『私は貝になりたい』

system711


理髪師の清水豊松(中居)は、戦時中、上官の命令で捕虜の殺害に手を貸した。
戦争が終わって、妻子と平凡な日常を取り戻す。
無い金叩いて開店した理髪店もやっと板についてこれからというある日、豊松は戦犯として逮捕され、強制連行される・・・。


うーん・・・
生ぬるい・・・


58年にドラマ、59年に映画化されてて、今回のはリメイク。
元のは見たことなくてね。
実話だと思ってたら脚本家の橋本忍さんの創作らしい。
でも、内容が酷似している著書があって、それが加藤哲太郎さんの『狂える戦犯死刑囚』の遺書などの部分らしい。
橋本さんと加藤さんの間ではいろいろ論争があったみたいね。
今作を映像化するんだったら、必ず加藤さんの名前を出すようにということで決着したそうだけど。

ってウィキに(笑)


で、二等兵で死刑が執行された戦犯はいない。。




何だろなー。
展開がゆるいし久石譲の音楽がわざとらしい。
久石譲大好きだから残念だ。

仲間由紀恵の感情表現が下手。
この役に馴染んでいないのか、まだやるのが早いのか・・
どっちにせよ、彼女の演技を見ていてグッとくるものはなかった。


だけど、戦犯法廷で裁かれるシーンになると、作品の密度は一気に上がる。
善良な小市民ですら人殺しをせざるを得ない状況に置かれる軍隊組織の狂気。
そして、それが理解されない占領軍による一方的な裁判の理不尽さが産む悲劇を通じて反戦を訴える。

だけど!!(またかw)
せっかくね、”そもそも戦犯て何だったのよ!”と問題提起をしているわけでしょ。
戦後13年しか経っていない頃にできたドラマでは言えなかったこと、わからなかったことが、21世紀となった今、言えるわけだよ。
今だからこその視点で掘り下げて、もっと追及してほしかった。
東条英機の悪口は言っても、いまだに昭和天皇の戦争責任については神の領域。
「上官の命令は天皇陛下の命令であります!!」なんつったって、全然生きてこない。
違和感を感じたのはそこにあったのかも。

戦争が終わって63年。
50年前の脚本じゃぁね・・
もっと核心に踏み込んでほしかったなー。


最後のシーン。
愛する妻と苦労して構えた店があり、子供も生まれ、貧しかったかもしれないけど幸せだったはずなんだ。
なのに、死を前にした豊松は、自分の障害(足)や不運に対する恨み辛みばかりを言って、「何もいいことのない人生だった」って愚痴るのみ。
その上での「貝になりたい」という発言。
少ない希望を胸に、”必ず帰ってくる”と必死に署名を集め、夫を支えた妻に対しての裏切りにしか思えない。


しかし!
影の使い方はうまかった。
絞首刑を言い渡されて絶望しきった中居の表情を、ものすごーくうまく撮っていた。
身の毛がよだつほど恐ろしかったです。
夕日をバックに撮影したやつとか。
死んだ人間を人形を投げるように山にして積んで。
どー説明していいかわかんないから観て。
あとね、草彅と鶴瓶が出てきた瞬間ふいたよね(笑)




話題になってるから観るのはいいけど、戦犯について予備知識程度でいいからつけていったほうがいいと思います。
じゃないと、何についての映画なのかわかんないから。
意味わかんない┐(´д`)┌で終わっちゃうよ。


中居頑張ってます。
昔、ポニーテールで戦争映画にでた誰かさんよりはるかにね。
で、何だかんだ言いながら、泣きました(笑)


悲しくて切なくて虚しくて辛くて、苦しかったです。