「ん…やばい」

朝起きると体が重かった
うまく動かなくて
熱ぽかった
風邪ひいたんやな多分

(彩ちゃんおはよ
ご飯…)

「…行ってきます」


クラスについて
机に伏せる
今日は休まへんと
まずかったかな…



「…ん」

「先輩大丈夫ですか?」

「え…?」

目を覚ますと
渡辺がこっちを見ていた
時計を見ると
昼休みの時間
ずっと寝てたんや

「…来んな」

「先輩」

「うつるから…」

「やっぱり風邪ひいてますね
熱あるし
無理するから…」

「関係ないやろ…」

「早退しましょ」

「ほっとけ
帰ったって…」

「…待ってて」

「え」

止めたかったけど
体が動かない
大人しく机に寝てると
渡辺が戻ってきた

「帰るで先輩」

「はぁ…?」

「先生にも言うたし
お母さんが迎えに来るから
私の家行きましょ」

「ええって…何してんねん」

「いつまで
無理したら気が済むん?」

いつもみたいに
笑顔じゃなくて
真面目な顔で言ってきた
全てを見透かされてるみたいで
恐怖も覚えたけど
でも、なんだか
軽くなった



「ハァハァ…お前まで
帰らんでも」

「心配やってんもん」

「…ったく」

「大丈夫?」

「…楽になった」

「そっか良かった
今日はずっとそばにおるから」

「いらん」

「いさせて…」

「…」

心配そうに
私の頭をなでる
そんな目で見られたの
生まれて初めてや

「あ、そうや
ママ仕事行っちゃってんけど
ご飯作ってくれてるから
取ってくるな」

立ち上がろうとした
渡辺の手をとっさに掴む

「あ…」

どうしていいか分からへん
戸惑う私
でも渡辺は笑顔やった

「大丈夫、すぐ戻ってくる」

「…」



「はい、あーんして」

「いい、自分で」

「ええからほら口開けて」

「あ…ん、うまい」

「良かったちゃんと噛んでや?」

「分かってる…」

「フフフッ先輩子供みたい」

「うるさいねん…ん」

渡辺が頬に手をやる
冷たくて気持ちいい

「無理したらアカン
しんどいならしんどいって
辛いなら辛いって
私を頼って?」

「お前は何でそんなに
してくれるんや…?」

「先輩が…好きやから
言ってるでしょ?」

「私を好きになっても
もう私は輝かへんで
飛ぶこともできひん
自慢することやって」

「そんなアホな理由ちゃう
好きやから支えたいねん
飛ばれへんくていい
飛びたいなら飛ばしてあげる
だから私に任せて」

「ハァハァ…お前、変わってんな」

「褒め言葉?」

「そう捉えてくれても
問題はないで…ハァハァ」

「上からやなぁ
看病されてんのに」

「頼んでへんわ」

「可愛くない」

「…なぁ渡辺」

「ん?」

「今日だけは素直に甘えれる…かな?」

「ええよ?」

私が手を伸ばすと
しっかりと握られ
渡辺の頬へ
渡辺の空いた手は
私の頭をなでる
初めての安心感で
私はゆっくり目を閉じた