「おはよー」

(彩ちゃんおはよー)
(今日も可愛いー)

「ハハッ
出席とりまーす…あ」

いつものように
教室を見渡すと
渡辺と目が合った
真っ直ぐな目で見つめてくる
なんなんよその顔ー…



「調子狂う…」

「渡辺くん?」

「そう」

「よっぽど彩が好きなんやなー」

「高校生の気まぐれに
振り回されるのも辛い」

「そーかなー?
結構本気っぽいけど?」

「…疲れる」

渡辺のことは嫌いではない
でも好きでもないのだ
自分は誰かを好きになれない
好きという感情は
とっくの昔に捨てたから
あんな思いはもうしたくない
依存しても傷つくから

「お疲れ様でした」

(山本先生飲みに行きませんか)

「あ、いや今日は」

(いいじゃないですかー)

「ごめんなさい、失礼します」

あの男訴えたろか
毎回毎回
体目的なんも分かってるし
だからこそ拒否してる
それなのに何度も何度も

「あー…うざいな」

「さーやーかっ」

「…渡辺」

「よっおつかれー」

「あんた暇やな」

「暇ちゃうわー
逃げてきた」

「取り巻きたちか」

「そっ、モテるって辛いねー」

「あっそ」

「妬いた?妬いた?」

「全然、興味ないし」

「ちぇー」

「何のよう?」

「いや帰ろうと思ったら
彩が見えて
なんかモテてるからさー
妬いた」

「別にあれはそんなんちゃう」

「気づいてないだけやって
彩可愛いし」

「アンタそんなキャラちゃうやろ」

「俺もびっくり
でも好きやって思ったら
変わるもんやな」

「…好かれても迷惑やから
じゃ」

「…待って」

「なに…っ///

ち、近いから///」

「顔真っ赤…慣れてないんやな」

「うるさい、離れろ」

「彩の気持ちはわかるよ
俺やって教師を避けてる
理解はしてるつもり」

「好きにならへんから」

「彩は俺が好きやで」

「は?」

「認めたくないだけ
だから認めさせたるから」

「あー、ウザい
私は渡辺の取り巻きちゃう
だからそんなんに」

「分かってるよ」

「じゃあ」

「でも伝えたいからさ
彩がどれだけ俺を突き放しても
俺は彩を見てるから
支えるからさ」

「…」

「それだけ」

「物好き」

「やな、俺も思う
こんな素直ちゃう女
どこがええんやろ」

「お前なぁ…」

「でもしゃーないわ
好きになってもうたし」

「…」

「あー!腹減った!
彩ラーメン食べに行こや」

「…」

「って言うてもやなぁー
よし、じゃあまぁ
気をつけてな」

分からない
無意識だった
向けられる背中に手を伸ばし
掴んでしまった
すると渡辺は立ち止まり
可笑しそうに笑った

「なによ」

「掴むと思った」

「はぁ?」

「よし、今日は俺がおごったるわ
ほらいくで!」

「…替え玉つきやからな」

「よー食べるな太るで」

「はぁ!?」

「まぁ太っても可愛いけど」

「っ///」

「あーあ真っ赤
かわいいーっ」

「か、可愛い言うなっ」

「可愛い可愛い」

「あー!うざい!」

「ハハッ」

「餃子も追加やからな」

「へいへい」