小沢民主が打ち出している国際貢献について、現状では戸惑いが起こっています。雑誌「世界」に書かれた、国連政務官の書いた論文、所謂「川端論文」これはOEF-MIOの後方支援、テロ特措法、そして与党が通そうとしている法案、ようするにガソリンズタンド法に反対する野党、そしてシーファーとの会談で小沢党首が突っぱねた事に対して書かれたもので、それに対して書いた所謂「小沢論文」が引き金になった騒ぎです。

小沢氏はその中で政権を取ったらISAFに出したいと言いました。これが非常に物議をかもしている。現状では民主が出す対案にはISAFへは参加は見送り、NGOなどのアフガンで活動する民生組織などへの支援等、少し直接血を流す可能性のある貢献からトーンダウンしています。

一体全体何がしたいのだ、非難されたから強硬策を引っ込めたのか、という感じで言われたりもしていますが、小沢氏の言い分は意外とシンプルな話です。久しぶりに「日本改造計画」をざっと読み返しましたが、彼の言いたい事の本質はぶれていない。彼がいいたいのは、普通の国となって自立するという事です。

日本改造計画/小沢 一郎

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本当は自民党がテロ特をめぐって、インチキをしていたわけで、本来そこへ攻め込むはずであった野党ですが、小沢氏の発言によって、若干空気が変わりはじめている感じがあります。

自衛隊を派兵しインチキを繰り返すとんでもない与党というイメージだったものが、福田政権の抱きつきクリンチ作戦もありますし、日本人の国民性として、安倍さんが辞めたという事もあり、いったん水に流すか、という感じになる。

安倍さんはとんでもない男だったけれど、ああいう辞め方をすると、若干可哀想な感じを持ってしまうのが日本人の特性です。結局自民党の総理という事で、たいした違いはないはずなのですが、日本人は簡単にリセット感を持ってしまう。だからいきなりご祝儀相場とは言え、支持率が6割近くにもなる。

小沢氏の発言によって、テロ特よりも更にリスキーな国際貢献をするのだという姿勢の民主党、血が流れるという事に対してはアレルギー体質の日本人にとって、結構インパクトのある内容です。

それに対して自民党の国際貢献という名のインチキ、血を流さない、安全な事しかしない、といったアメリカ貢献が実態の無責任な国際貢献だったものが、福田総理の雰囲気や発言、スタンスなどから、穏健派の血を流す危ない事など簡単にはしない、所謂ハト派的なイメージに変わり、若干与野党間で逆転現象が起こっているような感じさえある。

自民党の方が何となく戦後の日本の空気に合っていて、小沢民主の方は何となく過激な、戦後的な感覚で言うとアレルギー反応をきたすような、そんな感覚になっているのではないでしょうか。

これには今のこの国の言論空間というか思想のパラダイムが変わったという事と、実際に世界の情勢が戦後の日本的なパラダイムでは対応出来なくなっているという問題が重なっています。

当然の事なのか単なる偶然かわかりませんが、この国の言論空間では旧来の右翼、左翼という思想が壊れはじめています。特に9条護憲ただ乗り平和主義、アメリカの強大な軍事力、核の傘のもとにいて、戦争経済のおこぼれで大儲けしておきながら、平和主義だとのたまう非倫理性や矛盾に対して、誰も、特に左翼が問題にして来ませんでした。

その感覚が今でも国民やマスコミを支配していますが、実際には所謂筋金入りの左翼というより、国民の感情の受け皿的な左翼は小泉訪朝によって、拉致問題に光が当たった瞬間に崩壊してしまった。弱者救済と言う物言いの影に隠れている胡散臭さが国民に気付かれてしまった。だからその感情の受け皿としての左翼勢力や言説、思想というのは完全に死に絶えてしまいました。

もちろん左翼思想でもタフな言論活動をしている人々もたくさんいますし、本当の意味での左翼思想が死んでいるとは思いませんが、一般的なイメージとしての左翼的な受け皿は壊れた。当然それのカウンターとして機能していた、右翼も空洞化し、安倍みたいな勘違いバカが出て来たりしましたので、いもしない亡霊の受け皿としての左翼の幻影に拳を振り上げて、結果的に自爆してしまった。インチキ左翼を相手にするインチキ右翼や保守というのは補完関係にあるというか、そもそも最近まで吹き上がっていた勘違い右翼というのは、インチキ左翼のカウンターとして存在したという部分もあったので、片方が潰れれば片方も必然的にバランスを失って潰れてしまう。インチキ左翼が力を失えば、そのカウンターパートのバカ右翼の存在意義は消えてしまう。

ある意味、参院選での結果は安倍的なバカ右翼は勘弁してくれという結果だとの見方も出来ますが、だからと言って左の政党が票を伸ばしたわけでもありません。

だから残っているのは、普通の国としていかに舵取りをして行くのかという、若干重心を低くした大人の感覚に多少脱皮した感があります。

ただし多くの国民やマスコミの一般的な感覚はまだまだ置き去りですので、少し戸惑いもある。

要するに戦後的な空気、何があっても血を流す事はちょっとね、という感覚の受け皿がない。本当は民主党がその役目を果たすのかと思ったら、なんか自民党より過激な事を言い出しているように見えるし、かといって自民党が昔のハト派的なイメージを感じるけれど、テロ特ではインチキを繰り返し、ついこの間まで強行採決ラッシュを繰り返し、ちょっと参院選に負けたから手の平を返しているだけで、今イチ信用出来ない部分もある。

日本人というのは水に流す性質を持っていますし、健忘症でもあるので自民党のハト的なイメージにつられて流れて行きそうな感じはありますが、まだ今の段階ではあまりにもこれまでの自民党の振る舞いが生々しく残っているわけで、そこまで日本人も馬鹿ではないでしょう。

それと世界情勢が微妙に変わって来ている。どうも今までのただ乗り平和主義では乗り切れないような、不安を煽り、安心安全を声高に叫び、自由主義的な帝国主義化の空気が世界を席巻しはじめている。これは9.11以降からの急速な流れでもあります。

この空気にはただ乗り平和主義の上でのインチキ右左の幼稚な思考では実際に乗り切れないし、国民もインチキだと気付いてしまった。だから元々あっちへ行ったり、こっちへ行ったりする国民性の我が国は、インチキ右翼は最近討ち死にしたばかりなので、そこから離れたのですが、ただ乗り平和の腐った感受性であるインチキ左翼幻想も死んでいますので、その受け皿が宙に浮いている。これを取り込むべく民主が振る舞うのかと思いきや、民主は過激な事を言っちゃった、そこでバカ保守の舌の根も乾いていない自民党が、ハト派的な空気を出して取り込みにかかっているという感じでしょうか。

これは左側の責任でもあります。護憲的なこの国の戦後的なものを守るのだという思想で現実的且つ、一般人に伝わりやすい受け皿になりやすい、大衆的な左翼思想というのが死んでいます。

大上段に構えた難しい議論をこねくり回すのは構いませんし、理想論を吐くのは勝手ですが実際に動員力がなければ単なる空論になってしまいます。特に政治の世界では、全く護憲政党というのは不人気です。それは一般人から見て頼りないというのもあるし、単なるきれい事を吐いているだけにしか見えないからでもあります。

つづく!!