「愛菜君ジュース買ってきたで」
「ありがとう」
部屋に戻ってから二人
少し距離がある
仕方ない愛菜君は私が怖いんや
「菜々さん」
「ん?」
「温泉街行きませんか?」
「え?」
「少し歩きますが
たぶん楽しいと思う」
「いいなぁ
じゃあ皆を」
「あの!俺は
菜々さんを誘ってます…
皆じゃないから
ほら…行きましょう」
少し足早に
部屋を出る愛菜君
これって…デートやんな
菜々さんを何とか誘った
温泉街のことは
優紀が教えてくれた
(愛菜)
(ん?)
(少し歩くけど
温泉街がある
恋人たちであふれてるし
少しは空気に飲まれるやろ)
(無理や…俺は)
(愛菜風呂でも言ったけど
無理ちゃう大丈夫や
好きならなんとでもなる
怖くない…頑張れ)
怖くないそうやな
「わっ…うまくできひん」
「貸してください」
パンッ!
「すごい愛菜君!」
(お兄さんすごいなぁ
ほら彼女さん景品
でも、お兄さん彼女さん可愛いねぇ
俺ももう少し若かったらなぁ)
「おじさん
やめてやぁ」
可愛い
そうや菜々さんは可愛い
誰かに盗られることやって
あるかもしれへん
盗られるっていうか…
いなくなったら
「愛菜君
これ可愛いなぁ」
「そうですね…」
「…楽しくない?」
「え?」
「こんなカップルばっかりのとこで
居心地悪くない?
無理せんでええよ?
誘ってくれたの嬉しかった」
「菜々さん…」
「んー?」
「俺はあなたが好きです」
「え…?」
「好きですから…
えっと…こっちです!!」
「あっ…ちょっと
愛菜君どこ行くんよ!」
「はぁはぁ…せっかく温泉
入ったのに
汗かいちゃった…」
「愛菜君?」
「ここなら誰もいない
よし…」
ゆっくり菜々さんに近づく
怖くない…大丈夫や
あともうちょっとで
キスでき…
「やめよ…」
「菜々さん…」
「震えてる
怖いんやろ?
気にしなくてええから
いつか…あ
なんでやろ
悲しくないのに
なんで涙出るんやろなぁ
変やな…」
「…俺は
あなたにふさわしいですか?
今みたいに泣かせて傷つけた
そんなの幸せにできひん
だったら」
「いなくなるん…
そんなのお母さんと一緒やで」
「っ…あ」
その言葉で気づいた
菜々さんは俺より絶対
怖かった
待つって言って
我慢してくれたんや
不安やったんや
そう思った不思議と
触れたくなった
菜々さんの腕を引いて
抱きしめた
「愛菜君…」
「ごめん
いなくならへん…
離れない
離れられないんや
大好きです…ホンマに菜々さんのこと」
「愛菜君…」
「今度は気絶しませんからね」
「…ここで気絶されたら困るン…ッ」
「…好きやで菜々」