!」
二人して床に座り込んでたら、
遠くから誰かがヨッシーを呼んだ。
ってか、リュージ!!
「……ったく、おまえ、もうじき出番だってのにどこ……リョーコ?」
ヨッシーを探してたらしいリュージは、
肩で息をしながら立ち竦む。
かなり探し回ってたみたい。
「俺、図書館いるってケンヤに言ってったぜ。」
ヨッシーがゆっくりと立ち上がる。
「何やってんだよ、こんなとこで、二人で。」
「何って……。さあ、おしゃべりとか?なあ、リョーコ。」
ヨッシー!?
なぜわざわざここで、あたしを呼び捨てなの?!
「んじゃ俺、先、戻るわ。」
ヨッシー、ちょっと待って、
待って、
何、この展開?!
「待てよ。」
リュージが、ヨッシーを呼び止める。
待って欲しいのはあたしなのに。
リュージが、
唇を歪める。
怒って、る?
「えーっと、あの、」
リュージは、あたしに視線を移す。
ヨッシーは、ニヤニヤあたしを見てる。
何?!
何?!この修羅場!!
おかしくない?!
だってあたし、
二人ともなんとも思ってないんだよ?!
「あの、」
どーする、あたし!!