https://ameblo.jp/johnishinanda/entry-11790300268.html

↑この作品の続編です
忘れた方はぜひ1話から!











「よいしょ…よいしょ」

「彩ちゃん!僕が持つから!」

「あ、ちょっと大丈夫やって」

「ダメ!妊婦さんにそんな重いもの…」

「買い物袋くらい持てるのに」

「ダメー!!!」


優紀と結婚して1年
しばらくは二人でゆっくり暮らそうかと
思っていたけど
少し前に妊娠が発覚
優紀は泣いて喜んでそれにつられて泣いた
大学卒業後、大手の会社に就職が決まって
バリバリ働いてる優紀だけど
休みの日は今みたいに手伝ってくれる

「無理しなくていいんやで?
優紀働いてるんやし
私は家に…」

「彩ちゃんそれ
モラハラってやつらしいで
専業主婦は働いてないって
そんなことないやん
毎日毎日家事して
休みないのは彩ちゃんやんか」

「…優紀」

あーこんなに幸せでええんやろうか
昔の私は自分は男やと思って
誰かを好きになることも
男として見ることもなかった
しかし今ではお母さんも驚くほどで

ギュッ…

「んー?どしたー?」

「んー。なんとなく」

「ヘヘッ僕にとっては最高の何となくやな
彩ちゃんご飯食べれそう?」

「…んー、食べてみる」


優紀は匂いがキツくない食事を
頑張って作ってくれる
つわりがひどい私のため
せっかく作ってくれたのだから
食べたいのに

「ウッ…」

「あ、ごめんな!
違うのにしよ」

「…」



「彩これ、多分食べやすいと思う」

「ありがとう山田」

「最近はどーなん?」

「あぁ…うん
優紀がホンマに支えてくれてる」

「そっか!それは良かった」

「うん…」

「どーしたん?」

「頑張ってくれるんやけど
無理さしてる気がして
それに…ご飯も食べられんくて」

「あぁ」

「申し訳なくて」

「…フフ」

「え?」

「彩、ホンマに女の人になったなー」

「なんで…」

「優紀のこと話す時
すごい優しい顔してる
それにほら」

「あ…」

「自然とお腹さすってた
赤ちゃんのこと大切にしててよかった
私は妊娠してないから分からないけど
でも優紀に出来ることは限られてる
彩の代わりに赤ちゃんお腹にいてもらえない
産むことだってできない
優紀は優紀で辛いと思う
だからこそ頑張るんやあの子は
知ってるやろ?彩にずーっと真っ直ぐで
彩しか見えてないやんか」

「確かに…」

「申し訳なくなる気持ちは分かるよ
でも、その気持ちより更に大きく
お腹の子に伝わるくらい
優紀への感謝を想わへんとね
優紀への愛っていうか…うん
そーいう優しいの…そんなのがあれば
いいんじゃないかな?」

「山田…」

トンッ

「あっ」

「え?どーしたん?」

「なんか今…動いた気が…」

「きっとお腹の中で伝えてるんよ
お母さん笑ってって」

「フフ…そっか」



そこから
優紀の献身的な支えで
すくすくとお腹は大きくなっていく
大きくなるにつれつわりもマシになってきて
一安心

「彩ちゃんじゃあ行ってくるねー」

「…」

「彩ちゃん?」

「イタイッ…」

「え?」

「イタタタッ!!!」

「えぇ!?あ、えっと陣痛」

陣痛が痛いものなんか分かってた
それなのにいざ来てみると
ものすごく痛い
痛くて怖くて震えてくる

「あ、えっと救急車!
いや、車で…あ、タクシーを」

優紀も焦ってしまってる
しっかりしないと
ちゃんとお母さんにならないとっ…

バチンッ!!

「え」

「しっかりしろ…俺
二人守るんやろ…ふぅ
彩、タクシー捕まえるから
とりあえず外出る捕まって」

「…優紀」

優紀はすごく真っ直ぐ
頼りがいのある声で私を立たせた
その手はあまりにも頑丈で
不安が少しなくなった




(お母さん!!力んで!力んで!)

「ンゥゥゥ!!!!」

(んー…まだ出ないかぁ…)

まる1日陣痛と戦っているけど
赤ちゃんは出てこようとしない
なんで、出てこないの…?
外に出たくない?
私たちに会いたくないの?
痛みと疲労から
子供みたいなことを考えてしまう

「彩ちゃん」

「優紀…?」

「赤ちゃんの気持ちよーわかる
僕も赤ちゃんなら出たくないもん
せっかく彩ちゃんとへその緒で
繋がってるんやで?
切られたくないやんか
赤ちゃん僕に似たんかな?」

そーやって微笑みながら
汗を拭いてくれる
あぁ…この人を好きになってよかった
赤ちゃん、早く出ておいで
早く紹介してあげたい
あなたのお父さんはこんなにも
素敵な人なんやでって…

(お母さん力んで!)

「ンゥゥゥ!!!!」

(あ!頭でた…よしっ!!
赤ちゃん産まれたよー!!)

シーーーンッ

「え…なんで、泣かないの…?」

なんで、赤ちゃんは?
赤ちゃん…元気じゃないの?

ギュッ

「優紀…」

「大丈夫大丈夫だから」

ニッ…








「ンギャァンギャァ!!!!!!」


「な、泣いた…」

「疲れてたんやろうな」

「優紀…」


(はーいお母さん
元気な男の子ですよー)

「ハハッ…可愛い、生まれてきてくれて
ありがと…」

(フフお父さんも…)

「あ、待ってください」

「優紀?だっこしたく…」

ガバッギューーーッ

「彩ちゃん…産んでくれてありがとう
僕は世界一の幸せものや」

「優紀…ほら私汗かいてるし」

「頑張ってくれた証拠や…
ホンマに…無事でよかった」

優紀の手は震えていた
きっと私のためにしっかりしてくれてたんやろう
いつもは女の子みたいに
繊細な人やのに
頑張ってくれたんやろうな

「大丈夫…ここにおるよ」

「ハハッ…

よし、おいで赤ちゃん」

(フフ素敵な旦那さんですね)

「え?」

(一番に奥さんを抱きしめるなんて)

「えぇ…ホンマに
自慢の旦那さんです」

(今日はゆっくり休んでくださいね
旦那さんのベットも用意してますから)

「ありがとうございます…」

(いえ)


赤ちゃんを抱きしめる優紀は
もう父親の顔だった

「優紀」

「ん?」

「…ありがとう」

「ヘヘッうん」