オペが始まった
深呼吸をして
メスを入れていく
思っていたより落ち着いていて
自分でも驚いた

「ブランクあるのに
このスピードさすがやな」

「愛菜も腕あげたな」

「そりゃあ医局長ですし」

「そーやった」

「忘れるなや」

「フフッ」

「うん傷もないしいい感じや」

「そうやな」

彩の顔をのぞき込むと
優しい顔で目を閉じてる
早く会いたいな
会ってお礼言って
褒めてもらうんや
頑張ったなって
そして伝えるんや
これからもずっとそばにいてって

「よし、じゃあ次は
この部分を」

最後の腫瘍を切除しようと
メスを入れた次の瞬間

ブシュッ!!!!

「あ…」

「出血か!?
やばい止血や
吉田ガーゼと管子!」

「なんで…」

手術にミスはない
茉由の時のようなことは
起きないはずやのに!

「みるきー!しっかりしろ!」

「無、無理や…」

「みるきー!」

「やっぱりするべきちゃうかった
他の先生に任せて
それやったら…」

「吉田これ押さえてて
ったく…ええ加減にしろ!」

バチンッ!!

「ッ!!!!」

「今は昔と違う!
山本の命の炎はまだ燃えてる
勝手に消すな!」

「でも私には!」

「せっかく山本が命かけたの
無駄にするんか
逃げるんか!?
山本にも顔向けできんくなるで!」

「…」

「渡辺止血や」

「…」

「渡辺!!!」

「…わかった
朱里、代わる
もっとガーゼたくさんと
縫合用の糸頂戴」

「わかりました」

「愛菜止血は私がする
摘出を頼んだ」

「おう」

「あきらめへんで」

止血を必死にする
どれだけ押さえても出てくる血
お願い止まって…

「摘出できたで出血は?」

「まだ続いてる
でも、収まってきてるから」

「よし…それくらいならもう」

「これで大丈…」

ピィーピィーピィー!!

「なに!?」

(心配停止です!)
(輸血が間に合いません!)

「彩っ」

やっと血は止まったのに

「先輩電気ショックです!」

「よし…離れて!」

ドンッ!!!
ピィーピィーピィー!!

「もっと上げて
離れて!」

ドンッ!!!
ピィーピィーピィー!!

ピィーーー

「アカン…」

「これ以上してももう…」

体の力が抜ける
私は無力や
結局彩も助けられない
また大切なものを


失ったんや