ずっと無視していようかと思っていたのですが、一連の下らん報道に辟易しておる三日坊主です。

何の事かと言いますと、ヒステリックにアメリカに見捨てられたと大騒ぎしている、拉致問題についてです。

このネタは散々書いたので、もうあんまり書く事もないのですが、とりあえず自分が以前かいたネタをリンクしておきます。だいたいそこに言いたい事は書いてあります。

安倍政権末期に書いた拉致問題についてです。

それより更に昔に書いた拉致問題です。

なのであんまり深く突っ込むつもりはありませんが、まあいつもの事とは言え、あまりにも酷い報道に涙も出ません。この問題がこういう形になるという事は、ちょっと血の巡りのいい人間ならわかっていた事です。それを今更、ピーピーうるせえよって感じです。

被害者家族の方々の嘆きや悲しみをひたすら報道し、どうするのかと言えば結局の所はアメリカ頼み、そんなこっちゃ解決するわけが有り様が無い。アメリカはアメリカの国益が最優先で、他所の国の一部の人間の問題なんてプライオリティで言えば、ハッキリ言ってどうでもいい問題でしょう。そりゃ同盟国と言うか日本から金を踏んだくれるおいしいポジションにいるわけですから、日本国民が喜びそうなエサをバラまく為にリップサービスぐらいはするでしょうが、それは政治であって、アメリカが酷いという事ではない。普通そうに決まってます。

同盟国なのに云々かんぬんという話があります。確かに言いたい事はわかる。しかし、アメリカと日本が対等な同盟関係なのかどうかという問題はわきにおいても、結局どうしてくれという事なんでしょう。日本人の代わりに命をかけて日本人の命を救ってくれという事でしょうか?こういう事を当たり前にやってもらえると思う所がどうかしている。所詮その程度の相手に思いやり予算だなんだと踏んだくられている事の無駄をいい加減気付けよって感じです。

湾岸戦争の際、日本の自衛官が最前線で戦った米軍将校と議論した話で面白いエピソードがあります。日本の果たした役割について話が及び、自衛官は日本は人員は出さなかったけれど、国民一人当たり100ドルもの金を出したと主張したそうです。これに対して米軍将校から一言、じゃあ貴方に100ドルあげるから、私の代わりに戦ってくれよ、これで何も言い返せなかったという話があります。

安心安全は空から降ってくるもんじゃない。地面から湧き出てくるものでもない。何かっつうと国家権力やアメリカへ依存する体質ですが、それがどういう意味を含んでいるのか、この国では教えないしよく考えられてもいない。

この問題を解決したかったら、現状の日本に出来る可能性のある方法としては交渉し、何らかの北朝鮮に得になるような、例えば経済支援をちらつかせてバーター取引に持ち込む以外有り得ない。いくら鼻息を荒くして強硬論をほざいたって、独力で何とかする方法なんて無いわけですし、結局はアメリカに何とかしてもらわなければ何も出来ないというのが実際の所です。

日本一国で経済制裁をしていたって、北朝鮮にとってダメージにならなけりゃ何の意味も無い。それが当たり前の状態になって国が回ってしまえば、もう交渉のカードには使えません。ただ単に拉致問題にコミットしているという、政治家の言い訳に使われるだけで、拉致の解決につながるとは思えない。それにアメリカに何とかしてもらうにしたって、北朝鮮は核を持っている可能性がある。したがってアメリカが仮に武力行使に踏み切れば、日本はもちろん韓国や中国にも被害が及ぶ可能性がある。そういう選択肢は取れるわけが無い。

仮に北朝鮮に石油でも出れば、アメリカは何の迷いも無く空爆するかもしれませんが、実際そうなれば拉致被害者もろとも空爆する事になる。それにそもそも現状ではそんな選択肢は取れない。取れないとわかっている以上、脅しをかけたって通じません。まして奴隷国家の日本がどんなに息巻いた所で、何の脅しにもならない。

正義を振りかざした所でなんの効力もありません。拉致被害者家族の立場を思うなら尚更、出来ない事を騒ぐより、出来る手段を探して行く以外に解決への道はありません。精神論的万歳突撃はスッキリするかもしれませんが、それは単なる玉砕戦法と変らない。こういう単純な思考からまだこの国の民度は抜け出す事が出来ない。情けな過ぎます。

そもそも解決と言ったって、何人拉致されているのか?何人生存しているのか?こういう基本的な問題が全く明確にされていない。返せ返せと騒いじゃいるけれど、北朝鮮が拉致しているとしても、そもそも生きているのかもわかっていない。それを全員生きたまま返せと吹き上がっても無理ってもんです。何人拉致されているのかすらわかっていないのだから、解決のラインなんてハナっから無い。解決のラインのないものをどうやって解決するというのか?単純に言ったって語義矛盾です。

北朝鮮が日本の主権を侵害しているのだから、北朝鮮が譲歩し、拉致の真実や生存者の人数を明らかにし、明確にする必要があるという事を、まあ騒いでいる連中は言いたいのだろうと思いますが、奴隷国家に主権もクソも無いだろうという話はわきにおいても、そういう事を簡単に聞いてくれるような国だったら、こんな問題はとっくに解決している。

核の問題というのは何十万人規模での被害が起こる可能性があり得る。拉致問題というのはハッキリ言えば日本の問題であり、他所の国が核問題よりも日本の拉致問題を優先させると言う事は有り得ません。そんな事はバカでもわかる話です。そもそも物事には順番があります。どちらかを解決しようと思えばどちらかが後回しになる。

同時に解決出来れば最高ですが、相手あっての話ですので、同時に解決しろと言ってどっちも解決出来ないというのが最悪の事態です。交渉というのは交渉しなくちゃ話は進まない。日本のように解決しないと話もしないというのでは、交渉のカードをハナっから捨て去っているのと同じです。当たり前ですが交渉しなくちゃ解決出来ない。

だいたい日本政府だって拉致問題と核問題のどちらに優先順位をつけるのかと言えば、そんな事は言うまでもない事です。こういう当たり前の思考すら、言う事そのものが不遜だという空気がどうかしている。拉致が解決していないのに、核問題を進展させるなんて売国奴だ的な事を言う連中が多すぎる。

極論すれば核攻撃を受けても構わないから、もしくは核の拡散によって核の脅威が新たに生まれ、コントロール不能に陥る事態になっても構わないから、日本の拉致問題を解決すべしなんてコンセンサスは取れるわけが無い。北朝鮮の体制が崩壊して、暴走が始まり、難民化が進み、周辺諸国に取ってもっと厄介な事態になる事は避けたいに決まっている。それは日本だって同じ事です。

拉致問題は大切です。だけどそれは解決する為に必要な手順を踏まなければ解決出来るわけが無い。テロ指定国家に名指ししたまま、経済制裁を加え、交渉をしないでいれば解決するのでしょうか?

極論すれば国交正常化しちゃえば情報だって入ってくるようになるし、北朝鮮に人が行き来出来るようになるという事は、今よりも消息を掴める可能性が増えるという事です。北朝鮮利権で一儲けしようと思っている連中は確かにいるでしょう。だけどそういう連中はそれはそれとして叩く必要がありますが、だから北朝鮮に強硬論一辺倒で上手く行くのかと言えば、可能性は限りなく乏しい。強硬論をほざいても所詮アメリカ頼みである以上無駄です。

可能性は限りなく乏しいのは同じですが、少なくとも交渉して返してくれという事を言える状況になっている状態の方が、なっていない状態より可能性がある。

本当は拉致問題というのは交渉の為のリソースとしては非常に重要な効力があるカードです。今はもう手遅れですが、拉致問題を抱えている日本ですら、北朝鮮の核問題の解決を優先させ、交換条件として経済支援まで具体的に示しているという風に渋々ではなく、早い段階で仮になっていれば、北朝鮮政府も日本に借りが出来るわけですから、今後の交渉のリソースにもなったはず。

それに加えて、六カ国協議国の間でも一定のイニシアティブも築けたはずです。拉致問題という重要な問題があるにもかかわらず、日本国民を説得し、国際社会の為に一定のコミットメントを示す事になる。それがその後の拉致問題に対する一定のコンセンサスを築く為にも有利なリソースになりえたはずです。解決への道筋が作れる可能性もあった。もちろんその外交力があるのか?という問題があるのですが。

それを自ら拉致解決無くして、交渉は一切しませんと最も有効なカードを早々と捨て去ってしまった。普通に考えれば日本一国の問題を六カ国協議の最優先議題にしてくれなんていう論理性の無い主張が通るわけが無い。何十万人の命に関わる問題と拉致の問題のどちらが優先事項かは日本の政府だってわかっているはずなのに、ポピュリズムに走る思考によって、国民感情にさおさし、簡単な優先順位もつける事の出来ない思考停止状態の連中等、構っていられないとなるのは当然です。

日本の拉致問題の為に周辺諸国の皆さん一緒に危険な思いをして下さいという言い方が、どれだけはた迷惑な自分勝手な国だという印象を与えるのか、ちょっと考えれば誰にでもわかる。アメリカのように横暴を押し通しても文句を言わせないようなリソースがあるのなら話は別かもしれませんが、北東アジアでは嫌われ者国家の日本がそういう主張をすれば、益々孤立するだけで、こういう所というのは、必ず突っ込まれてイニシアティブを握れない状態につながってしまう。

こういう合理性計算の出来ない万歳突撃バカを情緒論に煽られたアホな国民が支持してしまった。

拉致被害者家族はそりゃ自分の家族の問題だから、感情の問題と合理性の問題を峻別出来ないのはわかる。だけどそれ以外の国民まで可哀想だからというフックに引っかかって、脳味噌カラッポの断固決然バカ政治家の人気取りのリソースにまんまと利用されてしまった。結果的に交渉はスタックして、六カ国協議でははじき出され、日本を置き去りにして交渉がどんどん進み、あせって六カ国協議にコミットしたものの、結果はご覧の通り。殆ど拉致問題に関しては何の進展も無ければゲインも引き出せなかった。

国際問題というのは力の政治です。きれい事や正論は無力。独力で武力によって自力救済出来ない以上、交渉で有利な状況に持ち込めるような外交が不可欠です。そういう能力のある政治家なんてどこにもいないという問題もありますが、我々は目先の人気取り的パフォーマンス、解決する事より、解決するぞと拳を振り上げる事にポイントを置くクズのアジテーションに引っかからない民度が重要です。

そういう被害者感情をブーストさせるような下らない報道を観て、感情の問題と問題の解決に必要な事をわけて考える事の出来ないたわけ者が多過ぎます。これがどうにもならない。マスメディアがどうしようもないというのと相互補完関係です。可哀想だと思ったら、可哀想だというよりもすべき事がある。それをやれという監視こそ重要なのに、拉致をないがしろにしているとか言ってすぐに吹き上がる。拉致問題を解決する事が重要で、拉致問題は大切だと叫ぶ事が重要なわけではない。政治に重要なのはプロセスよりも結果です。こんな事はマックス・ウェーバーを参照するまでもなく基本中の基本です。それが出来ないなら政治家なんて辞めた方がいい。

肝腎なのは今後どうするかで、今回の結末はこれまでの日本の舵取りから考えれば当然の帰結です。こうなる事はバカでもわかる。

結局拉致問題の話もちょっと時間が経てば国民も忘れるであろうから先送り、もしくは福田政権はどうせもうすぐ終わりだから、こんな面倒くさい問題は後回しというそぶりが見えるのなら、それを忘れるなという釘を刺す事は重要です。しかし交渉しながら経済支援をちらつかせたりするのは、むしろ解決策を模索するために必要な事だという見方は重要です。その交渉能力がそもそも信じられないというのは自分もそう思いますが、断固解決と拳を振り上げ、早々とカードを使い果たし、一歩も前に進めないどころか手詰まりに陥ってしまった、前政権の尻拭いが今回の帰結を生み出している。

とまあ、この問題は散々書いて来ましたので、こういった表面的な話はあんまり興味もないのですが、相変わらず繰り返される不毛な図式に辟易です。自分が読んでいる新聞にも、アメリカはテロ指定解除をしてはならない!!みたいな事が書いてありました。誰に向かって言っているのか、何の効果があるのか、全く意味がわかりませんが、アメリカ頼みというこの図式の中にいる以上、こんな事ほざいたって無駄に決まっている。

さて今回はこの問題から見えてくる、この国の現状を書こうと思ったのですが、拉致問題の顛末のバカさ加減についついエキサイトしてしまいました。次回でもう少し深いレイヤーで話を進めようと思います。

つづく!!