「美優紀なに食べたい?」

「…カレー」

「そうか
カレーええな
カレーにしよ」

「うんっ」


家に帰って
キッチンでカレーを作る
美優紀を見ると
おもちゃで遊んでる
大人しすぎるよなホンマに…

「美優紀ー手伝って欲しいんやけど」

「なにー?」

「玉ねぎの皮むいてくれへんか?」

「うんっ」

美優紀は玉ねぎの皮を剥く
私は他の材料を切る

「しゃーかっ」

「ん?」

「目がいちゃい!」

「そうや玉ねぎは
目が痛くなるねん
美優紀泣いてみな?」

「…いや!」

「痛いままやで?」

「…ック、ック
うわぁぁん」

「よしよし
美優紀はええ子や」

「美優ええ子?
何で泣く子は悪い子なんよ」

「ちゃうよ美優紀
泣くのは悪いことちゃう
いっぱい泣いたら
痛いことなくなるんや
目、痛いの治ったやろ?」

「うん」

「美優紀…
苦しい時悲しい時は泣いたらええ」

「…」

「よしじゃあカレーを…」

ギュッ

「美優紀?…あっ」

「ック…ック
何でパパ死んじゃったん?
何で美優1人にするんよぉ…
お仕事終わったら
優しいパパになるって
言うたのに
美優ええ子で待ってたのにぃ
ック…うわぁぁんっ」

「美優紀…
大丈夫や、美優紀
1人ちゃう
私がおる
私がアンタのパパにでも
ママにでもなってやる」

「ック…うわぁぁん」

美優紀はしばらく
泣き続けた
でもすぐ泣き止んだ
美優紀の我慢してることに対しては
少ない涙や
もっと泣いてええのに
もっとわがまま言えばええのに
なんでこの子はこんなにも
物分りがええんやろうか…


「美優紀カレー美味しい?」

「うん美味しいっ」

「それはよかった」

「しゃーか」

「ん?」

「しゃーかのお仕事は
ギター、がちゃがちゃ?」

「あぁそーやで
ギター弾いて歌うのが仕事」

「美優見たいっ」

「…よしっ
弾いたるから見とけよー」

ギターを弾いて歌を歌う
いつもより心を込めて
こんな小さな子に
ラブソングは分からんやろうけど
ニュアンスで分かればええやろ

「…どうや美優紀、あ」

「スースー…」

「寝ちゃったか
…よいしょっと」

美優紀を抱えると
いつもより重くなってる
寝てる時は重くなるって
ホンマなんやな

「しゃー…か」

「…寝言か」

美優紀は苦しそうな表情
毎日悪夢にうなされてるらしい
私は少しでも楽になるように
手を繋いで頭をなでる

「うぅ…んー」

「大丈夫やで美優紀
アンタのことは
何があっても私が守ってやるから
だから美優紀


自由に生きるんや」