「ハァハァ」

「ハァハァ…」

走って来たのは
家から少しのとこにある
廃墟
廃墟って言うても
結構綺麗で
子供の頃よく立ち入り禁止のここで
遊んでいた

「大丈夫?」

「…うん」

「ふぅ…」

「パパが来るなんて…」

「母さんは
それだけ本気なんやな…」

「パパと別れたとき
聞いちゃってん」

「え?」

「彩と美瑠は
絶対に幸せにするって」

「何やねんそれ」

「思った
ママにとって
パパに似てる私のことは
嫌いやったんやって
でも私はママが好きやった
だから、ママが普通に
話してくれることが
嬉しかった…
でも」

「姉ちゃん…」

「ごめんっ彩
傷つけちゃって
ごめんな…」

ガバッ!!

「謝らんとって
俺は後悔してない
傷ついてもない
多分伝えへんくて
過ごしてた方が
後悔してたんや」

「っ…」

「俺の方こそ
分かってるけど
目、背けてた
姉ちゃんの女としての
幸せを奪う…
俺には姉ちゃんをっ!

ンッ!?」

「…私を幸せにできるのは
彩だけ…
彩にしかできひんよ?
結婚なんて形いらへん
彩がずっと側にいて
愛してくれるなら
そんな形欲しくもない…」

「…子供やって
作られへんで」

「…っ」

「それが辛いやろ
ずっと言ってたやん
子供が好きな姉ちゃんは
自分の子供を…」

「小さい時な
そうやって
将来のこと考えてる時
想像してる相手は
彩やった
1人で寂しい時
側にいてほしい人は
彩…
私の全ては彩やで?」

胸を思いっきり捕まれた気がした
たまらなくなって
姉ちゃんを押し倒した
床に広がる髪
少し赤い頬
潤んだ目
全て、全部、全部俺のや

「…姉ちゃん」

「美優紀がいい…」

「美優紀…」

おでこにキス
目にキス
鼻にキス
頬にキス
顔中にキスをしていく
少しでもたくさん
愛が伝わりますように





「ん、んぅ
彩…?
どこ…?」

脱ぎ散らかした服から
彩の上着だけを羽織ると
部屋の端で
窓から空を見上げてた

「さや…ッ!!」

「っ…父さん、母さん
ごめんなさい
傷つけちゃって
俺のせいで…
俺がいたから…」

さっきまで
頼りがいがあった背中
自信があった
それやのに今は
震える小さな背中
私は抱きしめた

「っ…美優紀」

「1人で悩まんとって
一緒に悩んで
1人にならんとって
一緒に連れてって
側にいてや…」

「…美優紀
ホンマに後悔しん?
俺が今から言うことは
きっと美優紀のことを…」

「私は彩がいればいいから
それ以上言わんとって!」

「美優紀…」

「彩…大好きっ」

「っ…俺もっ

ふぅ…美優紀










2人で…遠くに行こう」