前回の続きです。

現にこの国ではちょっとした環境ブームになっていますし、温暖化やそれにまつわる様々な環境問題が、既成事実として疑いもなく真実として伝えられています。そして人々はそれなりの意識を多少は獲得もしている。

しかしこれは一種の麻薬のようなものです。爆発的な動員を一時確保出来る変わりに、一過性のブームになる可能性も高いですし、いったんこういったショッキングな煽動に慣れてしまうと、もうヌルい物言いでは伝わらない。

そして一番厄介なのはバックフラッシュが起こる可能性がある。現在はこういった報道は殆ど表に出て来ませんし、大手メディアでは無視するでしょう。もうすでに温暖化防止ブームに乗って先行投資もしていますので、温暖化のエビデンスが実は単なる仮説だでは、回収出来なくなります。それは多くの温暖化防止ビジネスに便乗して一儲けを目論む人々に取って切実でしょう。

本気で映画「不都合な真実」を観て、良心を揺り動かされ、環境保護の空気に目覚めて、温暖化を真剣に考え始めた一般の人々に取って、今更梯子をはずされるような言説は目をそらしたいというのもあるでしょうし、金儲けの構造に組み込まれているだけだと言う事を認めたくはないでしょうから、そう簡単にはバックフラッシュはしないと思います。

しかしやっぱり恣意的な情報の選択によって啓蒙するプロパガンダは、やがて、なんだよ、ある立ち位置からの仮説なんじゃねえか、という事がバレ始めると必ず揺り戻しを起こします。こういった逆バネで儲ける言語空間というものもあります。結構そういう話は聞いた事のない人にとっては刺激的で面白かったりします。

プロパガンダを揺り戻すショッキングな言説も結局プロパガンダになりやすい、ある程度行ったり来たりすると、やがて温暖化ブームも去ってしまう、なんて言うパターンもなきにしもあらずです。オゾンやダイオキシンなんか典型です。

昨日の亀田家の叩かれようや不人気、手の平のかえり方などをみていても、世の中のトレンドがあっという間に変化する。ブームがあっという間に消費し尽くされ並列化されると、今度は引きづり下ろしてその過程を楽しんだり、そこで儲けたりする世の中ですから、恣意的な情報の選別によって、温暖化をあたかも既成事実であると決めつけて報道してしまうには、非常に危険が付きまとうわけです。本当なら、何で恣意的な選別をするのだ、という話になれば反論は出来ない。

こういう話が報道されようがなんだろうが、基本的に環境を守るという事は重要です。人が生きて行くための大前提だからです。それ抜きで経済を語っても、政治を語っても意味がありません。住んでいる土台が崩れれば金儲けもクソもありません。

それに人が生きて行ける環境であればいいのかと言えば、それは美しい自然やきれいな景色、できるだけ過ごしやすい環境である方がいいに決まっています。だから環境保護、温暖化防止は仮説だろうが何だろうが、予防措置をとるのは当然の事でしょう。今の人類が未来の人類の環境にツケを回して知らん顔していていいはずがありません。

こんな事は常識以前の話です。だけど、プロパガンダを用いずに動員を得ようとすると、中々追いつかない。だから麻薬であるプロパガンダを使いたくなる気持ちはわかりますが、これをやってしまうと後遺症がある。さて矛盾にぶち当たります。

こういった麻薬的な作用を及ぼし、民意を動員する手法は益々先鋭化しているのが現代社会。この国でも小泉政治や、それに続く安倍政治なんていうのは麻薬を打ちまくっています。北朝鮮へ拳を振り上げるという気持ちよさに麻痺したあげく、結局コントロール出来なくなり、事態は更に悪化していますし、官僚に怒りをぶつけたあげく、結局誰がそのツケを払っているのかと言えば国民が苦しむ事になるわけです。

そしてその流れに歯止めをかける、例えば参院選の与党ボロ負けも結局プロパガンダに対してのプロパガンダだったわけで、プロパガンダという麻薬に依存し汚染されているのが現状です。メディアのバカみたいな報道も益々底が浅くその手のものばかりに成り下がり、最近ではスポーツまでその有様。感情をフックにして情緒的に煽り人々を煽動し、単純な二項対立でバッサバッサ切り、ある方向に行き、逆バネが働くという事を繰り返しています。

これはアメリカのブッシュ政権もそうですし、ムーアの映画などに観られるアンチブッシュの視座も、結局プロパガンダのせめぎ合いになっています。麻薬を使えば一時気持ちもいいし、世の中が簡単に変わる、クリアカットなソリューションを得られるような錯覚ができる。しかし簡単に世の中は変わらないので、新たな刺激を求めて逆バネが働くというパターンです。

これは例えば中国でも反日感情を煽り、それを政治のリソースにして吸い上げて、最初の頃は気持ちよく調子もいいのだけれど、薬がキレて禁断症状に陥ると、結果的に政権の首を絞める事になる。自らリソースを狭める結果になる。韓国も似たような感じです。ロシアも今は民主化の反動があり、共産主義を懐かしむバックフラッシュが見られます。

こういう現象は世界的に見られ、国民国家という枠組みから、帝国主義の時代へと逆行しています。市民自ら自由や権利を手放し、クリアカットな解決策を求め、結果的により不自由になる。

もうプロパガンダに汚染された社会ですから簡単に脱却は不可能です。ここは一つそういうものに煽られない冷静さを取り戻さないと、事は益々悲惨になってしまいます。

当たり前ですが、温暖化防止や環境保護、アンチネオコン、アンチ自民党何でもいいのですが、そういう啓蒙は必要です。しかし一気に動員を得ようと麻薬的プロパガンダを使うと余計やぶ蛇になります。

批判や反論を絶対に許さない空気や、異論を排除するような、例えば温暖化に異を唱えるような言説をメッタクソに叩くような事をやっていてはよくありません。異論や反論も一つの視座として認め、それでも環境を守るという事は重要だ、という事を訴えて地道な動員を得るしかありません。もうすでにプロパガンダが蔓延していますからこの流れを止めるのは簡単ではありませんが、先に伸ばせば延ばすほど手遅れになるでしょう。

それとどうしてもこの手の運動に付きまとう、偽善的な空気も何とかするべきでしょう。「地球にやさしい」「環境にやさしい」こういう言い方で本質をぼやかすような事をしているから、一時動員を得られても、突っ込まれやすさ、ヴァルネラブルな体質を抱え込む事になるのです。

我々が環境を守るべきだと思うのは、第一に人類のためです。人類のために都合のいい環境を守れと言っているにすぎません。それを真綿でくるむような言説でぼやかすから、偽善的な空気をまとい批判の対象にもされてしまう。

アンチの意見を柔軟に取り入れ、それでも住みやすい環境の方が幸福なんじゃないか?という事を訴えて行く、多様性や寛容さを失わず、そうやって動員を得て行くのが一番危険もないのだろうと思います。

せっかく環境保護の意識が芽生えている現在、こういった逆バネで元も子もなくなる状態にならない事を願ってしまいます。逆バネはまだまだたいした力学ではありませんが、こういった事を無視して、恣意的な情報の選別をやっていると、亀田選手やTBSのようになってしまわないか心配なのであります。

とあるニュースを観てつらつらと書いてみました。

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