(おっけー休憩ー!)

「ふぅ…」

「おつかれ」

「ありがと…次の仕事は?」

「インタビューやけど」

「前に来てた広告の仕事やるわ」

「みるきー…
頑張ることはええ事やけど
無理するのはちゃうで?」

「なにが?
普通やろ」

「みるきー」


ガチャッ
「ただいま」

ワンッ
「おかえり美優紀ちゃん」

「うん」

ガチャ、バタンッ
ブシュッ…

クゥン…
「またお酒のむの?」

「音遠餌あげるから
あっち行って」




美優紀ちゃんの心は
3ヶ月前彩ちゃんと
さよならしてからずっと
閉じたままや
美優紀ちゃんは
生まれた時から一人ぼっちで
一人が好きやったみたい
でも彩ちゃんと出会って
変わったって言ってた

前に彩ちゃんが
絵本で教えてくれた
人は幸せになると
そうじゃなくなったとき
立てなくなるんだって
そして誰かに助けてもらえないと
元に戻らない

ワンワンッ
「美優紀ちゃんっ
ほら、大好きな雑誌…」

バシンッ

キャインッ!
「イタイッ!」

「あっ…ごめん音遠
ホンマにごめん
痛かったな…ごめんな?」

ワンワンッ
「そんなことどうでもいい!
美優紀ちゃん笑ってや
2人で頑張ろって言うたやんか
そんなんじゃ彩ちゃん可哀想」

「音遠…
言いたい事分かるで
ごめんな、アカンやんなこんなん
彩のためにならへんもんな
もう、寝るわ
明日も朝早いし」

美優紀ちゃんは
辛そうに笑った
初めて美優紀ちゃんを
嫌に思った
一人になるんだすぐに
2人でって言ったのに
あの日私に言うてくれたのに
1度も二人になってくれない
寂しいよ美優紀ちゃん

会いたいよ彩ちゃん



「あー部屋散らかってるー」

ワン?
「誰…?」

「あ、音遠
ご飯食べたー?」

ワンワンッ!
「ゆーくん!!!」

来たのは優くん
あっちゃんのパパ
前に散歩に連れていってくれた
優しい人

「陽菜からさ
みるきー落ちてるから
様子みてこいってさ
部屋もそのままやし
音遠一緒に片付けるでー」

ワンッ
「わかった!」



「ふぅ…さて
なぁ音遠
みるきーどうや?」

クゥン…
「寂しい」

「…そっか
彩の笑顔見たら元気になるかもな
そーや!家連れてこよか」

ワン!?
「え!?」

「よーし行くぞー音遠」

ワンワンッ!!
「ちょ、ちょっと!!!」





「この辺かー?」

ワンッ…
「確か前に来た時には…」

「お!見つけたか」

綺麗なお家
彩ちゃんも幸せなんやろうなぁ
久しぶりに会えるから
緊張する

優くんと一緒に
玄関まで来た

ピンポーン…ピンポーン…

「留守か…」

ワン?
「ん?」

クンクンクンッ

彩ちゃんの匂いがする

「おぉっ、音遠急に…」

優くんを引っ張って
匂いのところまで行く

ワンワンッ!!
「優くん!ここ!」

「え?ここ開けるんか?
おぉ…」

ガラガラッ

!?!?!?


「彩…」


物置の中には
ボロボロになった彩ちゃんがいた