最近、私の日常は
少し変わった

「先輩っ」

「よっ…」

「おはようございますっ
行きましょー」

朝、渡辺と
一緒に行くことになった
ずっと渡辺の話を聞くだけやけど
待ち合わせして一緒に行く
不思議と居心地は悪くなかった

「じゃあ愛妻弁当です!」

「結婚してへんし」

「先取りです」

「なんの…はぁ」

「ヘヘヘッ」

たまに不思議に思う
なんでコイツはこんなにも
笑えるんやろって
ずっと笑ってて
辛くないんやろうか
そればっかり思う


学校が終わり
渡辺のとこに行って
一緒に帰る
これがいつもの流れに
なりつつある
でも今日は…

「彩!」

「…茉由」

「彩、なぁそろそろ
戻ってこうへんか?
皆、彩のこと…」

「私のこと、なに?」

「いや…」

「待ってる?まさかな
アンタら言うたよな
結果の出せない私は
いる価値がないって
今さら戻って何になるん?
歩けるようになった私に
少し可能性が出たからやろ?
ふざけんな」

「…彩、あのときは
皆、驚きと焦りで
今は落ち着いて
反省もしてる傷つけたことも
側におらんかったことも…」

「今さら遅いねんっ!!
…私はもう、飛ばない」

「彩…」



「先輩?」

「ほっとけ」

「嫌です」

「はぁ…ホンマにお前は」

「いいんですか?
ホンマは飛びたいんでしょ?」

「そんなこと…」

「いつもさみしそうに
グラウンド見てるの
知ってますよ?」

「はぁ…怖いんや」

「え?」

「足は治った
飛ぶことは出来る
でも期待されたあの頃に
戻ることは出来ない
ハイジャンの世界で
求められてる私は
選手権で金を取れる私や」

「…」

「また戻って
期待させたくない
裏切って
私に気を使うみんなも
もう見たくないんや…」

「先輩は誰のために
生きてるん?」

「え?」

「自分の人生やろ?
何でそんなに周り見るん?
自分のしたいことしたらええやん
今は今しかないのに」

「…勝手なこと言うな
お前に背負ってるもんなんか
何一つないくせに!!!」

「っ…」

「あ…」

「そうですね
ごめんなさい先輩
私、言い過ぎました
自分の気持ち押し付けすぎましたね
先輩苦しんでるの知ってるのに
…帰りましょ」

「いや、あの…」

「帰りましょ」

その後渡辺は
何も言わなかった
そして私も謝ることが
出来なかった


この時の私は知らなかった
この言葉がどれだけ
渡辺を傷つけたか
私は全く

知らなかった