中国は表面上は友好をうたいながら、軍事的な対決は避け、石油やエネルギーの獲得に励み、表面上は資金援助、経済援助の形をとりながら、反米的な国家の取り込みを進めています。もちろんアメリカには友好をうたい、機嫌を損ねないように、平和路線を装っています。チャイナ・ナショナル・オフショア・オイル・コーポレーション、中国海洋石油総公司によるアメリカの石油企業ウノカル買収は失敗に終わりましたが、常識はずれの買収額で、メジャーも太刀打ち出来ませんでした。議会やマスコミが大騒ぎした為に失敗して、シェブロン・テキサコが買い取る事で一件落着しました。アメリカも警戒感を示しだしましたが、中国は経済活動をしているだけで、戦争を仕掛けているのではない、経済発展により大国になろうとしているだけだ、と知らん顔しています。
アメリカ政府は比較的中国には楽観に満ちています。警戒感を持つ人もいますが、絶対数は楽観主義者が占めています。ブッシュなんかも危機感はあまり持っていないようです。チベットのダライ・ラマと親交を深めたり、内モンゴルと関係強化したりして、中国の分離工作はしましたし、インド、パキスタン、南アジア、東南アジア、との関係は、中国よりも深かいのですが、借金まみれの米国の景気を支えているのは、中国の安い輸入品と、米国債への投資です。何より彼自身が大統領になれたのも、その政権を不人気ながら維持出来ているのも、経済の偽りの好景気が支えているというのもありますし、何より彼は中東に夢中ですから。
本当は中国の覇権を警戒して、いち早く石油の確保に乗り出していたのかもしれませんが、それはどちらか我々には想像するしかありません。軍事的優位は動かないし、中国も核保有国なので、その抑止力も働いています。中国の経済発展は何よりおいしいマーケットというのが決定的だと思いますが、甘く見ているように見えてしまいます。
もとはと言えば、前大戦が終わったあと、経済的な発展を遂げるのは、日本ではなく中国が発展する方が自然だったはずです。前大戦だって中国の利権をめぐっての権益争奪戦の末に勃発した戦いだったのですから。ルーズベルトのアホが共産主義者を甘く見ていなければ、日本さえ叩きのめせば中国の利権が手に入ると勘違いしていなければ、旧ソ連や中共の存在をちゃんと理解していれば、冷戦の東西の境界線ももっと違ったものになったでしょうし、朝鮮戦争も回避出来たかもしれません。ヴェトナムも違ったものになっていただろうし、カンボジアのクメール・ルージュ、ポルポト出現もなかったかもしれない。
日本の繁栄は冷戦構造のおかげだったと言えますが、ルーズベルトがアホだったからと言うのが、一番の原因かもしれません。だからむしろ中国の経済発展は遅すぎたといえるのではないかと思います。
世の中のスピードがどんどん早くなっています。それは交通手段の発達、情報の流通速度、様々な原因がありますが、国が発展して崩壊していくスピードもどんどん早くなっています。かつてローマ帝国から、モンゴル帝国、オスマントルコ、ムガール帝国、スペインとポルトガル、オランダ、大英帝国、アメリカ、そして戦後の日本、かつて地球上で我が物顔で権力を握った、チャンピオンは、例外なく滅んでいきます。国が無くならなくても、ゆっくりと経済的に落ちぶれていく、その繁栄と衰退の速度はどんどん増している、それを中国はわかっている、だから彼らは、無駄な弱者救済に労力を使わず、自然淘汰にまかせ、国家の次の目標を設定してその準備を整え、そしてそれを実行する。その為には何だってする。
王覇両道があの国の伝統です。王道、儒教的なものはわりあい日本に入って来ているからわかりやすい、孔子の教えです。関ヶ原以後、徳川政権下以降現在に至るまでの、日本的な道徳観念もこれに影響されています。もう一つ覇道、法家思想こっちはあまり伝わっていないが韓非子なんて言うのがわりあいしられています。それでもこの考え方は論理的な思考の苦手な、情緒過剰の日本人には、ちょっと想像できないし、受け入れられないのではないかと感じます。
関ヶ原以前の武家には当たり前だったのかもしれません。まあ法家思想というより利害中心主義と言った方が、この国の歴史を正確に表していると言えるのかもしれないのですが、ヒューマニズムや道徳的な観念とは全く逆のベクトルを持っています。国を運営する為には、国家権力はヒューマニズムや道徳、情緒を無視しなければならないという事を言っていて、ある意味、マクス・ヴェーバーが言った国家権力は時に応じて脱法しなければならないというのにも似ていると思います。それが中国の漢民族の考え方の根幹にある王覇両道です。目的の為には手段を選ばない、王道の精神と覇道の精神を、狡猾に使い分けてくる、したがって、嘘だろうが、盗もうが、虐殺だろうが、戦争だろうが関係ありません。それを日本は解っていないのではないかと思ってしまいます。関ヶ原での石田三成と徳川家康の関係にも、第二次大戦前のフランスとドイツの関係にも似ています。だから当然次の一手も間違いなくあるというシナリオも想定しておかないと危険なのではないかと思うのです。それを見極めるのが何よりも肝心なのではないでしょうか。中国の目標は東アジアの経済共同体のボスとなって世界に覇権をのばしていく事であるという現実に。
別に中国脅威論を煽りたいわけではありません。現実に向き合い、御為ごかしの楽観論は危険だと言いたいだけです。そういう意味で言えばアングロサクソンの行動原理だって似たようなもんです。国際社会の冷徹な現実に向き合わず、甘えと依存に支配された状況は危険だという事が言いたいのです。ステイト・オブ・ディナイアルは危険であり、目を開けて現実を見ないと、国際社会の荒波に太刀打ち出来ません。
台湾の政権交代が仮に起こり、舵を切り替えるとなるだけで、状況はだいぶ変わるかもしれないというのは有り得る話です。台湾というのはすでに、中国本土との経済依存度をかなり深めていて、国民は独立、統一ではなく、問題を先送りにしたモラトリアム路線を望んでいるようです。台湾の経済発展の為にも中国はすでにかかせないパートナーになってしまっています。危機的状態にあっても、アメリカもそれほど熱心ではないし、日本も知らん顔している、国民の過半数は中国人だ、もしくは台湾人であると同時に中国人でもある、と思っている国です。連戦が中共詣でした時もそうでしたが、中国も友好的だし、独立を叫んで戦争するのも馬鹿らしくなり、統一してもたいして影響がないのではないか的な方向に民意が動いたりすると、厄介な状況になるのではないかと思います。日本も台湾が中国に飲み込まれるという事はどういう事になるか真剣に考えていません。台湾海峡有事は憲法改正や危機を煽る事によってリソースとなる政治家どもによって騒がれますが、最悪有事など起こらず気が付いたら、本当に一つの中国になってしまう可能性だってあるのではないかと考えてしまいます。
台湾の独立を許すという事は中国にとってドメスティックな問題を押さえつける事が出来なくなる可能性があり、最悪国がバラバラになる可能性を持っています。何が何でも独立は阻止するでしょうし、アメリカに交渉のカードを突き付けて、バーター取引に持ち込み解決する方法から、武力行使による制圧まで考えていると言う現実を見なければならないのではないでしょうか。中共の舵取りが失敗する事を前提に考えるより、最悪の事態を想定して貰わない事には、国の舵取りなど危なくて任せられません。
中国と台湾の結びつきが深くなるという事は、この国も、アメリカにも厄介な事態です、以前からアメリカでは、ラムズフェルド元国防長官なんかも、中国の軍事力に対する懸念として、グァムへの移転を一部だけではなく真剣に考えていました。先制攻撃の危険にさらされている地点に、米兵を置いておくのは得策ではないという事でしょう。沖縄や韓国からの撤収を真剣に考えていました。この国は米軍再編なんて騒いでいますが、結局他国の為にアメリカ兵を犠牲にしても、韓国でもこの国でも迷惑がっているお花畑がたくさんいますから、キティーホークがその役目を終え、原子力空母が代わりに横須賀基地に来る事に反対している人もいっぱいいますし、北東アジアの緊張を演出していながら、日本を見捨てるかもしれないという、匕首を突き付けて日本との交渉のリソースに使い、ゲインを引き出そうとしています。それに対して現政権はアメリカさん見捨てないでと奴隷根性丸出しの外交をしているわけです。
米軍反対を叫ぶ輩も、米軍に依存している輩も、米軍がいなくなるとどうなるのか、真剣に考えていません。米軍が助けてくれる事を前提にした思考か、平和を唱えれば平和になるという寝ぼけた思考ばかりで、自立する為に必要な議論は全く行われていません。自立するという選択をする為には軍事力がなければ不可能です。平和バカと共闘するのが嫌な理由はそこん所です。平和バカのおかげで自立という選択肢が非常にとりにくい状況です。アメリカにはとっとと出て行ってもらいたいと思いますが、非武装中立では国民的な合意は不可能です。
中国はドルに挑戦しています。ドル圏DNA、ダラー・ニュー・エリア、すなわち日本、タイ、マレーシア、台湾、韓国、サウジアラビア、クウェート、輸出で儲けたり、石油を売って儲けた金で、米国債を買い借金まみれのアメリカ経済を支え、自国の軍事的安全を担保してもらっています。ドル圏DNAはドルそのものの力の源泉、信用を担保していますが、中国はそこに攻撃を仕掛け始めています。DNAは、1兆ドル以上のドルを抱えていますが、中国はそれに匹敵するドルを保有しています。アメリカが中国に対して経済封鎖を行うのであれば、宣戦布告と見なしドルを売り払う、そうやってアメリカを脅しています。ドルは暴落するでしょうし、債券も値崩れを引き起こすでしょう。実際に円なり、ユーロなりを買わなければいけませんから、難しいでしょうけれど、中国ならやりかねないと思わせる所があります。中国の動きに対して恐怖が生まれれば、ドルは信用を失う事になります。相対的に人民元の信用は増して、あわよくば国際基軸通貨の地位をせしめる事も出来るかもしれない。ユーロ諸国もユーロに対する信頼が高まれば、悪くない、それまでドルを支えてきた国々もドル買いを控えるようになるでしょう。買い支えを失った、借金まみれのアメリカ経済はしぼんでいきかねない。実際土地バブルを謳歌していますし、懸念材料はいくらでもあります。アメリカは偽りの好景気を謳歌していますが、基幹産業はパッとしません。アメリカ国内の企業の空洞化は競争力を維持していく事が難しくなるという事です。
中国の経済発展を支えているのは、クリントンの無謀な人民元の交換レートの切り下げによる所が大きく、日本を経済的な二流国家にする為の政策でもあったと言われていますが、その不当に低く抑えられた人民元の価値が、中国のスーパーパワーの源でした。それを日本のように貿易摩擦で叩かれた国と違って、アメリカに投資をした。日本は中国の企業に投資し、好景気に浮かれて、中国の一人勝ち状態の独走を許し続ければ、アメリカは中国に手出し出来なくなります。中国がアメリカからの投資を引き上げれば、アメリカ経済は徹底的な打撃を受ける事になります。
アメリカはではすでにこのままでは中国には太刀打ち出来ないと、本当にそう思っているのか、それともそういうふりをしているのかははっきりわかりませんが、方向転換しています。軍事的優位はアメリカに間違いなく分があるとは思いますが、肝心なのは本当にしろ、演技にしろ、中国と協調路線をこれまでより表面的には押し進めているという事です。経済的発展はアメリカに取ってもいい金儲けになるでしょう、あまり敵対意識ばかり燃やし続けても、中国の利権をヨーロッパ諸国に奪われる可能性もある、経済的合理性から考えれば、中国と仲良くするにこした事は無いですし、エネルギー問題でのステークホルダーとして、この国より中国と組んだ方が合理的と踏むのも当然と言えば当然です。経済的な発展速度だけではなく、敵対を続ける事が中国の軍備増強、近代化をさらに推し進めて、将来的な軍事的パワーバランスの逆転を引き起こしかねないのではないかという懸念、そこで一つは中国の通貨政策、もう一つはエネルギー問題、石油を求めてバーターで中国と密約を結んだりすれば、日本なんてお払い箱です。
アメリカは王道の精神一本やりの日本とは違って、野蛮で単細胞ながら、勝敗が微妙だと予測すると、綿密に計画を練ります。前大戦だって開戦前から、この国の統治の方法を考えていたというのですから、勝てるわけありません。アメリカは、不利であるなら不利であるなりの、戦い方を考えます。力の差を玉砕や特攻で何とかしようとしたり、負けるくらいなら死んだ方がましだなどとは考えない。ゼロサムで考えたりしない。彼らなりのトライアル&エラーを重ね、東アジアの覇権を中国に売り渡しても、その分の見返りはキッチリあれば、その選択をとる可能性だって全く有り得ないとは言えない。
アメリカが自国の安全保障の観点からそんな選択を取るわけがない、確かに現時点ではそうでしょう。中国の外交による台頭、軍事力の増強、経済発展、それらは爆発的な勢いで伸びています。日本のように責任を回避する為にグズグズしていません。アメリカの圧倒的優位はしばらく動きそうもありませんが、アメリカが拒もうが、認めたくなかろうが、中国に譲歩しないと自国のエネルギー政策や経済発展を担保出来ないとなれば、アメリカだって選択の余地がなくなる可能性はあるはずです。そこまで行かなくとも、中国と取引するのが一番経済合理性にかない、自国の安全保障にもなるというプレゼンテーションを中国から持ちかけられれば、アメリカの軍事的な優位があればあるほど、中国と取引した方が得なのではないか、日本くらい与えても、アメリカの優位は変わらない、という考えだってひょっとすると出てくるかもしれません。そんな事は絶対に有り得ないという前提は非常に危険なのではないかと思うのです。
アメリカにとっても中国にとっても、非論理的思考で嘘ばかり付いているように見える原理原則のない我が国を野放しにしておくという選択は何よりも危険だと考えているはずです。中国と取引して日本をきちんと管理し、奴隷として眠らせておく事が出来ると考え、見返りが十分得られれば、沖縄や日本の基地の権益を中国に売り渡したって別に不思議な話ではないのではないかと感じます。
そんな事は有り得ない、こんなはずではない、そういう思考停止的対米追従路線のまま、アメリカは簡単に梯子をはずしてくる国だという事を忘れ、前大戦で日本に何をしたのかを忘れ、政治家は惰眠を貪り、役人は省益に邁進し、メディアは自らの権益を守り、企業は経済活動にうつつをぬかし、国民が無関心、無責任、諦め、依存と甘えからは、、そういう徹底的な悲劇を味わい、絶望を味わい、苦痛を味わう経験を経なければ、目覚める事は出来ないのか。目覚めるだけの悲劇が味わえれば変わる可能性がありますが、そういう悲劇ではなく、苦しいが我慢出来る、宗主国に依存していれば貧しいが生きて行けるという、家畜のようにスポイルされたままである、もっと救いのない絶望的な状況だって有り得ます。現時点だってそれに近いものがあり、ただ生かされて、搾取され続け、自立的な思考も皆無、先のない経済、政治、借金でもこの国は目覚める気配すらありません。多少今より酷くなってもこの国の奴隷根性は筋金入りです。歴史的に見ても国民が自立的に何かを獲得した経験がなく、いつも誰か大きな力のある存在に依存して来ただけで、そもそもこの国には自立という概念など芽生える要素は何もなく、不可能な事なのか。
最悪そういう事だってありうるのではないかという戦略的思考が重要なんですが、この国の奴隷根性はどうにもならない状況です。アメリカの先の見えない覇権に依存するより、成長著しい中国の奴隷になった方が権益があると考える人もたくさんいそうです。
しかし仮に中国が日本を管理するようになったあかつきには、この国の富を根こそぎ踏んだくる可能性も、アメリカよりも更にエゲツない形で行われる可能性があるという事を想定しておくべきです。香港や台湾と違って、我々は中国人ではありませんし、中国人はこの国が大っ嫌いですから、自国が格差で苦しんでいるのに、植民地である日本が繁栄しているのなど許しがたいと考えても少しも不思議じゃありません。そうならない可能性だってありますが、国の舵取りは最悪の事態に備えてヘッジしておくものです。
アメリカが冷たいわけではありません。それがパワーポリティックスの現実でもあり、人の歴史でもあります。中国が非道なのでもありません。それが人の営みでもあるのだと思います。ここに書いてある事は極論ですが、全く有り得ない非現実的な話だと笑って済ます事が出来れば幸せです。そんな厄介な事態にならない為にも、我々は目覚めなければなりません。
アメリカの戦略は覇道の精神にも似ています。石原莞爾も最終戦総論のなかでそう言っています。日本の王道、すなわち天皇制と、西洋の覇道、すなわちアメリカの大統領制がぶつかる最終戦争を予測していました。王道といういわゆる情緒論や感情論が、覇道と言う論理的思考や合理性に立ち向かい、それを打ち砕く為には、東亜の西洋からの植民地支配からの開放と天皇制という制度が機能し、テクノロジーの発達後に起こすべしと言っていました。結局日本はそれを待たずに戦争に突入し、破れ、石原の言った意味での天皇制も捨て、西洋の植民地政策も終わりを告げ、東亜も発展し、ただ単に恨まれているだけになってしまい現在があります。
戦後バブル期をピークに経済戦争で、石原の言った最終戦争が別の意味で勃発し、勝利をその手に掴む所まで言ったが、結局、官僚の下らない政策によってこの国は自爆してしまいました。東亜からの恨みは、侮蔑も加わり、この国の代わりに、王覇両道を備えた中国がアジアの名手となり、今は西洋をやり込めています。アメリカも今は中国の台頭にはまともに戦えないと考えているというわけです。中国と取引をしても、その約束を、中国もアメリカも守るのかどうかはわかりませんが。
本来、情緒的な思考や感情論というのは、ニーチェが言う所のルサンチマンの戯言に繋がります。ようは建前論やきれい事、インチキで、レジティマシーを調達するためだったり、本当の目的や原因をぼやかすものになりがちです。よっぽどの特殊要因が無ければ、合理性を打ち負かす事はできないのではないでしょうか。所詮弱者の戯言になってしまう危険性があります。天皇制や八紘一宇や大東亜共栄圏のような、理想と言う嘘が必要でそれが感情論に逃げている弱者達に大義名分を与え、合理性と言う自然の摂理に従った無理の無い状態を打ち負かすパワーを生み出す可能性があるのかもしれませんが、そんなものはもうこの国にはないし、甘えと依存に満ちた、ベタベタした情緒論ばかりです。中国には華夷秩序という、その理想と言う嘘も、合理性と言う無理の無い目標も持ち合わせて、国として問題はありながらも、何とか一つにまとまっている、そのまま機能し続ける事が出来るとするなら、太刀打ち出来なくなるのもしかたないと思います。
いやあなんか白熱して来ました。まだ続きそうです。
アメリカ政府は比較的中国には楽観に満ちています。警戒感を持つ人もいますが、絶対数は楽観主義者が占めています。ブッシュなんかも危機感はあまり持っていないようです。チベットのダライ・ラマと親交を深めたり、内モンゴルと関係強化したりして、中国の分離工作はしましたし、インド、パキスタン、南アジア、東南アジア、との関係は、中国よりも深かいのですが、借金まみれの米国の景気を支えているのは、中国の安い輸入品と、米国債への投資です。何より彼自身が大統領になれたのも、その政権を不人気ながら維持出来ているのも、経済の偽りの好景気が支えているというのもありますし、何より彼は中東に夢中ですから。
本当は中国の覇権を警戒して、いち早く石油の確保に乗り出していたのかもしれませんが、それはどちらか我々には想像するしかありません。軍事的優位は動かないし、中国も核保有国なので、その抑止力も働いています。中国の経済発展は何よりおいしいマーケットというのが決定的だと思いますが、甘く見ているように見えてしまいます。
もとはと言えば、前大戦が終わったあと、経済的な発展を遂げるのは、日本ではなく中国が発展する方が自然だったはずです。前大戦だって中国の利権をめぐっての権益争奪戦の末に勃発した戦いだったのですから。ルーズベルトのアホが共産主義者を甘く見ていなければ、日本さえ叩きのめせば中国の利権が手に入ると勘違いしていなければ、旧ソ連や中共の存在をちゃんと理解していれば、冷戦の東西の境界線ももっと違ったものになったでしょうし、朝鮮戦争も回避出来たかもしれません。ヴェトナムも違ったものになっていただろうし、カンボジアのクメール・ルージュ、ポルポト出現もなかったかもしれない。
日本の繁栄は冷戦構造のおかげだったと言えますが、ルーズベルトがアホだったからと言うのが、一番の原因かもしれません。だからむしろ中国の経済発展は遅すぎたといえるのではないかと思います。
世の中のスピードがどんどん早くなっています。それは交通手段の発達、情報の流通速度、様々な原因がありますが、国が発展して崩壊していくスピードもどんどん早くなっています。かつてローマ帝国から、モンゴル帝国、オスマントルコ、ムガール帝国、スペインとポルトガル、オランダ、大英帝国、アメリカ、そして戦後の日本、かつて地球上で我が物顔で権力を握った、チャンピオンは、例外なく滅んでいきます。国が無くならなくても、ゆっくりと経済的に落ちぶれていく、その繁栄と衰退の速度はどんどん増している、それを中国はわかっている、だから彼らは、無駄な弱者救済に労力を使わず、自然淘汰にまかせ、国家の次の目標を設定してその準備を整え、そしてそれを実行する。その為には何だってする。
王覇両道があの国の伝統です。王道、儒教的なものはわりあい日本に入って来ているからわかりやすい、孔子の教えです。関ヶ原以後、徳川政権下以降現在に至るまでの、日本的な道徳観念もこれに影響されています。もう一つ覇道、法家思想こっちはあまり伝わっていないが韓非子なんて言うのがわりあいしられています。それでもこの考え方は論理的な思考の苦手な、情緒過剰の日本人には、ちょっと想像できないし、受け入れられないのではないかと感じます。
関ヶ原以前の武家には当たり前だったのかもしれません。まあ法家思想というより利害中心主義と言った方が、この国の歴史を正確に表していると言えるのかもしれないのですが、ヒューマニズムや道徳的な観念とは全く逆のベクトルを持っています。国を運営する為には、国家権力はヒューマニズムや道徳、情緒を無視しなければならないという事を言っていて、ある意味、マクス・ヴェーバーが言った国家権力は時に応じて脱法しなければならないというのにも似ていると思います。それが中国の漢民族の考え方の根幹にある王覇両道です。目的の為には手段を選ばない、王道の精神と覇道の精神を、狡猾に使い分けてくる、したがって、嘘だろうが、盗もうが、虐殺だろうが、戦争だろうが関係ありません。それを日本は解っていないのではないかと思ってしまいます。関ヶ原での石田三成と徳川家康の関係にも、第二次大戦前のフランスとドイツの関係にも似ています。だから当然次の一手も間違いなくあるというシナリオも想定しておかないと危険なのではないかと思うのです。それを見極めるのが何よりも肝心なのではないでしょうか。中国の目標は東アジアの経済共同体のボスとなって世界に覇権をのばしていく事であるという現実に。
別に中国脅威論を煽りたいわけではありません。現実に向き合い、御為ごかしの楽観論は危険だと言いたいだけです。そういう意味で言えばアングロサクソンの行動原理だって似たようなもんです。国際社会の冷徹な現実に向き合わず、甘えと依存に支配された状況は危険だという事が言いたいのです。ステイト・オブ・ディナイアルは危険であり、目を開けて現実を見ないと、国際社会の荒波に太刀打ち出来ません。
台湾の政権交代が仮に起こり、舵を切り替えるとなるだけで、状況はだいぶ変わるかもしれないというのは有り得る話です。台湾というのはすでに、中国本土との経済依存度をかなり深めていて、国民は独立、統一ではなく、問題を先送りにしたモラトリアム路線を望んでいるようです。台湾の経済発展の為にも中国はすでにかかせないパートナーになってしまっています。危機的状態にあっても、アメリカもそれほど熱心ではないし、日本も知らん顔している、国民の過半数は中国人だ、もしくは台湾人であると同時に中国人でもある、と思っている国です。連戦が中共詣でした時もそうでしたが、中国も友好的だし、独立を叫んで戦争するのも馬鹿らしくなり、統一してもたいして影響がないのではないか的な方向に民意が動いたりすると、厄介な状況になるのではないかと思います。日本も台湾が中国に飲み込まれるという事はどういう事になるか真剣に考えていません。台湾海峡有事は憲法改正や危機を煽る事によってリソースとなる政治家どもによって騒がれますが、最悪有事など起こらず気が付いたら、本当に一つの中国になってしまう可能性だってあるのではないかと考えてしまいます。
台湾の独立を許すという事は中国にとってドメスティックな問題を押さえつける事が出来なくなる可能性があり、最悪国がバラバラになる可能性を持っています。何が何でも独立は阻止するでしょうし、アメリカに交渉のカードを突き付けて、バーター取引に持ち込み解決する方法から、武力行使による制圧まで考えていると言う現実を見なければならないのではないでしょうか。中共の舵取りが失敗する事を前提に考えるより、最悪の事態を想定して貰わない事には、国の舵取りなど危なくて任せられません。
中国と台湾の結びつきが深くなるという事は、この国も、アメリカにも厄介な事態です、以前からアメリカでは、ラムズフェルド元国防長官なんかも、中国の軍事力に対する懸念として、グァムへの移転を一部だけではなく真剣に考えていました。先制攻撃の危険にさらされている地点に、米兵を置いておくのは得策ではないという事でしょう。沖縄や韓国からの撤収を真剣に考えていました。この国は米軍再編なんて騒いでいますが、結局他国の為にアメリカ兵を犠牲にしても、韓国でもこの国でも迷惑がっているお花畑がたくさんいますから、キティーホークがその役目を終え、原子力空母が代わりに横須賀基地に来る事に反対している人もいっぱいいますし、北東アジアの緊張を演出していながら、日本を見捨てるかもしれないという、匕首を突き付けて日本との交渉のリソースに使い、ゲインを引き出そうとしています。それに対して現政権はアメリカさん見捨てないでと奴隷根性丸出しの外交をしているわけです。
米軍反対を叫ぶ輩も、米軍に依存している輩も、米軍がいなくなるとどうなるのか、真剣に考えていません。米軍が助けてくれる事を前提にした思考か、平和を唱えれば平和になるという寝ぼけた思考ばかりで、自立する為に必要な議論は全く行われていません。自立するという選択をする為には軍事力がなければ不可能です。平和バカと共闘するのが嫌な理由はそこん所です。平和バカのおかげで自立という選択肢が非常にとりにくい状況です。アメリカにはとっとと出て行ってもらいたいと思いますが、非武装中立では国民的な合意は不可能です。
中国はドルに挑戦しています。ドル圏DNA、ダラー・ニュー・エリア、すなわち日本、タイ、マレーシア、台湾、韓国、サウジアラビア、クウェート、輸出で儲けたり、石油を売って儲けた金で、米国債を買い借金まみれのアメリカ経済を支え、自国の軍事的安全を担保してもらっています。ドル圏DNAはドルそのものの力の源泉、信用を担保していますが、中国はそこに攻撃を仕掛け始めています。DNAは、1兆ドル以上のドルを抱えていますが、中国はそれに匹敵するドルを保有しています。アメリカが中国に対して経済封鎖を行うのであれば、宣戦布告と見なしドルを売り払う、そうやってアメリカを脅しています。ドルは暴落するでしょうし、債券も値崩れを引き起こすでしょう。実際に円なり、ユーロなりを買わなければいけませんから、難しいでしょうけれど、中国ならやりかねないと思わせる所があります。中国の動きに対して恐怖が生まれれば、ドルは信用を失う事になります。相対的に人民元の信用は増して、あわよくば国際基軸通貨の地位をせしめる事も出来るかもしれない。ユーロ諸国もユーロに対する信頼が高まれば、悪くない、それまでドルを支えてきた国々もドル買いを控えるようになるでしょう。買い支えを失った、借金まみれのアメリカ経済はしぼんでいきかねない。実際土地バブルを謳歌していますし、懸念材料はいくらでもあります。アメリカは偽りの好景気を謳歌していますが、基幹産業はパッとしません。アメリカ国内の企業の空洞化は競争力を維持していく事が難しくなるという事です。
中国の経済発展を支えているのは、クリントンの無謀な人民元の交換レートの切り下げによる所が大きく、日本を経済的な二流国家にする為の政策でもあったと言われていますが、その不当に低く抑えられた人民元の価値が、中国のスーパーパワーの源でした。それを日本のように貿易摩擦で叩かれた国と違って、アメリカに投資をした。日本は中国の企業に投資し、好景気に浮かれて、中国の一人勝ち状態の独走を許し続ければ、アメリカは中国に手出し出来なくなります。中国がアメリカからの投資を引き上げれば、アメリカ経済は徹底的な打撃を受ける事になります。
アメリカはではすでにこのままでは中国には太刀打ち出来ないと、本当にそう思っているのか、それともそういうふりをしているのかははっきりわかりませんが、方向転換しています。軍事的優位はアメリカに間違いなく分があるとは思いますが、肝心なのは本当にしろ、演技にしろ、中国と協調路線をこれまでより表面的には押し進めているという事です。経済的発展はアメリカに取ってもいい金儲けになるでしょう、あまり敵対意識ばかり燃やし続けても、中国の利権をヨーロッパ諸国に奪われる可能性もある、経済的合理性から考えれば、中国と仲良くするにこした事は無いですし、エネルギー問題でのステークホルダーとして、この国より中国と組んだ方が合理的と踏むのも当然と言えば当然です。経済的な発展速度だけではなく、敵対を続ける事が中国の軍備増強、近代化をさらに推し進めて、将来的な軍事的パワーバランスの逆転を引き起こしかねないのではないかという懸念、そこで一つは中国の通貨政策、もう一つはエネルギー問題、石油を求めてバーターで中国と密約を結んだりすれば、日本なんてお払い箱です。
アメリカは王道の精神一本やりの日本とは違って、野蛮で単細胞ながら、勝敗が微妙だと予測すると、綿密に計画を練ります。前大戦だって開戦前から、この国の統治の方法を考えていたというのですから、勝てるわけありません。アメリカは、不利であるなら不利であるなりの、戦い方を考えます。力の差を玉砕や特攻で何とかしようとしたり、負けるくらいなら死んだ方がましだなどとは考えない。ゼロサムで考えたりしない。彼らなりのトライアル&エラーを重ね、東アジアの覇権を中国に売り渡しても、その分の見返りはキッチリあれば、その選択をとる可能性だって全く有り得ないとは言えない。
アメリカが自国の安全保障の観点からそんな選択を取るわけがない、確かに現時点ではそうでしょう。中国の外交による台頭、軍事力の増強、経済発展、それらは爆発的な勢いで伸びています。日本のように責任を回避する為にグズグズしていません。アメリカの圧倒的優位はしばらく動きそうもありませんが、アメリカが拒もうが、認めたくなかろうが、中国に譲歩しないと自国のエネルギー政策や経済発展を担保出来ないとなれば、アメリカだって選択の余地がなくなる可能性はあるはずです。そこまで行かなくとも、中国と取引するのが一番経済合理性にかない、自国の安全保障にもなるというプレゼンテーションを中国から持ちかけられれば、アメリカの軍事的な優位があればあるほど、中国と取引した方が得なのではないか、日本くらい与えても、アメリカの優位は変わらない、という考えだってひょっとすると出てくるかもしれません。そんな事は絶対に有り得ないという前提は非常に危険なのではないかと思うのです。
アメリカにとっても中国にとっても、非論理的思考で嘘ばかり付いているように見える原理原則のない我が国を野放しにしておくという選択は何よりも危険だと考えているはずです。中国と取引して日本をきちんと管理し、奴隷として眠らせておく事が出来ると考え、見返りが十分得られれば、沖縄や日本の基地の権益を中国に売り渡したって別に不思議な話ではないのではないかと感じます。
そんな事は有り得ない、こんなはずではない、そういう思考停止的対米追従路線のまま、アメリカは簡単に梯子をはずしてくる国だという事を忘れ、前大戦で日本に何をしたのかを忘れ、政治家は惰眠を貪り、役人は省益に邁進し、メディアは自らの権益を守り、企業は経済活動にうつつをぬかし、国民が無関心、無責任、諦め、依存と甘えからは、、そういう徹底的な悲劇を味わい、絶望を味わい、苦痛を味わう経験を経なければ、目覚める事は出来ないのか。目覚めるだけの悲劇が味わえれば変わる可能性がありますが、そういう悲劇ではなく、苦しいが我慢出来る、宗主国に依存していれば貧しいが生きて行けるという、家畜のようにスポイルされたままである、もっと救いのない絶望的な状況だって有り得ます。現時点だってそれに近いものがあり、ただ生かされて、搾取され続け、自立的な思考も皆無、先のない経済、政治、借金でもこの国は目覚める気配すらありません。多少今より酷くなってもこの国の奴隷根性は筋金入りです。歴史的に見ても国民が自立的に何かを獲得した経験がなく、いつも誰か大きな力のある存在に依存して来ただけで、そもそもこの国には自立という概念など芽生える要素は何もなく、不可能な事なのか。
最悪そういう事だってありうるのではないかという戦略的思考が重要なんですが、この国の奴隷根性はどうにもならない状況です。アメリカの先の見えない覇権に依存するより、成長著しい中国の奴隷になった方が権益があると考える人もたくさんいそうです。
しかし仮に中国が日本を管理するようになったあかつきには、この国の富を根こそぎ踏んだくる可能性も、アメリカよりも更にエゲツない形で行われる可能性があるという事を想定しておくべきです。香港や台湾と違って、我々は中国人ではありませんし、中国人はこの国が大っ嫌いですから、自国が格差で苦しんでいるのに、植民地である日本が繁栄しているのなど許しがたいと考えても少しも不思議じゃありません。そうならない可能性だってありますが、国の舵取りは最悪の事態に備えてヘッジしておくものです。
アメリカが冷たいわけではありません。それがパワーポリティックスの現実でもあり、人の歴史でもあります。中国が非道なのでもありません。それが人の営みでもあるのだと思います。ここに書いてある事は極論ですが、全く有り得ない非現実的な話だと笑って済ます事が出来れば幸せです。そんな厄介な事態にならない為にも、我々は目覚めなければなりません。
アメリカの戦略は覇道の精神にも似ています。石原莞爾も最終戦総論のなかでそう言っています。日本の王道、すなわち天皇制と、西洋の覇道、すなわちアメリカの大統領制がぶつかる最終戦争を予測していました。王道といういわゆる情緒論や感情論が、覇道と言う論理的思考や合理性に立ち向かい、それを打ち砕く為には、東亜の西洋からの植民地支配からの開放と天皇制という制度が機能し、テクノロジーの発達後に起こすべしと言っていました。結局日本はそれを待たずに戦争に突入し、破れ、石原の言った意味での天皇制も捨て、西洋の植民地政策も終わりを告げ、東亜も発展し、ただ単に恨まれているだけになってしまい現在があります。
戦後バブル期をピークに経済戦争で、石原の言った最終戦争が別の意味で勃発し、勝利をその手に掴む所まで言ったが、結局、官僚の下らない政策によってこの国は自爆してしまいました。東亜からの恨みは、侮蔑も加わり、この国の代わりに、王覇両道を備えた中国がアジアの名手となり、今は西洋をやり込めています。アメリカも今は中国の台頭にはまともに戦えないと考えているというわけです。中国と取引をしても、その約束を、中国もアメリカも守るのかどうかはわかりませんが。
本来、情緒的な思考や感情論というのは、ニーチェが言う所のルサンチマンの戯言に繋がります。ようは建前論やきれい事、インチキで、レジティマシーを調達するためだったり、本当の目的や原因をぼやかすものになりがちです。よっぽどの特殊要因が無ければ、合理性を打ち負かす事はできないのではないでしょうか。所詮弱者の戯言になってしまう危険性があります。天皇制や八紘一宇や大東亜共栄圏のような、理想と言う嘘が必要でそれが感情論に逃げている弱者達に大義名分を与え、合理性と言う自然の摂理に従った無理の無い状態を打ち負かすパワーを生み出す可能性があるのかもしれませんが、そんなものはもうこの国にはないし、甘えと依存に満ちた、ベタベタした情緒論ばかりです。中国には華夷秩序という、その理想と言う嘘も、合理性と言う無理の無い目標も持ち合わせて、国として問題はありながらも、何とか一つにまとまっている、そのまま機能し続ける事が出来るとするなら、太刀打ち出来なくなるのもしかたないと思います。
いやあなんか白熱して来ました。まだ続きそうです。