少し前にスティール・パートナーズの買収を受けている、アデランス・ホールディングの株主総会で取締役の再任が否決されるというニュースがありました。このニュースの翌日、アデランス株、日本株は暴騰。大爆笑でした。

それとクラスター爆弾のダブリンでのオスロプロセスでの成果。食料サミットでの日本の方向性。環境に対する急激な舵の切り替えも含め、ある方向性への力学がある。

そして中国への自衛隊機派遣問題でのマヌケな官房長官の勇み足。

今この国では様々な力学が複雑に絡まっています。今日はその辺の所を突っ込んでみようかと思います。それではおっぱじめます。

自分はスティル・パートナーズのリヒテンシュタインとか言う目立ちたがり屋の事を見ているとムカつきます。日本を教育してやる的な事をほざいていたわけで、偉そうに何を言ってやがると思ってます。

しかしかと言って、彼らの言い分が全くの出鱈目かというと、日本企業側、日本の政治、それを報じるメディア、そして日本人の金融リテラシーの無さ加減は絶望的に感じてもいましたので、そういう意味で言えばどっちもどっちと言うか、日本も相当酷い状態です。日本の株式市場は酷すぎる。公平さや市場の意味をそもそもはき違えている。

TCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド)のJパワー株買い増し中止勧告なんかも大騒ぎしておりましたが、上場しておいて、市場のおいしい所を利用しているくせに、都合が悪くなると公平さをかなぐり捨てて、株主利益を損なうような振る舞いをするのはフェアーではありません。そんな事してるから景気がよくならないわけです。Jパワーは安全保障上重大な問題を含んでいますので、事ここにいたっては政府の決定もしょうがない部分もあるとは思いますが、だったら最初から上場なんてすんなよって感じは拭えません。

Jパワーというのは社外取締役が一人もいない。世界の常識からすれば有り得ません。配当を100億から200億に上げろという事を言われている中で、680億もの金を持ち合い株に使っているわけです。これについて詳細に説明もしていない。しらばっくれて使っている。安全保障上の観点から国営のままでいるというのは別に当たり前ですしどこの国でも普通にある事です。それを民営化するという事を決める時にもう少し事前に考えておくべき事で、市場に上場しておいて、ルールには従いませんでは信用を失ってしまいます。

Jパワーは、本州、北海道、四国、九州を結ぶ送電網を独占して持っています。東日本と西日本では電気の周波数が違い、この変換装置もJパワーだけです。どこかで災害が起こって電力の供給を他の地域から補う場合、Jパワーの存在は不可欠であり、こんな所をわけのわからない悪意のある会社が買収してしまったら、安全保障上、首に匕首を突き付けられているような状況になりかねない。電力料金を恣意的に値上げさせる事を認めなくてはならない可能性だって内包されている。こんな重要な所を上場なんてすべきなのか?民営化にする必要があるのか?という疑問がどうしても拭えないわけです。上場するのなら黄金株を導入するとかもっと他に方法があったんじゃないかと。

こんな事をやってたら、そりゃ資本も逃げて行きます。

景気がよくならないという事は、株主だけではなくて、みんなが困ります。しかし買収防衛策などやって誰が得をしているのかと言えば、ようするに経営者だけです。こういう構造を、経済オンチの日本人が諸手を上げて拍手喝采している様は情けなすぎて涙も出ません。

そういう意味で言えばスティールは気に食わないけれど、今の日本には必要な力学でもあるのではないかと思うわけです。

日本は政治家も経済オンチのアホが多いのですが、司法関係者や官僚まで酷い状況です。村上ファンドが叩かれた時、「株を安く買って高く売る事を徹底的に追求する姿には慄然とする」という表現を判決文に盛り込んで読んでしまったりしています。スティールの事も乱用的買収者とか言いました。欧米では乱用的買収者という表現がありません。恣意的な言葉です。

これは相当ズレたずっこける認識です。話にならない。一言で言えばバカです。

安く買って高く売るというのは、どんな商売でも鉄則です。それをやってない会社は潰れる。それが問題ありだと言っちゃったら、経済活動は何もかも出来ない。トヨタだって日産だってソニーだって、近所のスーパーだって大企業から零細企業まで、みんなやっている経済活動の鉄則です。安く買って高く売るのは当たり前。

それが当たり前だと思えないという、おもいっきりズレた感覚を、日本の司法は持っているわけです。これでは市場経済なんて止めた方がいい。というか市場もクソも無い、すべての商売が成り立たない。慄然とするという表現も乱用的なんて表現も、主観的な表現で基準は一切無い。気に食わないから排除すると言っているに等しい。

こんな無知な司法制度が偉そうにしているわけですから、これでは資本が入ってこない。逃げて行ってしまう。国を閉ざして結果的に資本が逃げてしまえば、苦しむのは国民です。世の中の雰囲気に媚びて、司法が軽はずみに主観的表現を使ってしまう状況は頂けません。

北畑とかいうスットコドッコイな官僚が、デイトレーダーは虫けら、議決権を剥奪してしまえ、人間扱いする必要は無い的な言い方が騒がれましたが、これはもちろん言葉のあやなんでしょうけれど、ちょっと見識が無さ過ぎる。ハッキリいいますが、株式投資で最もリスクの少ない投資方法はデイトレードです。長期投資が一番良いのだみたいな事を思わせるような風潮もありますが、これは嘘です。

オーバーナイト、オーバーウィークエンドで、がらりと変わる。人間は先の事はわからない。わからないのだから持ち越すという事はリスクにしかならない。儲かったとしてもそれはたまたまそうだったという話で、予測不能の事態が起こって暴落なんてパターンを避けたかったら、一日で利益確定しておく方が、儲けも少ないかもしれませんが、リスクも少なくて済む。リスクを最小化するのが最終的には一番儲かるわけです。

なので普通に考えれば、長期投資なんてバカらしい。ギャンブル的な要素が大きい。ジム・ロジャーズやウォーレン・バフェットじゃあるまいし、一般人では中々リスクも織り込み済みで勝負はし難い、短期投資であればあるほど、手堅いギャンブル性の少ない投資であると言えます。

長期投資で保有していた銘柄が突然インサイダーや不祥事、粉飾などによって上場廃止では洒落にならないわけです。それにそういう風になって訴訟を起こしても日本では殆ど勝てない。そんな市場で長期保有なんて自殺行為とも言える。

投資っつうのは慈善事業じゃありません。経済活動です。儲からなきゃ誰もやらない。デイトレードであればリスク回避も簡単ですから、一番負けない戦い方でもあると言える。負けない戦い方をしている奴が最終的には勝つわけです。孫子だってそう言っています。

まあデイトレードのリスクについてはひとまずわきにおいて、仮に言われているような認識でデイトレーダーを切って捨てたとしても、北畑の認識は全然話になりません。

市場というのは投機の場でもありますが、同時にヘッジの場でもあるわけで、売りたいと思った時に売れなけりゃ、誰も買う人はいません。流動性があって初めて市場の健全さも保たれる。流動性が嫌だったら上場なんてしなきゃいい話です。それに日本というのは資本主義で市場経済を採用しているわけです。その土台にいながら市場経済を批判しても意味がない。アメリカの核の傘の下にいるのに平和を叫ぶバカ左翼やアメリカの奴隷のくせに威勢のいい事をほざくポコチン保守と変わらない。

昨年五月、三角合併という話が大騒ぎされました。これを認めてしまえば、外資が日本市場を食い荒らすのだ、と言った感じの脅威がバカメディアなどによって随分報じられ、それに乗せられる国民、アホな政治家と黒船来航的な大騒ぎが起こった。経団連なんかも随分反対していたわけです。

しかし蓋を開けてみれば、シティによる日興コーディアルへの三角合併を使った買収、しかも友好的なものが一件あったというくらいで、当初大騒ぎされていたようなものとは全く違い、黒船来航どころかそもそも来てもくれないという状況が実際に起こった結果だったわけです。

もちろん三角合併が解禁した当初、日本の経済状況も悪いわけではありませんでしたが欧米の企業に比べると時価総額が小さいので、株式交換によって外資が買収出来るようになってしまうと、日本の危機であると、特に敵対的買収を誘発するのではないかとの懸念があったわけです。それに対して欧米がステートメントを発表し、こういうのを規制をすると外国人投資家が日本に行かなくなるぞと警告もしている。

その後、サブプライムなんて問題が大打撃を世界経済に与えましたので、買収どころの話ではないと言うのは確かなんですが、それにしたって解禁したらお終いだ的な言い方は全くの出鱈目で、全然相手にされず、サブプライムが深刻になり益々相手にされないという構図でしたので、サブプライムがあったからしょうがないという言い方も出来ません。

一方で日本企業は買収防衛策をどんどん取り入れていて、すでに上場企業の10%が導入したという話になっている。オーストラリアの投資会社マッコリーが日本空港ビルディングの株を20%取得したという事実が明らかになると、国土交通省などが先陣を切って、愛国的建前と言うか、安全保障の観点で、政府では外資規制をという話が出てくる。

これに対して中川秀直のように、ダボス会議での対日投資拡大の国際公約の舌の根も乾かぬうちにけしからん!的な、政権への不満が噴出し、大騒ぎになります。よく調べれば、この日本空港ビルディングという会社は安全保障には何の関係もなく、外資規制するような必然性はどこにも無かったというアホな顛末が出て来ている。単に役人の天下り先であったという事が明らかになったわけです。

空港の本体ではなくて、管制塔とか滑走路とか、空港を運営して行く上での不可欠な安全保障上重要な設備ではなくて、空港の食堂とか駐車場とか売店とか安全保障とは何の関係もない所を運営している会社で、役人にとってのおいしい天下り先が減るという事のみで大騒ぎをしていたバカらしい話です。

年俸4500万とか言われていますが、そんな役員はいらないので経営を効率化してちゃんと配当しろという話になったら困るという事で外資規制とか言っていたわけで、こんなものはナンセンスな話です。空港本体の話であれば、外資規制という話は理解出来ますが、それだったら上場なんてしないで国営のままで行けば済む話です。

90年代後半、日本の通信キャリアからすれば株式交換というのは必要だという認識があったはずです。キャッシュを用意する必要が無く、動きやすいという利点があるわけで、それが出来ないという事が欧米がどんどん大同団結しているのに対して遅れを取ってしまう、だから早く解禁してくれという議論があったのですが、いざ始めるという話になると、身内の経団連から、けしからんという話が出てきたりする。ここには勘違いとマスコミの出鱈目な報道が作用している部分もあったでしょう。

例えばソニーもずっと前から株式交換がしたかった。日本企業として最初にニューヨーク市場に上場したわけですが、その時の狙いは株式交換、コーポレート・カレンシーが必要だという話だった。

ちなみに株式をコーポレート・カレンシー(企業通貨)と最初に意識した日本の経営者は、ソニー創立者の一人である盛田昭夫氏と言われています。ソニーは1960年代に米国預託証券を発行し、自社株買いや株式交換など資本主義・株式会社の洗礼を受け、盛田氏は、株式が通貨に匹敵する現実をみて、「経営者は通貨の発行責任を自覚する必要がある」と語っていたそうです。この事を踏まえていない経営者が多すぎますし、行政も全然わかっちゃいない。もちろんメディアも。

ソニーが株式交換によって何をしたかったのかというと、コロンビアピクチャーズやCBS Inc の買収なんですが、いざそれを使おうとすると出来ないという事に気付くわけです。なので現金を何千億も使って買収し、高値買いと批判され、ジャパンバッシングの源ともなり、90年代半ばに多額の償却損を計上することに繋がり、株価が急落するという帰結になる。

これも株式交換を解禁していればこんな事にはならなかったのではないかという見方もありますし、そうしていればジャパンバッシングも違ったものになっていたかもしれません。アメリカから見れば三角合併解禁はソニーの為に行なわれたという見方もあるくらいです。単に日本企業が買収されるという話だけではなく、日本企業が海外に出て行く為には有利な状況も作り出す事が出来るというわけです。

しかし日本の三角合併に対する一般的な認識や啓蒙されるデマゴギーは、外からやってくる話ばかりが取り上げられる。同様に日本企業も海外に進出しやすい環境になるという利点も含まれているわけです。三角合併解禁というのは、外からやってくるのと、外に出て行くのとが同時解禁であって、外からの脅威ばかりが取り沙汰され、防衛の話ばかりになってしまった。同時解禁とは言うものの、外からやってくる、その一年前に内から外への解禁が先行して行なわれている。しかしそちらは全然光が当たらない。

東芝、ウェスティングハウス買収、日本板硝子、ピルキントン買収、ちょっと違いますが、ソフトバンク、ボーダフォン日本法人買収。何千億単位の日本の企業が海外の企業を買収するという動きが何件もあり、そういう事を三角合併は支援する話でもあるのに、攻められる攻められるという話ばかりになってしまっている。黒船だなんてのは嘘で、日本が黒船なんじゃねえかって見方だって出来るわけです。少なくとも海外からすればそう見える。

攻める側で使いやすい制度が欲しければ、攻められる側でも使いやすくさせなけりゃ話にならないのは、国際的資本取引のルールから言えば当たり前で、そこを突っぱねるような外交的な交渉力もリソースもゲバルトも無い以上、自分達ばっかり都合がいい話なんて通るわけが無い。本来であれば外からも外へも同時スタートであるのが当たり前とも言えます。散々日本企業が海外に進出しているのに、いざ海外が来ると閉ざしたり、株主利益なんて全く考えていない防衛なんてやってたら、そりゃ相手にされなくなるのもしょうがない。

そもそも2005年度の対内直接投資は一位イギリス、二位アメリカ、三位中国、四位フランス、五位オランダ、ずーーーーっと行って、日本は五十番目で先進国とは言えない状況です。逆に対外直接投資で見ると一位オランダ、二位フランス、三位イギリスに次いで、日本は四番目です。出て行くのはバンバン出て行くのに、入ってこられるのは困るという構造です。

魅力が無いという事もありますが、入れないような仕組み、公正とは言えない仕組みによって守っている。確かに外資を無自覚に受け入れていれば、問題は無いわけじゃない。あるでしょう。だけど現状を冷静に見れば、どうやったら資本が海外から入ってくるのかという事を考える事の方が全然切実で、それをしないと、いつまでも叩かれるエビデンスを与えてしまう事にしかならない。先はしぼんで行くばかり。

例えそれで問題が浮上するとしても、こういう戦略では合理性が全くありません。三角合併がたいして問題にならなかったからよかったじゃなくて、構造的な問題があるという事を認識する必要があるのだろうと思うわけです。

つづく!!