「みるきー」
「あ、けいっちや」
「フフフッお疲れ」
「うん、ありがと」
「朱里は?」
「なーみのお守り
めーっちゃ泣いてた」
「里香ちゃんのTwitter見た
嬉しいなぁ...あんなに」
「みんなホンマははあんな感じや」
「あー疲れたぁー
なーみ寝たんやけど」
「お、朱里お疲れー」
「柚巴に任せてきた
よいしょ、あジッパーメンや」
「そーやな」
「...」
「みるきー?」
「んー?
里香ちゃんがな
一期で初めてここに来たこと
思い出したって」
「あー」
「元々芸人さんの劇場で
私らも芸人さんと同じ扱いなんかなとか
そーおもって
初めて来た時感動したもん」
「そーやったな
愛菜とか叫びまくって」
「そーそ
恵な人見知りで
全然話されへんくて
それやけどみるきーが
話しかけてくれてちょっとずつな」
「恵ちゃん暗かったもんな
朱里はみるきーとホンマに仲悪かった」
「そーや
着替えてる時喧嘩してて
さや姉に怒鳴られてたな」
「なんであんなに仲悪かったんやろな」
「分からへん...」
「そーやな」
「あれー?ここにもおらへん」
「どしたん美瑠」
「さや姉どこいったんやろ」
「帰ったん?」
「ちゃうと思うけど
見つからへんねん」
「彩ちゃんならあそこや
...迎えに行ってくる」
「...そっか
じゃあ待ってるー」
「いた...」
「...」
「彩ちゃん」
「...」
「やっぱり、泣いてた」
「...」
楽屋裏のレッスン場の端
彩ちゃんはいつもここにいた
選抜に初めて選ばれた時も
誰かが卒業した後も
辛くなるとここにいて
そして私がいつも行く
「もう、最後やで?」
「...分かってる」
「あ、怒った」
いつもみたいに
ニヤつきながら聞いたら
すねた顔で
こっちを見る
「ごめんな」
「何の謝罪?」
「先に卒業して」
「...」
「ごめん
やっぱり私、アホやった
ちょっとうまく行かなくなって
大人のこと信じられへんかったのを
皆にもぶつけてた
勝手に一人やって思い込んでた
でも全然違うくて
私はみんなに支えられてて
一人になんかなるわけなかったんや」
「当たり前やろ...
一人になんかならへんよ」
「うん、ごめん」
「ええよ
みるきーにはこんな思いさせたくない」
「またそーやって
一人で背負い込む」
後ろから抱きつくと
ますます小刻みに揺れ始めた
こんな華奢な背中に
私の荷物を置いていくんや
また、彼女の夢から
遠ざけるようなことしてるんや
「ごめん彩ちゃん」
「みるきーありがとう」
「え?」
「みるきーがいたから
ここまでこれた
いっぱいあったけど
みるきーがいたから
私は、戦えた」
「彩ちゃん...」
「それにな
嬉しかったんや
皆が成長してた
私たちを超えようとしてる
それが嬉しいんや」
「やろうな
そんな顔してた」
「バレたか...」
「バレバレやずっと見ててんで?」
「知ってる
これからは
みるきーの視線感じること
できひんねんな」
「なにそれ」
「いっつも私の方見てたから」
「自意識過剰~」
「ちゃうわ
目が合う度安心したんや」
「フフッじゃあ彩ちゃんも
私のこと見てたんや」
「...まぁ」
「一緒やなホンマに...」
「そーやな」
「...戻ろみんな待ってる」
立ち上がって歩きだそうとしたら
手をつかまれる
見下ろすと彩ちゃんが
真剣な顔でこっちを見てる
「先に行かんとって
今は隣にいてや...
今日だけは」
「...ごめん」
彩ちゃんの手を掌で包んで
力を込めて引き上げる
うつむく彩ちゃんを
引っ張って抱きしめた
「ありがと、彩ちゃん
6年間...ライバルでいてくれて
私も最強やと思えたし
さやみるきーは...永遠や」
「それ...」
「この言葉、大好きや」
彩ちゃんは涙を溜めて
苦しそうに笑ってくれた
「彩ちゃん...行こっ一緒に」
「うん、行こ」
手を繋いで
歩き出した
これが最後
今日が最後
何回言ったやろ
何回聞いても慣れなくて
何回聞いても苦しい
でも...
隣を見ると
さっきまでの泣き顔じゃなく
凛としたカッコイイ顔
この顔を6年間隣で見れてホンマに
よかった...
「彩ちゃん」
「ん?」
「次の運命の人
見つけに行くわ」
「ハハッおぅ」
「みるきー」
「ほら、行くでー」
「おなかすいたー」
「皆~おまたせっ」
皆...ありがとっ