小説~ONESTAR23~リュージ | COCONUT☆HEADBUTT!!

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小説~ONESTAR23~


家に帰るとおふくろが、「お友達が来てるわよ。」とキッチンから言った。

昨日、あんな顔を見せたくせに、今朝は何もなかったように朝食を作り、俺を学校へ送り出した。

「友達」?

慌てて玄関を見回すと、きったないバッシュがきれいに揃えられて置かれてた。

どっかで見たよな、このバッシュ。

確か…………。

土禁の貸しスタジオの入り口だ!!

ってことは、コースケかケンヤかリュージ?

何だってうちになんか来るんだ?

あれか、

今度の月一ライブでチケット売り上げナンバーワンだったせいで、

オオトリを取ったってのに、練習行ってないからか?

部屋のドアを開けると、メンバー中一番有り得ないと思っていたリュージが、

俺のベッドに座り、タバコをふかしていた。

俺の顔を見て、「よぉ。」と飲みかけのコーラの缶にタバコの灰を落とす。

とりあえず、挨拶は抜きにして、窓を開けた。

タバコの煙におふくろが気づいたらどーする気だ!!

友達の部屋に勝手に上がりこんでやる行為には思えなかった。

「何の用?」

世間話から入るのもめんどくさかったので、

単刀直入に聞いてやる。

リュージは最後に深くタバコを吸い、火を消してから吸殻を缶の中に捨てた。

いつも不機嫌そうな口元が小さく震えていて明らかに怒っているのがわかる。

「……おまえどういうつもりなわけ?

リュージは俺を睨みすえたまま、ゆっくりと立ち上がり、机の上に缶を置く。

わざと俺の目を見ずに話すのは、殴りかからない為だ。

リュージが怒りを堪えて一番苦手な話し合いをしようとしてる?

どうして?

「どういうつもりって?

「何で練習来ねーんだよ。」

「ああ。」

なんだ、そっちの話か?

「言ってなかったっけか?俺、勉強してんだよ。」

「さっき、おふくろさんから聞いたよ。今日は勉強を教えてもらいに行ってるから帰りが遅くなると思いますけどって。」

それでも待つって言ったわけね。

どんな大事な用件かと思えば。

そういえばこいつ、新曲のアレンジ凝りたいって言ってたもんな。

俺、練習ずっとほっぽらかしてるから、それを怒ってんのか?

「そうそう、こないだのテスト、結果悪くてさ。おふくろかなり頭に来てるみたいで、次のテスト本腰入れないとヤバいわけよ、俺も。」

「じゃ、何で携帯までつながらないわけ?」

「けっこううるさい先生でさ、勉強中は切っとけって言われんだよね。」

と、言うのはもちろんウソで、俺の意思で切ってる。

だって店長んとこで鳴ったらうっとうしいじゃん。

「日曜日も勉強?」

「ああ、そんなに疑うならおふくろに聞いてみたら?」

…………なんだ?

女に責められてるみたいだぜ。

ちょっと待てよ。

これは、誰が言うべき科白だ?

「別におれはどーでもいーんだけどよ。」

「じゃ、誰がどうでもよくないわけ?」

そうだ。

携帯を留守電にしてる間、一番着信が多かったのは、

「わかってんだろ。」

リホコだ。

でも、なぜ?

「さっきリホコが俺んち来たんだよ。その……相談があるって………。」

「へえ。」

確かリホコとリュージの家は隣同士だと聞いた。

「ちょうどリョーコが来ててさ。俺も前回のテストボロボロで、リョーコが勉強みてあげるって言うから……。」

でもってリョーコの家は、リュージの家の向かいだそうで。

そりゃ幼馴染にもなるわな。

「リョーコが、リホちゃん、思いつめてるみたいだから、今日は帰るねって気を利かせて帰ったんだよ。」

気を利かせて?

バカだな。

あの女なら当然そうするだろう。

リホコの一番の親友を演じつつ、笑顔でその場を去っただろう。

その後、どんな展開に持っていこうか、自分の部屋で身じろぎ一つせずに考えるんだ。

次に、自分はどう動くべきか、って。

「おまえ、どういうつもりなわけ?

リュージが最初の科白に戻る。

やりなおすの?

この三文芝居。

「どういうって?

「リホコ、泣いてたぞ。」

「へえ。」

だけど、その涙は俺の為に流したんじゃない。

おまえに見せたかったんだ。

「へえっておまえな。」

「で、リュージ、おまえはどうしたの?」

リホコが、最近俺が冷たい、いつ電話しても留守電だし、日曜日もいないしって泣く間、

おまえは、どうしてたって?

あの長い髪を撫でて抱きしめてやったとでも?

「とにかく、俺が聞いて来てやるから待ってろっつってここに来た。」

「へーえ。」

あんまり馬鹿馬鹿しいので俺も引き出しの奥から隠してたタバコを出す。

机にもたれて火をつけると、リュージは「真剣に聞けよ!」と声を荒げた。

「リホコがどんだけおまえのこと好きか、わかってんのか!!」

リホコの本当の気持ちを聞いてしまった俺は、

目の前で激昂してる男をまじまじと見つめてみた。



馬鹿じゃねーのか。



「あのさー、リュージー。」

俺が、

俺がこれを言ってしまうのは罪だろうか?

この馬鹿馬鹿しい三文芝居に、俺がピリオドをうつのは、

3人への裏切りだろうか?




ちなみに次のタイトルはリホコですしゃきーんペタしてね

小説~ONESTAR24~リョーコ に続くにこ