「先輩っ」

「…ッチ」

「ちょっと!
一緒に行きましょ」

「遠慮しとく
一人でええから」

「何でですか」

「…もうええやろ」

毎日毎日絡まれて
ものすごくうんざりしてる
何が目的やねん
暇なんか?

いつも通り屋上にきたら
すでにアイツがいた

「ここは私の場所や
勝手に入るな」

「ここは皆の学校ですよ?」

「はぁ…マジでなんなん?」

「何でしょうね」

「お前…」

「先輩!見てください
あの雲犬みたいですよ」

「…」

「先輩も見て?
何かに悩むより
こんな子供みたいな
意味ないことしてるほうが
スッキリしますよ」

何かその言葉が
ズシッときた
仕方なく渡辺の横に立つ

「あの雲何に見えますか?」

「…ぞう」

「あ」

「ん?」

「同じこと思ってた!」

「っ…」

子供みたいな
眩しすぎる笑顔を私に向ける

「楽しいですね先輩」

「これが?」

「これがっていうか
先輩がおるから
楽しいんですよ」

「…お前変わってるな
礼でここまでするなんて」

「鈍感ですね
好きって
言ったじゃないですかー
好きな人に尽くしたいのは
普通のことですよ?」

「…好きな人」

「はい、先輩が好きです」

「…」

昔、一年前は
そんな言葉たくさんもらった
下駄箱には溢れるほどの
手紙が入っていたし
歩く度に人がついてきた
何がなくても楽しくて
毎日が進んでいった
でも変わってから
誰も来なくなった
いや、寄せ付けなくなった
誰も近づけなくなったんや

「先輩」

「ん?」

「好きですよ」

「物好きやな」

「よく言われます!」



「先輩!帰りましょ」

「一人で帰る」

「ダメです!
ほら行きますよー!」

「お、おいっ…」


「それでその時に
先生がぁー」

隣で何かいろいろ話してる
終始ニコニコしていて
そんなに私といて楽しいか?
ってほんまに聞きたくなる

「あー先輩の家は…」

「私には両親おらんから」

「え…」

「生まれた時からおらん
顔も知らへん」

「ごめんなさい…」

「別に気にしてへんし
謝ることもない」

「…」

「…そんな顔するなら」

「あ!そうや!」

「は?何…」

「先輩
家に来てくださいよ!」

「はぁ?なんでやねん」

「いいじゃないですか
暇でしょ?」

「勝手に決めんなや」

「じゃあ予定ありました?」

「いや、それは…」

「じゃ決定です!」

渡辺は私の腕に
しっかりと自分の腕を絡めた