小説~ONESTAR41~空気の読めない給湯器 | COCONUT☆HEADBUTT!!

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小説~ONESTAR~


「うそっ!!」

ねーちゃんの叫ぶ声で目が覚めた。


寝てたの?!俺!!

時計を見る。

ねーちゃんがウソっと言うのも無理はない時間だった。


12:12時計


「マジでっ?!」


俺も叫ぶ。

さっき、

さっきまで俺、ねーちゃんの肩抱いて、

幸せだーとか思ってて、

あれから4時間は寝てるえー


ねーちゃんは、窓の外を見て、

相変わらずの土砂降りなのを確認し、

もう一度時計を見る。

終電はもう出てる。

1時間覚悟すれば、

歩いて帰れない距離でもないけど、

この大雨だ。


「泊まってったら?」


そう呟いた俺に、

ねーちゃんが物凄い勢いで振り向く。


「親父とお袋なら戻って来ないよ。温泉行くって言ってたもん。」


歩いて帰ると言いかねないねーちゃんに布石を打つ。

タクシーを使うって言うかな?

でも、ねーちゃんちは、電車だと二駅なのに、

車だとここから大きく迂回しないと帰れない上に、

深夜料金だ。

バイト暮らしのねーちゃんには痛い出費だと思うけど。


「誘ったの俺だし……ごめん、タクシー呼ぶよ。」

俺が出すと言ったら、

ねーちゃんは絶対に断ると踏んだ上で提案してみる。


「いいよ、あたし、歩いて帰る。」

意を決したようにねーちゃんが言う。

「ダメだって。この雨だぜ。じゃあさ、もう少し待ってみようよ。雨、やむかもしんないし。」

「……そうね。」


仕方なくねーちゃんは、もう一度雨の降り具合を確認し、

ソファに座りなおす。


雨がやむはずがない!!雨


何の根拠もないけどそう思う。

だって明らかに神様が味方してくれてるもん!!


「フっフロ……風呂でも入って来たら?」


さりげなく言うつもりだったのに、

途中声がかすれて言い直した。

かっちょ悪汗


「やだ!あたし、メイク落とさずに寝ちゃったんだ!!大変!!」

両手を頬にあて、慌てるねーちゃんに、

「じゃ、俺、バスタオルと着替え、用意するね。」

といそいそバスルームに向かう。


やっりーっっビックリマークビックリマーク

廊下に出てからガッツポーズした。

歩いて3歩のバスルームまでスキップで行き、

お湯はりのボタンを押し、

お客様用バスタオルを引っ張り出す。

着替え……はお客様用グッズ入れの中には見当たらなかったので、

迷った末に、俺の洗い変えのパジャマを出して、

リビングに戻ると、

ねーちゃんが皿を洗っていた。


げげっ、俺、後でまとめて洗おうと思ってそのまま……

「ねーちゃん、俺がやるよ。」

慌ててシンクまで走る。

「いいのよ、作ってもらったし。ホントにおいしかったな。ね、どうしてイタリア料理のシェフを目指そうなんて思ったの?」

「……いや……その、て、店長さんに憧れたってか……その……」

「憧れ?」

この話を止めたくて、水道の蛇口を捻る。

まるで毎日そうしてるみたいに、

ねーちゃんが洗い終わった皿を俺に渡し、

俺は流水で泡を流してディッシュラックに置く。


ナイスなコンビネーションじゃね?俺達ラブラブ

台所洗剤のコマーシャルみたい!!テレビ


「ねえ。」とねーちゃんが問いかける。

何?ねーちゃんもそう思ってた?

長年連れ添った夫婦みたいとか?


「配置、変えてないのね。」

「え?」

「ディッシュラックとか、洗剤の位置とか……あたしがいた時のまま。」

「そう?」

「どうして変えなかったんだろ。」

「どうしてって……。」

「あたしのお母さん左利きだったの。あたしでも手伝う時とか、使いにくいって思ってたのに……」

「変えんのめんどくさかったんじゃないの?」

「だって、キッチンは毎日使うのに……まさか、あたしの部屋、まだあるの?」

最後の皿を洗い終わったねーちゃんが聞く。

「まだあるって何言ってんの?そのままだよって、ねーちゃん!!」

ねーちゃんは、濡れた手を拭くのももどかしそうに自分の部屋に向かう。

俺も慌てて後を追う。

ガチャリと自分の部屋のドアを開けたねーちゃんの背中から手を伸ばし、

電気のスイッチを入れる。

「……そのままなんだ……」

「そうだよ、言ったじゃん。おふくろ、俺の部屋よりマメに掃除してるよ。」

ピンク色のカーテン。

小学校から使ってた学習机。

高校の時の教科書が並べられたままの本棚。

「……あたし……全部処分してって言ったのに……」


3年間そのままの自分の部屋を見て立ち尽くすねーちゃんと、

どうしていいか分からず、

その後ろで同じように立ち尽くす俺の真後ろで、

間の抜けた電子音が鳴り響き、


「オフロガ、ワキマシタ。」

と、続いた。


空気読めねーなっ、おい!!


「お風呂、入ってくる。」

ねーちゃんがフイと、真後ろにいた俺を避け、

バスルームに向かう。


何?!

何があったの?!ガーン


ねーちゃん?!


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ペタしてね さて、明日は送別会なので、更新時間、早いかもです。よろしくですきゃぁ~