高校生活なんかどうでもよかった
何も楽しくなかった
兄ちゃんとは別の高校にしたから
比較されることも無い
バカにされることも無い
なにより美優紀がいない

「彩、にゃんにゃんおらんのやろ?
うちでご飯…」

「いらない…」

昔はこんな態度あっちゃんに取ったことなかった
母さんの創作料理も嫌いじゃないけど
あっちゃんのご飯はめっちゃ美味しいから
喜んで家行って
そしたらなんか力仕事があって
それやらされて文句言ってたら
ご飯が出てきて、笑って食べて
美優紀がいなくなってから
向こうの家に行ってない
兄ちゃんは相変わらず菜々がいるからいってるけど
俺は部屋にこもるようになった


「彩入るでー」

「…」

「これ、あっちゃんから
彩が好きなやつ」

「ん」

「そんな顔すんな
何もしねぇから
ほら、何も食べてないやろ」

「1人にして」

「そりゃ無理や」

兄ちゃんは悲しそうに笑った
俺はずっとこの顔をみんなにさせてる

「俺、あいつのこと嫌いなんや
散々振り回したくせに
どっかおらんくなったから」

「…」

「でも、、、やっはあいつがおらな
俺あかんっ…」

「彩…」

「あいつの事しか…考えられへんっ
今の俺なら大事にできたかな
ちゃんとあいつのこと不安にさせず
気持ち伝えられたかな
そしたらあいつも俺の事好きでいてくれたかな」

初めて泣いた
ずっと泣けなかったけど
兄ちゃんの前で初めて素直になれた
兄ちゃんは俺を抱きしめた

「ごめんな、、、彩」

なんで兄ちゃんが謝るん?
悪いのは俺なんや
ずっと責任を押し付けてた
美優紀じゃない俺だ
全部俺が悪い
好きだとちゃんと言わず甘えた俺

「兄ちゃん俺、、決めた」

「ん?」

「兄ちゃん追いかけるのやめる
俺は俺やから
なれないから
でも俺らしく成長してそれで
美優紀に文句言ってくる」

「…」

「逃した魚は大きいやろって」

「…」

「兄ちゃん?」

「あ、あぁええな
彩頑張れ!」

「おう!」





「美優紀ーご飯ー」

「はぁーい」

「今日も遅かったなぁ」

「うん!面接受けてきた」

「そんなに急がんでも
南からお金もらってるねんで」

「パパにもママにも菜々ちゃんにも
迷惑かけちゃってるから
少しでも自立したいねん」

「美優紀ちゃんと食べてる?」

「食べてるよ
おばあちゃんのご飯美味しすぎる」

「…」

「…ごめんね
私、みんなにそんな顔させてる」

「愛菜から電話あったで」

「え?」

「彩も前向き始めたって」

「…そっか、ならよかった
いつまでもうじうじはさぁちゃんらしくない
さぁちゃん意外と調子乗りやからな」

「そーやなぁ
昔遊びにきたときも
木登り褒められて調子乗って
降りれんくなってたな」

「あーあったあったそんなこと
私も一緒に行って
おじいちゃんが来てくれて
めーっちゃ怒られて
さぁちゃんと泣いて…
あっくんが庇ってくれて」

「愛菜はずーっとお兄ちゃんで
そんな愛菜のこと追いかける菜々も
可愛かった
孫が一気に増えた気がしてたなぁ」

「ごめんね、、おばあちゃん」

「美優紀はいつまで謝るんや
ばあちゃんは美優紀とおれて
幸せやで
孤独死しやんですむな」

「縁起でもないことやめてよ
一緒にいてよ」

「ハハッそうやな」

「おばあちゃん…」

「美優紀…おいで
大丈夫、美優紀は
南とあっちゃんの子なんやろ?
大事なばあちゃんの孫やろ?」

「うん」

「安心しな…」

「ありがとうっ…」


さぁちゃんごめんね
さぁちゃんが前向いたって聞いて
すごい嬉しい
私なんかが傷つけてごめんね
私バカだから
さぁちゃんみたいに賢くないから
こんなことしか思いつかなかった
いつかまた会うことがあれば
そのときさぁちゃんが作った幸せを
応援して祝福するから

「さぁちゃん…大好きだよ…」