ペロペロッ
「ん...あ」
(ワンッ)
「音遠...あ、時間や
起こしてくれたんや」
(ワンワンッ)
音遠が来て1週間
どーやら私の起きる時間を
覚えたみたいで
起こしてくれる
大きい声で吠えたら
彩が起きるのわかったみたいで
小さな声で
ホンマに賢い犬やなぁ
「音遠朝ごはんしよっか」
(ワンッ)
音遠のご飯を用意して
彩のご飯も用意する
「音遠っおいで 」
(ワンワンッ)
「おすわり、お手」
物覚えが良くて
ホンマに可愛い
「あ、そろそろ」
(ワンッ)
ご飯を食べてた音遠が
寝室に走り出す
行ってくれたんやなぁ
ちょっとして
小さい二つの足音が聞こえる
トタトタトタッ
「みゆちゃ!おはよっ」
「うわっ、彩ぁ
おはよ」
足に抱きついた彩に
目線を合わせていうと
満足そうに笑ってくれた
「ご飯できてるで?」
「うんっねおんはー?
たべたー?」
「もぉ食べたで?」
「そっか
ねおんちゃんといただきますした?」
(ワン?)
「ごちそうさまもするの!」
(ワ、ワン...)
「フフッお姉ちゃんやなぁ」
「ヘヘヘッ」
先生に注意されたこと
それは彩は我慢する子
だから我慢させないように
接しよう
「お姉ちゃんの彩も好きやけど
甘えたな彩も好きやなぁー」
「ニッ...だっこ!」
「フフッおいで」
ソファーから手を広げたら
走って膝をよじ登り抱きついてきた
以前より少し重くなった
それはちゃんと食べてくれてる
成長してる証拠
それが嬉しくて
子供らしいぷにぷにしたほっぺを
つまむと嬉しそうに
ニィーって笑う
「あ」
音遠の方に目をやると
やれやれって顔して
寝転んでた
どっちがお姉ちゃんやろうな
「みゆちゃわすれものない?」
「ないで
今日も遅いねん
ごめんなぁ...絶対帰ってくるからな?」
「大丈夫っ」
「...」
「みゆちゃ?」
毎日思う
送り出す彩は
必ず手を後ろに組む
それは震えてる手を隠すため
3歳児が無意識に行ってる
泣けばええやん子供なんやから
理屈わからんでええのに
彼女は物覚えばかり良くなる
彼女の心はどれだけ傷ついてきたのか
心も体もすべて
子供らしさを奪うということは
なんて残酷なんやろうか
「みゆちゃ?」
ギュッ
「ごめん彩
元気出るように
ギューってして?」
「痛い痛い?」
「ううん違う
彩とおりたい
でも仕事せなおられへんから
頑張るねん
力ちょうだい彩」
「うんっ!いいよ!」
ギューッ
彩は力を込めてくれる
3歳児の力なんか
たかがしれてるけど
でも彩は私に元気なってもらおうと
うーうー言いながら
抱きしめてくれている
「彩ぁ...」
「なにー?」
「大好き、行ってきます」
チュッ
おでこにチューして家を出る
胸がポカポカして
自然と笑みがこぼれる
「おはよみるきー」
「おはよ」
「ハハッ今日もええ顔してる」
「何よ毎日」
「昔では考えられんかったって
ことや」
「...」
「彩ちゃんと
出会えてよかったな」
「そう、やな」
「さ、早く仕事終わらせるで」
「うんっ!」