「姉…ちゃん」

あの時の顔が忘れられない
近くで見た顔
去る時の表情
全てが俺の頭を支配する

「…か、さやか、彩っ!!!」

「っ…あぁごめん」

「おいおい彩
大丈夫かぁ?
もうすぐ試合やのに」

「大丈夫や
どしたん?」

「あぁこのスタメンやねんけどなぁ」

(吉田ぁー)

「あ、はいっ」

(何か西高校の人が
来てるけど…)

「っ…返してもらって」

(お、おぉ)

「どうしたん?
西校って前対戦したとこやんな」

「そう…前に対戦してから
その、告白されちゃって」

「ッ!?」

「へぇー朱里モテるんやな」

「やめてや
そんなんちゃうって
断ってるんやけど
しつこくて」

「俺が言おっか?」

「ええよ彩
何とか出来るし
それに…何かもういいかなーって
思うとこもあって」

「え…」

朱里はそう呟いた
横の上西を見ると明らかに驚いてる
でもすぐいつものヘラヘラ顔になって

「ええんちゃう?
朱里に初カレ?
恋愛のことはこの恵様が
教えてあげましょう」

「…いらんわ
ごめん彩、行ってくるわ」

「あ、ちょっと朱里…
はぁ、ええんか上西」

「何がー」

「朱里、ホンマに行っちゃうで」

「気にすんなって」

「言わへんと後悔するで」

「…お前に分からへんよ」

「あ?」

「何もない…」

「お、おいっ

分からへんよ
お前のは…お前の気持ちは
おかしくないやんか…」




「あ…」



(ほ、ほんまに!?)

「デートだけ
まだ付き合うとか
考えれない」

(それだけで十分や!ありがと!)

「フフフッ」


「何やねん
ええ感じやんけ…」

幼なじみの朱里
いつもお節介で
うるさくて
母親みたい
でも、ホンマはめっちゃ強がりで
意地っ張りで
泣き虫
それをよく知ってるから
ずっと側におろうって
でもそれが使命感から
自主的な気持ちに変化
好きって思った…
勝手に自惚れてたのかも
しれへん…
朱里は俺のとこにずっとおる
離れるなんてありえないって
…そんなことがありえへんのに、

「弱いなぁ俺」

「強いひとは
弱いところを理解してる
そう思いますよ」

「出たな
りりすけ」

「先輩にお姉ちゃんしかないように
お姉ちゃんには先輩しかないですよ」

「さんきゅ、でもそれは
過去のことや」

「違いますよ
お姉ちゃんは…」

「優しいな…昔から
でももうええねん
ありがとな」

「先輩…」