「彩なに言ってんの!」
「この人らは
美優紀のこと愛されへんやん!
私なら」
「彩!子供育てるって
簡単なことちゃうねん!
一つの命を預かるねん
そんな気持ちで」
「確かに今日あったばかりや
でも、私は美優紀と生きていきたい」
「彩アンタまだ酔ってるんや
いいから一回…
ふぅちゃん」
「お姉ちゃんええんとちゃう?
彩ちゃんは美優紀ちゃんのこと
幸せにできると思うよ
あの人らよりは」
(黙って聞いてたらアンタら一体…)
「隣の部屋での会話
全部聞こえてましたから
お金のことはご心配なく
彩ちゃんの貯金すごいんで」
(っ…失礼します!!)
「ふぅ…お姉ちゃん
彩ちゃんのこと信じようや
知ってるやろ
彩ちゃんは一度自分から
やるって言ったこと
ちゃんとしてるやん」
「でもなぁ…」
「私たちが支えよ?」
「…」
「ママー柊ちゃんは
美優紀ちゃんと
お友達になりたい!」
「はぁ…もぉ
好きにしぃや」
「やったぁ!
美優紀っ」
何が起きてるのか
よく分かっていない美優紀を
私は抱き上げた
「私と一緒に暮らそう!」
「…なんで?
美優、おかねもってないよ」
「お金なんかいらんわ」
「?」
「美優紀がいたらええよ」
「お姉ちゃん?」
「ここが今日から
美優紀の家やで」
「おおきい…」
「最上階ではないけど
なかなかええとこやで」
「よし入って」
「…お邪魔しましゅ」
「ちゃうで美優紀
ただいまやで」
「ただいま…?」
「そうやただいまや」
「ただいま…」
「おぅお帰り」
そう言ったら
少しだけ笑ってくれた
「お姉ちゃん」
「…彩や」
「しゃーか?」
「さ、や、か」
「しゃあか?」
「サ行苦手みたいやな
まぁちっちゃいしそれでええや
これからは彩でええよ」
「しゃーか、しゃーか!
はぅ…」
「どうした?」
「しずかにしないと
怒られりゅ…」
「怒られる?」
「パパがいないときの
かしぇいふしゃん
がうるしゃくしたら
パチンッすりゅの」
「っ…」
そうか
美優紀が礼儀正しいというか
子供らしくないのは
しつけができてるんじゃなくて
恐怖から来てるんか
私はギターを取り出し
アンプにつけて
思いっきり鳴らした
「うわぁぁ!」
「ここはな防音って言うて
静かにしなくても
大丈夫やねん
だから気にしなくてええ」
「…うんっ」
その時の美優紀の笑顔は
少しだけ子供やった