前回に引き続き時事ネタにまたまたツッコミを入れたいと思います。北朝鮮問題の政府の対応、メディアの報じ方が気になります。
「拉致問題の解決無くして、国交正常化無し」我が国の基本原則だと、政治家もメディアも声高に叫んでいますが、案の定、北朝鮮はまったく交渉に応じる姿勢も無く、交渉は暗礁に乗り上げた形になってしまいました。北朝鮮の対応に憤慨する言説、想定されていた事だと冷静に対応しようと、余裕と強気を見せる言説、様々ですが、まったく戦略のない交渉の仕方にがっかりです。
安倍政権は北朝鮮への強硬姿勢が売りで人気を博した政権で、その旗を降ろすのは民意を考えれば難しいのかもしれませんが、拉致被害者をかえしてもらう為に交渉するのか、強気の姿勢を国民にアピールして人気を維持するのが目的なのか、ちょっと考えればわかりそうなものですが、メディアもわかってやっているのか本当にバカなのか、拉致問題解決と叫ばないと国民の人気を得られないからなのか、わかりませんが、まったくとんちんかんな報道は困ったものです。
拉致問題を本気で解決しようと思ったら、今のやり方では難しいのではないかと普通に考えてもわかりそうなものですが、情緒過剰の我が国はそういう風にはなかなかなりません。
現在の我が国の戦略というのは、切るべきカードが残っていれば多少通用するかもしれませんが、とっくにカードをすべて切ってしまっている状態の現在、何の効果もありません。話し合いか、待つか、アメリカだのみしかリソースのない状態では成果を得られる可能性は限りなく薄いでしょう。六カ国協議はそもそも拉致問題を協議する場ではありません。この国のメディアはあたかもその場で解決への糸口があるかのような報じ方をしていますが、核問題を論じる場であり、日本以外の五カ国は当たり前ですがまったくその事に興味はありません。アメリカは我が国との関係もありますから多少気にしているフリもしてはいますが、内心は当たり前ですが自国の問題ではないので優先順位は核だと思っているでしょうし、拉致問題への姿勢はポーズに過ぎません。
話し合いもこちらに何らかのリソースがあるか、交換条件がなければ難しいと思います。日本に圧倒的な軍事力でもあれば、交渉の場に引きずり出し何らかのゲインを引き出す事が出来るかもしれませんが、経済制裁はすでに発動済みですので、何のリソースもない状態で交渉しても、痛くも痒くもないはずで、実際日本以外から援助が得られれば、日本の経済制裁の解除が無くてもやっていけるし、現に今やっているわけで、当然そうなるでしょう。交渉し譲歩させるにはそれに対する見返りというものが必要です。拉致被害者を返してまで、日本と交渉する必要は無い、日本以外から援助が得られれば、日本なんて相手にしなくともやっていけると思えば、日本を無視しても構わないと思うのは至極当然だと思います。日本なんてどうせアメリカの意のままにしか動けない国だから、アメリカと片がつけば日本などどうにでもなると考えるのは普通に考えればバカでも分かる話です。
待つという選択、現実的にはこの路線しか選択肢がないのが現状です。日本の基本原則を伝えてただ待つという、ようは何もしない事と同じですが、北朝鮮というのは振り子外交を行う国であり、今はアメリカとの交渉に振れている局面であり、アメリカとの交渉が行き詰まれば、また別の所に振り子が振れる、こういった物言いがされたりしますが、その振れる先も、優先順位というものがあるはずで、日本と交渉するよりも、当然ハードルの低い国がある場合、日本以外の国で振り子が振れているだけで、日本の順番は回ってこない可能性もあります。日本と交渉するという風になる為には、ハードルを下げないと難しいのではないでしょうか。
アメリカ頼みというリソースも、アメリカは日本との関係上多少気を使っていますし、アメリカの世論やメディアも多少、拉致問題を交渉の議題にしろと言っているものもありますが、すでに中間選挙で民主党が大勝したことによって、ネオコンと蜜月状態であった我が国との関係に対するバックフラッシュとしての動きも見られます。簡単な話ですが、アメリカの懸案事項はあくまでも核です。拉致問題が進展しなければ身動き一つ取れない日本をパートナーとしていたのでは、核問題解決のリソースにはなりません。したがって中国や他の国々と上手くやった方が、懸案事項の解決へは近道です。中国や他の国々と上手く立ち回ろうと思えば、当然北朝鮮への態度も軟化して当然で、拉致問題はあくまで日本の問題ですから、日本の姿勢は理解するとは言っても、別にそれに対する協力は、ポーズだけなのは当たり前です。自分の国の問題ではないのですから。
世論が人権問題を取り上げるべきだという風になれば多少動かなくてはならない局面も出て来るかもしれませんが、すでにレイプ・オブ・ナンキンの公開や、下院での慰安婦決議などに見られるように、日本だって人権無視の酷い事を過去にしているじゃないか、という世論が惹起される事によって、拉致問題の重要性が相殺されるか、もしくは更に、まず日本が誠意ある対応を示すべきであり、それをせずに拉致だなんだと騒ぐのは順番が逆なんじゃないか、という風になってもおかしくありません。そうすれば更に日本との関係を気にする事も無く、北朝鮮と雪解けムードに突っ走っても世論がそれを歓迎する可能性が高くなります。
日本はアメリカにとってはすでに属国のようなもので、軍事的には完全に制圧状態にあるのと変わりません。多少冷たくしようと、犬である事からはそう簡単に自立出来ないと思っているでしょうし、仮に少しこの国がそう言う姿勢を見せようものなら、脅すリソースはいくらでもあるのが現状です。経済でもこの国の一部のグローバル企業はすでに日本の企業とはいえ、アメリカでの雇用も生み出していますので、以前のようにただ日本の経済を叩く必要は少なくなっている事は確かですが、相対的に中国の方がマーケットとしては魅力があるはずです。何と言ってもあの広さと人口ですから。いろいろ問題点はあるのは確かですが、仲良くして少しずつ市場をオープンに仕向けていった方が、叩くより効果的だと思えば、中国との関係を強化しようとする動きがあっても当然なわけです。中国と仲良くする為には、日本を冷遇しているという姿勢は有効なリソースになります。クリントン政権時代、あれほどこの国は冷遇され無視されていた事を簡単に忘れてしまい、ネオコンの共和党ブッシュ政権との蜜月関係に、バランス感覚をもまったく作用せず(もともとあったのか疑問ですが)、民主党が中間選挙で勝ち、今後の舵取りに力を取り戻すという事がどういう事なのか、まったくいつもグズグズ、後手後手に回るこの国の舵取りをされている方々、本当に学習能力が皆無です。
我が国には軍事力を直接行使するとか、それをちらつかせて交渉のテーブルに引きずり出すという選択肢はありませんし、そう言うオプションに対するアレルギーが様々なレベルで存在します。話し合いしか選択肢が無いにも関わらず、断固とした態度を取っても無視されて終わりです。別にあの国と仲良くする必要は無いと考えるのなら、別にそれでも構いませんが、拉致被害者の帰国を最優先課題とするなら、不本意かもしれませんが、何らかの条件を提示してバーター取引に持ち込むしか方法がありません。経済制裁解除というエサでは、譲歩するほど魅力が無いと北朝鮮は考えているのか、それともポーズなのか正確にはわかりませんが、日本以外との関係が上手くいって、経済援助やテロ支援国家解除、経済制裁解除が得られる見通しが立てば、単なるポーズではない事は明らかです。という事は現在の姿勢を貫いていても、事態を打開するのは難しく、仮に出来たとしても相当時間がかかるでしょう。時間が経てば必ず解決出来るかと言えば、出来るかもしれないし出来ないかもしれないというレベルでしかないので、急がず時間をかけて、北朝鮮が軟化するのを待つ戦法は、何も具体的な策が無いから、問題を先送りしている事とまったく同じ事です。
そもそも論を考えると、拉致問題というのはこの国の政府もずっと無視し続けて来た問題です。確かに北朝鮮は許せませんが、そういう意味で言えば、拉致問題は無い事にしておいた方が国益になると考えた、この国の政府の人間も同罪です。小泉さんから安倍さんの流れの中で、北朝鮮に拉致を認めさせた功績は大きいですが、だからと言って我が国の歴代の政府の罪が減免されるわけではありません。現在でも交渉力の無い無能さを、すべて北朝鮮のせいに押し付ける事が出来るのだから便利ですし、この問題が解決して、北朝鮮の脅威が無くなってしまうと、国民の不安を煽り、動員をはかる貴重なツールが無くなってしまいます。現在の北朝鮮外交も、北朝鮮との交渉というより、拉致された人々の返還というより、政府が我々はきちんと国民の生命と財産を最優先にして外交しているという事をアピールするツールとして使っているような部分もあると思います。北朝鮮の誠意の無い外交に、我々は毅然として対処していると。
国民は気付くべきです。バカ言うなもともと北朝鮮の拉致に加担していた連中は、与党にも野党にもいてそいつらが悪かったから今の政府に罪は無いとはならない、グズグズしてないでとっとと解決しろ、そう言うプレッシャーも必要なのではないでしょうか。
解決する方法も無いし、その能力も無いんだから、カッコつけてきれい事吐いてないで、バーター取引でも何でもして早いとここの問題に決着をつける、その為には軍事的なオプションの無いアメリカ頼みのこの国は、善悪で論じればスッキリしませんが、北朝鮮が譲歩出来るような取引材料が必要だという事を国民も知る必要があると思います。そういった啓蒙を行うべきメディアが死んでいるのが何より厄介なのですが。
そして北朝鮮の拉致を断罪するのも必要かもしれませんが、そんな話は彼らは聞いちゃいないと思いますので、出来もしない事をカッコつけて叫ぶ前にやるべき事があります。北朝鮮断固許せんと吹き上がる事によって、忘れてしまっている事があります。北朝鮮の拉致に加担していた連中です。そういった連中に罪があるのは間違いないのですから、まずはそういった連中をきちんと罰する必要があると思います。もちろん思想信条の自由というものがありますので、北朝鮮のような国を応援したいと思うのは、厄介ですが仕方が無いでしょう。しかし拉致があった事を例え知らなかったとはいえ擁護していたのですから、きちんとその事を国民に謝罪し、責任を取ってもらう必要があります。もちろん知っていてそうしたのか、知らずにそうしたのかはわかりませんし、立証するのは難しいと思いますので、断罪に処せと言いたいわけではありません。国民を騙す事に加担していた責任は最低限取るべきです。そういった連中が、格差と騒いだり、憲法だなんだと騒ぐのは片腹痛いですし、北朝鮮問題の責任を誤摩化す為に後から後からありもしない差別をマッチポンプ的に騒いでいる面もあるでしょう。もちろん取り組むべき課題もあるとは思いますが、そういった課題を本気で解決する為には、まず北朝鮮の問題は、北朝鮮が悪いのはもちろんだが、それを認めなかったこの国の歴代の政府にも、与党にも野党にも問題があった事をきちんと総括し、拉致被害者帰国を最優先にする為、不本意だが北朝鮮にとって交換条件となるようなものを提示しない事には、事態は打開出来そうも無いという事に向き合わなければ、絶対に解決は不可能だと思います。最も解決する気があるのならという事ですが。
そしてこれも誰も言わないのであえて書きますが、拉致被害者を返せと叫んでいますが、そもそも拉致被害者が本当に生きているかどうかは推測でしかないはずです。生きていると言う確固たる証拠があるのかどうかはわからないので仮定の話です。もし拉致など無いと言っていたのにも関わらず、実際はいたんだから、死んでいると言うのもきっと嘘に違いない、というレベルの希望的観測、拉致家族に対する御為ごかし、国民を動員する為の仮説であるなら、とんでもない話です。北朝鮮が嘘つきで一筋縄ではいかないのは確かですが、確たる証拠も無いのに生きているはずだという憶測をもとに交渉しているのだとしたら、北朝鮮が解決したくとも解決しようがありません。北朝鮮の言い分は、嘘かもしれませんがそういう風に言っている事を、嘘だと断定するには相当確実な根拠が無ければバカを通り越して話の通じないキ○ガイです。遺骨のDNA鑑定がインチキだったから生きているはずだというのであれば幼稚すぎます。だいたい遺骨のDNA鑑定だって、なぜ第三国に頼まなかったのかはなはだ疑問です。この国で鑑定したって、嘘だと言われるに決まっているのはバカでも分かる話です。そもそも拉致被害者が本当に生存しているとして、その人達を返せば、国交正常化は出来るし、経済制裁の解除はもちろん、経済援助も受けられる可能性が高いのに、それを返さない理由は何でしょう。よく北朝鮮の抜き差しならない秘密を知ってしまっているからだ的な物言いがされたりしますが、これだけ情報が流入している現在、そもそも国交正常化がしたいと言っている国に守るべき国家秘密があるのなら、国交正常化などしない方がいいに決まっています。それをしたいと言っている国にどんな秘密があるというのか。国交正常化すれば、拉致被害者の方々を探すチャンスは今より増えるのは間違いないはずです。北朝鮮という国も厄介ですが、この国もいろいろと厄介な構造を抱えているようですね。もちろんここに書いてある事はあくまでも推測の話です。
こういった事はこの国の報道からはまったく見えて来ません。政府や報道には何も期待出来そうもありませんから、我々国民は、リテラシーを持ち、民度を上げる必要があると思います。北朝鮮問題についての我が国の対応、及びメディアの報道が気になり、つらつらと書いてみました。