「あーだるかった…」

「緊張しました
皆先輩やし…」

「それ以前の問題やろ
女なんかてきとーに
すればええのに」

「僕には無理ですよー」

「チェリーくんには
刺激が強いか」

「むっ」

「悪いって
ほら、送ったるから乗りや」

「いえ、今日は寄りたい所あるし
お疲れ様でした」

「そうか?じゃあまた明日な」

先輩はバイクに乗って
去っていった
合コンだなんて僕には無理だ
百先輩みたいになりたかったな
そりゃ皆さん綺麗で
気になった人もいたけど
でも僕なんか…

「なぁ」

「え…うわっ」

「これ、忘れ物やで?」

さっきカラオケにいた女の人
手元を見ると
僕の愛用の万年筆が

「あ、りがとうございます」

「ううん
さっき全然話せんかったな
私は上西恵
須藤凜々くんやんな?」

「は、はい」

「その本なにー?」

「面白いもんじゃ」

「なんなん?」

「…ニーチェです
哲学者の」

「あー聞いたことある
どんな人なん?」

「ニーチェはすごい哲学者で!
残す言葉すべてがカッコよくて
代表作で言うと…あ

すいません僕」

いつもの癖
先輩にも怒られるくせ
哲学のことになると
抑えられなくなって
怖がらせてしまうことだってあった
気持ち悪いんだ僕は

「…フフフッ」

「え?」

「すごい、いい顔するな
凜々君をそんな風に
熱くさせる人の本か…
ねぇ貸してくれへん?」

「え…?」

「うん、アカン?」

「いいですけど
ぼ、僕なんかが読んだ本
あなたみたいな
綺麗な人が…」

「綺麗なんかちゃうよ
気になっちゃった
あかんかな?」

「大丈夫です」

「じゃあまた返すから
連絡先教えて?」

「は、はい」







ブーンブンブーン

「あれ?アイツ」

繁華街の近くに
バイクを止めて
コンビニに入ろうとしたら
絡まれてる女がいた
さっきの合コンでおったやつ

「おいっ!ソイツは
俺のや、離れろ」

(何や男持ちか)
(つまんね)

「ふぅ、大丈夫か?」

「…おいっ」

無理やり顔を上げさせたら
涙がたくさん流れてた

「お、おいっ
そんなに泣くことちゃうやろ」

「怖かったぁ」

「怖かったって…
こんな時間にうろつくから
寄り道なんかすんなよ」

「道わからなくて」

「マジか…」

「今日はついてへん」

「へぇ」

「あ、ごめんなさい
助けてくれてありがとうございます」

「別に大したことちゃう」

「あ、さっき
カラオケにいた方」

「そうやで
今更やな」

「フフフッ怖い人やと
思ったけど優しいんですね
お礼しないと
コンビニで何か買います」

そう言ってニコッと笑った
なんや笑った顔可愛いやん
歩き出したそいつの腕を
つかんで自分の中へ

「え?」

「お礼は…体でしてや」

いつものように低音ボイスで
甘く囁いた
これで落ちない女は…

バチンッ!!!

「ってぇ!…なにすんねん」

「…最低です
私、そういう人
大っ嫌い!!!!」

「お、おいっ

なんか嫌われてもうた」