夢を見た
知らない世界でただ一人
真っ暗やった
でも出口みたいなのが見えて
そこに進もうとした
何も感じない
まっすぐすすんだ
でも何かが後ろにおれを引いた

女の人やった
きれいな人や
その人が泣いてる
きれいな涙を流すんや
それを見たとき体が動いた
泣かないでほしい
笑ってくれ
走り出した
もうちょっとのところで足を取られる
ここで終わりなんか
すると女の人が手を差し出した
笑っていた
誰かわかった
俺の愛する人や
美優紀さん…あなたを一人になんか
しない



「ん…美優紀、さん?」

目を覚ますと
俺の上に頭をおいて眠る
美優紀さんがいた
どうやら病室で
俺の手術は成功したらしい

「乗り越えたんですね…」

頭をなでると少し
頬が緩んだ

「美優紀さん…起きて」

「ん…彩?
…彩っ!」

「おはよ美優紀さん」

「体は?大丈夫?
おかしくない!?」

「大丈夫
最高の調子ですよ」

「そっか…よかった」

「ありがとう美優紀さん」

「彩っ」

抱き着いてきた美優紀さんの
背中に手を回す
しっかりと華奢な体を抱きしめた

「ありがとう
助けてくれて」

「彩、一回心臓止まってん
でも、あきらめたくなくて
消えてほしくなくて
必死にそしたら戻ってきてくれた」

「ごめんな怖い思いさせて」

「ホンマや
生意気やで!」

「ごめんごめん
美優紀さん」

「なに?」

「手術終わったら
言おうと思ってたことがある」

「ん?」

「俺と一緒に暮らして」

「え…」

「結婚はまだ待ってほしい
俺が美優紀さんに
追いつけるまでは
でも一緒にいたいんや
たまにしか帰ってこないやろうけど
でも美優紀さんと帰る場所は
同じがいいんや」

「…フフッ
結婚できるんかなぁ
私は
明日から手術の予約いっぱいやし
ますます腕あげるけど?」

「上等や…追い越したるねん」

「期待してる…」

「美優紀さん」

「あ、私約束守る
主義やから」

「え?どういう…ンッ!?」


(熱烈なキスで…)

手術前に言ったこと
ホンマに強がってるくせに
真っ赤やで
美優紀さん
ホンマに助けてくれてありがと






1年後
(お願いします!渡辺先生に!)

「すいません
渡辺は手術の予約が絶えなくて…
あ、渡辺先生」

「明後日の午後にしましょう
カルテを見ましたが
できる状態ですし
早いほうがい
お任せください」

(あ、ありがとうございます!)

「あぁ先輩
明後日って休みじゃないですか
またなくなりますよ?」

「ええやんやることないし」

「山本君怒りますよ?」

「帰ったら謝るから」

「まぁ山本君も休み減りましたもんねー
いまじゃ結構人気じゃないですか
若い女の子に」

「むっ…」

「雑誌にも出ちゃったし
話題のイケメンドクターやってー」

「腕がついてきてへん」

「またケチつけてー
でも腕も上がってますよ?
先輩が一番知ってるじゃないですか」

「はぁ」

「結婚間近ですか?」

「さぁねー
あ、休憩終わりや
朱里あとよろしくー」

「あ、ちょっとぉー!」



「山本」

「あぁ渡辺先生」

「お疲れ
はいコーヒー」

「ありがとうございます」

「無理したらアカンで?」

「あー先生にそれ言われるなんて
終わりですね」

「なんやとぉー」

「大丈夫ですよ
腕あげて
結婚式盛大に上げへんとね」

「まだ結婚するとか言うてへんし」

「この前寝る前に
早く山本になりたい
言うたくせに」

「ハァ!?あれは…」

「照れてるのも可愛いな
美優紀っ」

「アンタなぁ
先輩なめるのも
ええ加減にっ…ンッ」

「よし午後もがんばれそうや
じゃあ後でな
今日の夕飯カレーがええなぁ」


「なんなんあいつっ!
むかつくし…

はぁあそこのスーパー
今日安売りしてたっけ?」


END