『崖の上のポニョ』
宮崎アニメ久しぶりだなぁ~なんて思うのも当たり前かな。
前作「ハウルの動く城」からなんと4年振り!
そんな宮崎氏が、原作・脚本・監督を全て手がけた話題の新作です。
当初は今までのように制作するつもりだったそうなのです。
が!
ミレーの絵画"オフェーリア"を鑑賞した宮崎氏。
これぞ「紙に書いて動かすのがアニメーションの根源!」と、感銘を受け、今作においては一切CGが使われていないという、オール手書きの純粋なアニメーション!
総セル画枚数17万枚。
考えただけで気が遠くなるような作業ですが、監督は「楽しかった」と言ってます。
さすが!
というより、苦になるようじゃクリエーター失格なんだろうなって。
昔から変わらないプロ意識の高さはほんとに尊敬します。
そんな心意気知っちゃったもんだからさ、観る前からカナリ評価上がってました。
映画館に到着。
暴れるチビッ子に叱る親。
夏休みが始まったばかりの映画館(しかもポニョ)は、賑やかどころか騒々しい。
一度聞いてから耳から離れない、もはや洗脳ソングなあの主題歌を脳内BGMにして行ったのが間違いだった・・
そこらじゅうのチビッ子が口ずさんでて頭の中も耳もひどいことに(笑)
そして内容はというと・・
まず、5歳の息子が両親を名前で呼んでるのですよ。
パパママとか、お父さんお母さんと呼ぶのが普通だと思っているので、アタシにはちょっと抵抗が・・。
この家庭では、親がそう呼ぶようにさせてるのかもしれない。
名前で呼び合うことによって親密さが生まれるのかもしれない。
だけど・・
幼児が親を呼び捨てにするなんて道徳がなっていない気が・・
年上の人に対しての尊敬は決して生まれないよ。
と、最初っからお堅いことを考えてしまいました。
あらすじを簡単に言うならば、ハム好きの人面魚が大好きな少年のために人間になりたがる、いわば宮崎盤人魚姫。
意地悪な親父(フジモト)がポニョを海底に連れ戻そうとするんだけど、そこはサスペンス的な要素になってます。
ストーリーは、深読みのしがいがあるほどとって単純。
観ながら謎がフツフツと浮かんで、観終わったら謎だらけで頭を抱えてしまいました。
今思い浮かぶ疑問点をザッと挙げてみると・・
・ポニョは海の魚なのに、何で真水でも生きれるのか
・フジモトは何で人間をやめて海に住むようになったのか
・落ちてくる月
・ポニョが過剰に反応するトンネル
・グランマンマーレ(ポニョの母であり海の母)との経緯
・リサ(ソースケの母)とグランマンマーレは"ひまわりの家"の庭で何を話していたのか
・老人ホームの人達
などなど。
短い時間の中でまとめなきゃいけないから、あえて放棄しているのか。
最初から最後まで謎に満ちていて、浮かんだ謎についての説明はいっさい無し。
なんともおさまりが悪くて観終わった後は素直に”良かった”とは思えませんでした。
あと、年齢設定があまりにも幼いなぁ・・と。
5歳でこんな大事な事を決めいいのかよ!!と、突っ込まずにはいられないです。
ポニョはソースケと一緒にいたいがために、人間になりたくてしょうがない。
でも、人間になったところでもう海には帰れないのです。
親に会いたくても会えないのです。
一生ソースケだけを思い続けなければならないのです。
そんなソースケはまだ5歳。
たった5歳でなんの責任が取れるのか。
そのソースケが拾ってきた魚のせいで起きた嵐と津波は、穏やかだった街を飲み込みます。
悪さをしたのはポニョなのに。
お世話になっている海をむしろ守ろうとしていた、何にも関係ない人達まで襲います。
まるで大量破壊兵器。
暴力的に人間と海をぶつけるその展開は、世界の破滅は実はあっけないものなんだろうと思わされます。
お子さま映画だから、あーだこーだ言うべきではないのかもしれないけど(笑)
そういう意味でね、何の疑いもなくメデタシメデタシ・・チャンチャン♪と、見られる人は幸せな人だろうなと思いました。
そんな、海辺の町をまるごと巻き込んだ大騒動の後、半ば強引な幸福感と共に幕を閉じます。
ストーリーについて小煩く書いてきましたが、アニメーションに関してはさすが宮崎監督なのです。
冒頭でも触れましたが、何より目を引くのはすべて手描きで作られた絵の魅力。
まるでクレヨンで書いたようなやわらかい絵本の世界や、懐かしさを感じる色彩の画風。
宮崎監督ならではの独特の息づかい。
生命力に満ち溢れた自然。
手に取るように解る水の質感には思わず溜息が出ます。
擬人化した大波に乗って楽しそうに全力疾走するポニョは何とも躍動的。
好奇心旺盛で人間になったポニョは、メイ(トトロ)に似ててとってもカワイイです。
魚のポニョはどこがカワイイのかわかんないんだけどね。
最後にもう一つ疑問。
魚のままではソースケと幸せに暮らせなったのかな。
ポニョが人間になる意味って何だったんだろう・・・。
興行収入第一位になるのは間違いない映画なので、観に行ってはいかがかなぁと。
で、宮崎監督の映像美を堪能してきてほしいと思います。
