「ハァハァ…あの彩です」

(あー良かったー
そこに寝かせてますよ
俺らこいつの家知らんくて)
(酔いつぶれるなんてな)
(連絡先貴女だけお気に入り入ってるから)

「え、あぁ…」

友達さんにタクシーまで乗せてもらい
家に着くと運転手さんに運んでもらった
部屋の鍵は財布の中
それは昔から変わらない
家の中はシンプルで落ち着いてる

横に寝かせ
真っ赤な顔してる優紀のおでこに
冷やしたタオルを乗せる
なんでそんなに飲んだよ…

「こんなこと、昔もあったな」

あの時は確かそう
親御さんとの関係と大人になりたい思いが強い
彼の意地だった
私はただ面倒になるのがいやで
別にどうでもよくて家に置くことにした
それが間違いやった?
そんなことしなきゃ私たち今も苦しまなかった?

「ん、んん…」

「目、覚めた?」

「っ、」

「呼ばれたから
連絡先のお気に入り私だけやって」

「データ変えてないからですよ
潰れてもうたか
よっ、」

「ちょっと危なっ…」

「良いから、離して」

「っ…」

やんわりと離される
拒絶
私の腕を引き寄せる彼はいない
少し伸びた身長と低くなった声
変わったんや

「もう、大丈夫ですから
明日でしょ帰るの」

「…うん」

「…気をつけて
お幸せに」

「そういうのは顔みて言ってよ」

「…」

この背中見たことがある
目が覚めたあの日
追いかけた私はその背中を見た
今に消えそうな逞しくなったのに
脆い背中だった



目が覚めて彩がいた
携帯で連絡が入ったらしい
こんなとこも変わらない
俺はずっと変わらない
カッコつけて離れたくせにだっぜぇ姿見せて
もう帰ってくれ
心が壊れそうだ
彩の顔も声も匂いも存在までもが
俺の理性を外そうとする
それは出来ない
また苦しめる繰り返してしまう
目を瞑り深呼吸
その時だった
背中に温もりを感じて
彼女の柔らかな暖かい匂いが
俺を包んだ

「なんですか…」

「優紀…離れたくない」

「何、言ってるんですか
先生は幸せになる人や
散々人生無駄にしてきた
体に傷を負うくらいの…だから」

「私の人生勝手に否定せんとって!」

「…そうやろ、俺なんも変わってへん
守られへんねん」

「私優紀に変わってなんか頼んでない
そのままの優紀がいい
優紀に出会うまで私は何事にも興味がなくて
正直いつ死んだっていいと思ってた
でも優紀と出会ってもっといたいって思えた」

「…他に男は沢山おる
俺なんかに興味でたんや
ほかの男でも…」

バチンッ!!

「っ…」

「アホ!バカっ!」

彩は俺の前に回り込み
両目に涙を溜めて俺を睨む
そんな顔まで愛おしく思うのは
狂ってるんだろうか

「そう思うなら後悔してるなら
やり直して、幸せにしてよ優紀」

「…」

「っ…」

「っ!こんなに血が出るくらい
我慢してるんやから!」

彩は俺の掌を見る
爪が食い込み血が出てる
そんなことどうでもいい

「…ンッ!!」

座ってる優紀の
膝の上に乗って
唇に噛み付く
抵抗するのも無視して

「やめてくれ…、おいっ!」

「私を見て」

着ていた服に手をかけ
まっすぐ見つめる
下着姿になり優紀に跨る

「やめて、頼むから」

「優紀…大好き、大好き…」

「っ…」

「私もあの時より成長した
もう怖くなんてない
優紀ことが好きそれだけでいいもん」

「それ、、」

「優紀が言ってくれたよね
それだけでいいって
私も、分かった」

「っ…なんで俺やねん
散々傷つけたんやぞ!
こんな、俺を…」

「幸せやったよ
これかも幸せでいるよ」

「なんでなんよ、、
やっと、やっと自由にしてあげられんのに」

「優紀」

「…」

「まだ足りない
もっと、私に依存して」

「っ、、」

「私くらい依存して?
もう、優紀がいないとダメやねん」

「…さ、やかっ」

「フフッやっと呼んでくれた」

抱きつくと背中に手が回った
たくさん遠回りしたけど
これが正解
間違ってない
私はあなたに…






「こらー
席座りなさいよー!」

(彩ちゃんこわいー)
(担任やんかー大目に見て)

「ダメです
あかんものはあかんっ
はい、教科書出す」

(ちぇー)

「はい、それでは
教育実習生を紹介します」

ガラガラッ
「今日からお世話になる



渡辺優紀です
みんなよろしくね」

(えー!!かっこいい)
(イケメンっ!)

「ハハッ元気いい」

「先生困らせないー」

(彼女いますかー!!)

「いますよ」

(えぇ!)
(当たり前やんか)

「すごく大切な人です」

「えっ…」

教卓の下手を握られた

「みんなもそういう人に出会えるよ」

(彩ちゃん?顔赤いでー?)
(彩ちゃんも彼氏さんといい感じー?)

「…うん」

(ヒューヒュー)

「さっ、授業始めましょう」

「山本先生、僕は後ろで」

「うん見学で」

「はいっ」

ニコッて笑う優紀
学校で優紀とこんなふうにまた
笑い合えるなんて思ってもなかったな

「あ、山本先生髪にゴミが」

「え?」

優紀の顔が近づき
耳元で囁いた

「何年経っても綺麗なままやね」

「っ///」

「フフッ」

あぁ、あのときは間違えたと思った
なんでこんなことになんて
何度思ったことか
でも間違ってない
この気持ちはどこもおかしくない

私はあなたに
依存した

あなたに依存している



永遠に

END