前回の続きです。

さて前回多少、教科書問題について書いたわけですが、沖縄戦の問題に触れるのは一番最後にすると書きましたが、その前に触れておきたい問題点があります。かなり遠回りしますがご容赦下さい。

これは非常にタイムリーな話題でもありますので、これだけで一本ネタを書けるような話なのですが、所謂、防衛利権です。

全くどうでもいいような話ばかりでおそらく本丸に達する事は間違いなくなさそうな様相を呈してきましたが、この問題の本質は沖縄、そして旧経世会、そしてそのカウンターとなった、旧清和会の権力闘争。そこまで踏み込まないとこの問題の本質は見えて来ません。

額賀がどうしたとか、久間がどうしたとか、そんな事は全然本質ではありません。

守屋の証人喚問で実は非常に重要な事を彼は言っています。額賀や久間が同席したとかしないとか、そんな事はどうだっていい話です。彼は退官後、久間からGEと直で契約出来ないかという話をされたと言っています。自分の退官後に何でそんな話をするのだろうと不思議に思ったと。

これは決定的な証言です。この言葉の意味を理解すれば彼が何を伝えようとしているのかが明らかです。しかしその事は今の所、全くのスルー。

もちろん民主党をハメる為にとった戦術かもしれませんが、非常に微妙な発言です。

防衛利権というのは軍事機密と言う盾を使い、聖域と化している利権構造です。ハッキリ言ってその闇は非常に深い。木っ端役人の一人二人、腐敗した企業の一つや二つ、脇の甘いバカな政治家の一人や二人の事なんて小さな問題です。特捜がどこまで踏み込むのか知りませんが、何となく今の情報のあがり方やメディアの動きなどをみていると、悪い役人と企業を罰して、せいぜい政治家一人か二人が痛い目にあうというくらいで矛先をおさめそうな雰囲気です。

この構造が表に出て来た理由として、まず山田洋行と日本ミライズが刺しあっている。という希有な状況のおかげである事が特徴としてあります。これは滅多にないチャンスです。

元々不動産デベロッパーであった山田洋行という商社に、元自衛官である宮崎という男がそのコネクションをフル活用して防衛商社としての礎を築いた。恐らくこれは建前上のネタなのでしょうが、山田洋行が不良債権を多く抱え経営上の問題から身売りする話が浮上する。その売却相手にホリエモンの名前が出てくるのですが、その不信感から宮崎は部下を根こそぎ引き連れて、日本ミライズという会社で独立します。この買収話が本当なのか、独立を正当化する為のフェイクなのかはわかりませんが、とにかくそういう対立と言うか因縁がある。

これが小泉安倍路線が弱体化しバックフラッシュが起こっている過程で、元々利権を握っていた山田洋行が日本ミライズに奪われてしまった事に対する憎しみと言うか、利権獲得競争の鍔迫り合いというか、山田洋行側からのリークによって、守屋、宮崎問題というのが浮上したわけです。そして守屋は証人喚問の最中、山田洋行側、ようするに旧経世会側の問題点を暴露した。言わば死なばもろともという事でしょう。

だから単に山田洋行がどうとか、日本ミライズがこうとか、宮崎守屋がけしからんとか、額賀久間がとんでもないとか、そういう構造の裏側に、旧経世会と旧清和会のアメリカン・プラットフォームの上での防衛利権の鍔迫り合い、権力闘争という事があります。この問題の本質はその防衛利権の闇、沖縄問題に直結しています。政治家や役人にとっての利権、膨大な金を生み出す構造に切り込まないと、形が変わるだけでこの集金システムは温存されてしまう。そこを啓蒙してもらいたい所なのですが、殆どその部分はスルー。

山田洋行グループというのは、親会社は不動産デベロッパーです。このメインバンクが現在の三井住友銀行である、元々の住友銀行。住友銀行というと、旧経世会。貿易商社という側面ではなく不動産デベロッパーとしての山田洋行グループも、そもそも非常に政治的な繋がりがあったのではないかという見方が濃厚です。

山田洋行という後発の弱小貿易専門商社が、なぜ五大商社の独占状態の間隙を縫って、巨大な防衛利権に食い込む事が出来たのか?という理由もおそらくこの辺にあると思われます。旧経世会の防衛利権の代理人として。

守屋が旧経世会側の人間の名前を出した理由は、これ以上俺達、つまり日本ミライズ側、もっと言えば旧清和会というか小泉純一郎、飯島秘書官などの構造に手を突っ込むのなら、そっち側、つまり旧経世会側も無傷では済まないぞ、というある種の脅しです。

久間が守屋に言ったとされる言葉の裏には、日本ミライズ側が握った防衛利権をひっぱがして、元に戻すという合図です。GEと直で契約なんてするわけがない。間に商社を噛ませる事で膨大な利権製造マシーンとして利用出来るわけですから、結局日本ミライズから利権をひっぱがす事の正当性の根拠として、直接契約と言っているに過ぎません。どうせ上手く行かないと言って、山田洋行側か、山田洋行に土がついて危険であるのであればパージして、それに変わる旧経世会側の新たな代理人をはさみ利権を取り戻すという運動に他なりません。

元々GEの代理店契約をしていたのが三井物産系の会社。そこから山田洋行という弱小貿易商社が代理店契約を引っぱがしたわけです。そもそも何でそれが出来たのかという問題がある。そして日本ミライズがそこから更にその利権を奪った。出来立てほやほやの何の実績もない新しい会社に代理店契約を乗り換えたわけです。普通にいえばそんな会社が防衛省との契約に食い込むのは難しい話です。だからもちろんそこにも何らかの後ろ盾があったわけです。守屋を事務次官に据えたのは誰かを考えれば、言うまでもありません。

守屋と小池のバトルの際、結果的に小池は防衛大臣を辞めましたが、守屋は顧問として残りました。なぜか?

守屋というのは普天間移設問題のV字滑走路推進役の守り神であったからです。V字滑走路というのは、小泉純一郎、飯島秘書官が強力に押し進めて来たラインです。守屋が飛べば、海上移設案にスイングバックしてしまう。

小池というのは元々小泉政権の際、沖・北・担当大臣でした。その際、小泉から釘を刺されています。沖縄から一銭も金を貰うなと。そこで小池はその教えを忠実に守った。だから久間が飛んだ際に防衛大臣に任命されたわけです。ようするにV字滑走路の推進役として。

しかし安倍塩崎ラインから小池ははぶかれます。塩崎と非常に仲が悪かった。これは醜い己の自尊心をめぐっての鍔迫り合いでした。どっちが優秀であるか、安倍にどちらが気に入ってもらえるかという。小池は補佐官時代に渡米して米NSC担当のハドリー大統領補佐官との会談の際、官房長官であった塩崎が直接ハドリーに電話して、貴方のカウンターパートは私だ、という事を言って、小池の面目を丸つぶれにし、塩崎VS小池のバトルが始まります。後に防衛大臣になった際に小池は渡米し、鼻高々でバカ発言を連発したのもこの事が元にあります。

小池は防衛大臣に任命されたものの、塩崎とバトルをしていたので誰にも相談出来ません。清和会でありながらあろう事か、経世会側の防衛族に相談してしまう。己の優秀さを誇示する為に。現防衛大臣である石波に相談を持ちかけると、当然守屋はとんでもない奴だという話になる。安倍政権にとって時限爆弾になるという事を察して、よい子ちゃんを誇示する為に、独断で事務次官人事を決めてしまう。当然塩崎に対する当てこすりもあります。再び塩崎VS小池のバトルが始まり、安倍は私は聞いていないという風になる。

小池も小池でなんで自分が防衛大臣に成れたのかという力学を理解していない。小泉に相談すればいいものを、旧経世会側に相談する事によって、V字滑走路推進派同士で内ゲバが始まってしまったというわけです。この事務次官人事をめぐっての決着の影で動いていたのは、間違いなく小泉純一郎です。小池は守屋に対してああだこうだ言ってますが、間違いなく彼女はこういう構造なんて知りもしないし、気付いてもいなかった。

元々守屋というのは事務次官に成れる可能性としては非常に乏しい人材でした。彼が事務次官に成ったときの防衛庁長官は旧経世会の流れを汲む石波。防衛庁長官が出した事務次官人事は守屋ではありませんでした。それを人事検討会議で守屋に差し替えがあったわけです。当時の総理大臣はもちろん小泉。旧経世会防衛族、石波、額賀、久間のような連中からすれば気に食わない人事であったわけです。

なんでそんな奴を事務次官に小泉が据えたのかと言えば、普天間移設問題に絡んでくるわけです。旧経世会側のズブズブの人事であれば、普天間移設も旧経世会の利権構造に組み込まれてしまう。小泉の政治目的は旧経世会憎し、経世会潰しがあったわけです。防衛利権を経世会から引きはがす為に守屋を事務次官に据えたわけです。

普天間基地を移設しなければならない。それをなんとしても名護に持っていきたいという事で、北部振興資金という沖縄北部の土建業者に年間150億もの金をばらまく政策が小渕内閣以降取られて来ました。これは沖縄県や名護市からの要請で、建前上は名護への移設とは別問題、北部の経済を振興する為の資金という事に、小渕、森内閣で認めた。

この年間150億のうちの2割が使途不明になっています。これに守屋は気付いていたと言われています。この北部振興資金というのは小泉政権の際廃止になっています。名護がOKを出すと沖縄が反対する。沖縄が賛成すると、名護がNOと言う。こうやって中々決着がつかない構図を残しておけば、毎年150億が入ってくるわけです。作ってしまったらこの金は入って来ませんので、そうやって金が流れ、2割使途不明になるという構造があったわけです。もちろんそれがどこにキックバックとして還っていくのか、想像すれば簡単な話です。

これを小泉が経世会潰しとしてぶった切る。そして守屋を事務次官に据える。海上フロート案、埋め立て案を名護の土建業者は望んでいたものの、珊瑚礁やジュゴン、ようするに環境によろしくないという建て前で、旧経世会側が押し進めて来た海上移設案を葬り、V字滑走路案にシフトしていくわけです。小泉飯島ライン、守屋、そしてここに久間がどういうわけかこの案に乗って来ます。久間は防衛利権のドンを目指していたのかもしれません。

名護市の助役の親戚が現地の談合を取りまとめるトップに君臨しています。ですから海上移設案に伴う工事というのは一般競争入札と言っても随意契約と変わらない、談合によって決まってしまいます。そこに落ちた金がキックバックとして政治家に、献金という形でかえってくる。この構造を旧経世会は新たな利権の巣窟として利用しようとしていました。

海上移設案とV字滑走路の事業規模は桁が一桁違います。だから正確に言えば清和会側が利権を奪ったという言い方より、経世会の利権を潰したという言い方、小泉の私怨、経世会憎しが原動力になったものでしょう。そうなると、例え私怨にしろ、仮に利権を奪ったにしろ、事業規模が一桁減っているわけですから、腐敗した利権構造を小泉がぶった切ったという話になりますので、改革とか腐敗を潰したという話になり、悪い事ではないように聞こえてしまいますが、事はそんなに単純な話ではありません。

この一連の動きにはよりアメリカに追従する、ようするに構造改革といわれる利権の変化があったわけです。牛肉オレンジ交渉から大規模店舗規制法緩和、建築基準法改正等々、80年代後半からアメリカン・プラットフォームを受け入れる事によって世の中が事後チェック型の社会に切り替わりました。そうなりますと旧経世会的な利権の構造は簡単に可視化できる社会になってしまいましたので、当然選挙に響くようになります。自民党が下野した事もあるわけです。そこで生き残りをかけて新たな利権構造に対応したのが、小泉純一郎が押し進めた所謂構造改革です。

例えばオリックスの宮内のような人間が、政府に規制緩和を求め推進する。しかしようは自分の儲かるところを規制緩和してもらって、利益を得るという構造です。これが今の利権の構造になっているわけです。

さてこの前提を踏まえると、沖縄の教科書問題による盛り上がりも、あるメッセージが影に隠れているという事に気が付くはずです。ある意味小泉安倍ラインの弱体化によって吹き出しているわけです。

沖縄というのは、米軍基地を受け入れて日本の安全保障を担って来ました。しかしその見返りとして莫大な公共事業というアメを与えられて、腐敗と堕落が表裏一体としてあります。実際に基地によって生活を立てているという現実もある。

そもそも沖縄の復帰までさかのぼっても西山太吉事件のような黒い金の疑惑があるわけで、ずっと自民党の沖縄戦略というのは金で安全保障を沖縄住民に押し付けて担保するという構造、そして一方ではアメリカよりも日本政府に対するルサンチマンを爆発させる事によって、金を吸い出すというズブズブの関係がまずある。

沖縄に安全保障の要をアメリカに依存しながら押し付けている我々本土の人間のメンタリティと、その弱者性を運動として利用し、日本政府に依存する沖縄のメンタリティという、戦後我々日本人が向き合ってこなかった、軍事的な安全保障という問題に直結するわけです。

ここから教科書問題を眺めると、単に沖縄に対する記述がどうこうなんて話は本質ではないのです。我々本土の人間は今後も沖縄を前大戦と同様に見捨て続け、沖縄はその見返りに利権を要求するという構造が残っているかぎり、沖縄の人達が前大戦で悲惨な目にあった可哀想なんて話で決着したのでは、結局堂々巡りになるわけです。

つづく!!