「なぁ」
「なんですか?」
「言わへんの?先生に
学年の優等生が
授業サボってタバコ吸ってたって」
「言うも何も興味ないですし
それに名前も知らないのに」
「俺のこと...知らへんの?」
「えぇ全く
先輩ってことしか」
「...ハハッ、そうやんな」
「何笑ってるんですか?」
「いや、これが普通なんや」
いつも俺のことはみんな知ってて
それが怖かった
何を知られてるのか
理想の俺であらへんとって
でもこの子は何も言わず
本を読み始めた
「なぁ授業は?
サボってんの?」
「体育だから
私は体が弱くてできないんです」
「...そうなんや
なぁ、名前は?」
「須藤凜々花です
聞く前に名乗って欲しいですが」
「あ、ごめんな
俺、山本彩!」
「彩先輩」
「うんっ」
「フッ甘いですね」
「へ?」
「心開くの早すぎますよ」
「え」
「面白いですね」
凜々花の笑顔は優しかった
俺への目は
アイドル山本彩でなく
1人の男 山本彩やった
その日から毎日
上西と俺と3人で屋上で会うように
凜々花は哲学が好きで
沢山語ってくれた
好きなもののことを語ってる
凜々花は幸せそうやった
俺はその姿を見れたら良かった
凜々花も俺の話をたくさん聞いてくれた
理解してくれた
「なぁりりすけ」
「なんですか?」
「彩のことどう思ってるん?」
上西が凜々花に聞いていた
俺は隠れて聞いていた
「どうって?」
「いや、好きなんかなーって」
「好きですよ」
「あーやっぱり」
「それは人としてです」
「人?」
「えぇ彼の生き方が好きです」
「そうか?不器用すぎひん?」
「それは思います
でも、彩先輩は正直やから
真っ直ぐやから
なんか、助けたくなるし
守りたくなる
...けど芯はしっかりしてる」
「あーなんか分かる」
「恵先輩もそうですよ
だから私が
二人を守ってあげます」
「守る?」
「えぇ」
隙間から凜々花を見ると
その顔は
哲学について語るみたいに
幸せそうやった
俺もきっと同じような顔をしてる
理解してくれる人がいる
助けてくれる人がいる
好きでいてくれる人がいる
「凜々花」
「あ、彩先輩」
「彩聞いてたんかー?」
「何のことや?
そろそろ帰ろや」
「そーやな凜々花送るわ」
「ありがたや」
「ええよ
まぁ守ってもらうばかりじゃ
アカンからな」
「あー!彩やっぱり
聞いてたやん」
「るせぇ」
「彩先輩...」
「ん?」
「ありがたや」
「おぅ」
こんな毎日が続けばよかった
学校でも家でも
笑えるはずやった
なのに...
ピンポーンピンポーンピンポーン
(彩くーん!)
(山本くーんー!)
(彩ぁぁ)
「いやぁぁぁぁー!!」
ガシャーーーーーンッ
俺は
笑顔にできない