小説~ONESTAR番外編~
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「ワールドツアーに行ったらどーすんの?」
その、
大きな二重の目が、
拗ねたような唇が、
あまりにカッコ良くって、
そう、やっぱあたし、きれいなものが好きなのよね。
ちょっとドキドキしそうになって、
話題をそらす。
「最初っから最後までねーちゃん見つめて歌うに決まってんじゃん。」
ああ、こんなにカッコいいのに。
こいつもリュージと同じ種類か。
「……バラードとか切々と歌うんでしょ?」
「え?何で知ってんの?」
「その後、おまえにこの歌を捧げるとか言ってみたり。」
「ええっ?!俺、この話、したっけ?」
「ねえ、ヨッシー。」
「え?」
「それ、別にワールドツアーしなくても、あんたの家で出来んじゃないの?」
「ええっ?!ヤダよ、恥ずかしい。」
「ワールドの方が恥ずかしいわよ。世界よ世界。」
「俺、平気。」
「あんたはね。お姉さんはどうかしら?」
ちろりとヨッシーを見ながら、
片眉だけあげて聞いてやる。
「20歳過ぎた良識ある女性が果たして乗ってくれるかどうか…。」
「……何でそんなこと言うんだよ。」
「なんで半泣きになってんのよ!」
ヨッシーにいきなり腕を摑まれ、
慌てて見上げたヨッシーの両目が子犬みたいに、ちょっと濡れてる。
「わー、やっぱダメだ、俺。ねーちゃん来ないんだよ、きっと。」
そのままずるずるとヨッシーが、床にへたり込む。
おいおいおい、さっきまでの自信はどこに行ったの。
「大丈夫だよ、きっと来てくれるよ。」
「気休め言うなよ、ばーか。」
ヨッシーはハンカチの巻かれた左手首を自分の瞼に当てる。
「……それ、お姉さんのハンカチでしょ。」
薄いピンクのハンカチは、よく見ると地模様に小さなバラの刺繍が入ってて、男物には見えなかったし、そんなに新しいものでもなさそうな感じだし。
つまり、誰かが使ってたってことだ。
「俺さ、こないだ、ねーちゃんに告ったんだよ。」
ヨッシーはそれには答えず、
瞼の上に、手首を当てたまま呟いた。
「ええっ?!禁断の愛まっしぐらじゃん!!」
「おまえに言われたかねーよ。」
そうでした。
あはははは。
ヨッシーは、血の繋がったお姉さんが好きで、
あたしは、おんなじ女の子の、リホちゃんが好き。
だめだめ同士じゃん。