(お母さんおめでとう)
(おめでとう)
(ありがとう彩、あなた)
ピンポーン
(俺が出るよ)
忘れもしない
あの日
お母さんの誕生日の日やった
刑事やったお父さんがやっと休みをとって
家族水入らずでお祝い
ケーキを食べて笑いあうはずやった
バンッ!!!
(なんの音っ!?)
(お父さん?)
二人で慌てて玄関に行く
すると玄関には血だらけの
お父さん
(お父さん!!!)
(お金ちょーだい)
(お前…誰や!)
(うるさいから撃っちゃった)
笑い出す男
家の外から
拡声器の声
逃走中の犯人らしい
(お金ちょーだい)
(ふざけんなっ!)
(うるさいなぁー)
家の外がうるさい
警察が囲んでるみたいや
こいつも捕まるはず
(逃げても無駄やで
もう警察が)
(つまんないなぁー)
(お父さんをよくも…)
(…うるさい)
犯人の銃が俺に向いた
次の瞬間…
バンッ!!!
何が起きたかわからない
目の前で取り押さえられる犯人
倒れてるお母さん
俺をかばおうと前に出た時が
ちょうど警察が犯人を撃とうとした時で
お母さんが撃たれた
(お母さんっお母さん!!)
(…)
(うわぁぁぁ!)
両親は死んだ
犯人は逮捕されたが
精神異常を訴え
裁判所で比較的軽い判決やった
でも俺は見た
証言台では何があったかわからない
とか言ってたくせに
退廷するときに
笑ったことを…
許せなかった
優秀な刑事の父
優しい母
なんで二人が死んで
こんなクズが生きてるんや?
おかしい…ふざけてる…許せない
そこから俺は刑事になり
狙撃手として訓練を受けた
「彩、今日はいつにもまして
機嫌が悪いな」
「いや…この季節になると」
「思い出すんか…先輩のこと」
ボスこと高橋南さんは
俺の父さんの後輩で
家族ぐるみの付き合いやった
俺が刑事になるまでそして
なってからも支えてくれてる
「ボス…俺は何と言われても
自分の考えを変えることは
ありません
俺は…許せないんです
あの時撃った狙撃手も
自分もみんな」
「…そうか」
「…」
「みるきーとどうや」
「どうって
あいつはめちゃくちゃで
着いていけません」
「憧れへんか?」
「え?」
「俺は尊敬してる
やり方はめちゃくちゃやし
やめてほしいって思うけど
でもあそこまで被害者のこと
考えれるってすごいことや
救うだけの技術も持ってる」
「…たまに」
「ん?」
「いえ、なんでもありません
俺データの処理あるんで
失礼します」
「そうか」