(彩くんおはよ!)
(彩くんあの...)
「下の名前で呼ばんとって」
(あ、うん)
(...)
「冷たすぎるんちゃう?」
「美優紀がおるから」
「...そっか」
「...」
「そんな顔するな
間違ってへんよ」
「おぉ」
ガチャッ
「彩」
「よぉ...」
「はいお弁当」
「ありがとう」
美優紀の弁当はうまい
優しい味がする
これはホンマに思う
「うま」
「よかった
これ前に彩が好きやって
言うてたから」
「ん、ええ味」
「フフフッ」
食べ終わって
頭の後で手を組んで
寝転んだ
その手を掴まれて
頭を持ち上げられて
柔らかいものに包まれる
「ちょっ...」
「子どもーっ」
「はずいわ...」
「ええやん可愛いで?」
「膝枕とかなんか
アニメやん」
「不満なん?」
「ちゃうけど...」
「やろー?」
「美優紀の方が子供や」
「えー失礼やで」
「...ったくここ学校やで
屋上でいちゃついちゃって」
彩があんな風に笑うのは
もしかしたら初めてかも
中学高校と一緒におるけど
俺の記憶の中の彩は
いっつもつまらなそうで
目に光なんかなかった
「よかった...」
階段を降りて
廊下を歩く
顔を上げた時に
衝撃を受けた
「な、んで...」
俺の視線の先には
中学時代の後輩
俺と彩が一番信頼し
そして俺らを
一番恨む...彼女
なんでここに来た
なんでわかった...?
彩が元に戻ったことに
復讐しに...
「恵っ!」
「ッ!?...朱里?」
「どーしたん?
だいぶ顔色悪いけど」
「...いや」
「しんどいん?」
「ちょっとな
見ちゃアカンもん見た的な?」
「なにそ...」
「それって私のことですか?」
「ッ!?!?」
「え?誰?
めっちゃ可愛いやん
お人形さんみたい!」
「お久しぶりです
恵先輩
彼女さんですか?」
「えー?恵知り合いなん?」
「...中学の後輩や」
「そーなんや
うちの学校になんかあるんー?
制服難波東高校のやんな?」
「えぇちょっと
地域交流会の打ち合わせに
生徒会に入ってるんで」
「へぇ大変やなぁ」
「それと...会わないと
いけない人がいるんで」
「何する気や!!!」
「恵...?」
「先輩?何を怯えてるんですか?」
「ハァハア」
「どうしたん?恵」
「私、悪いことしたことないですよ
されたことはあっても」
「...」
「安心してください恵先輩
私は、確かめに来ただけです」
「...」
「では失礼します」
「...何をする気や
凜々花」