「入って」
「はい」
吉田さんの家に来た
一人暮らしらしく
部屋は少し散らかっていたけど
気にならないものやった
「コーヒーどうぞ」
「どうも…」
「…あのさ最近さ
なんか避けるやん
それはなんでなん?」
「そんなこと…」
「してないっていうん?」
「いえ…俺は」
「上西君変わったやんな
最初は先輩のこと嫌いやったのに
今は指導医になってもらって
すぐ気変わりするんやろ」
「そんなことない!
なんなんよ」
「…私のこと
もぅ好きちゃうんやろ!」
「…え?」
「遅かったやんな
でも、私は上西君が好き」
「…」
「好きです」
「…俺、金持ちちゃうで?」
「ええねんもぉ
好きになったから」
「そっか…ありがと」
「上西君?」
「吉田さん
俺の彼女になってください」
「…はい」
「あぁー夜勤しんどいなぁ
そろそろ仮眠行くか
渡辺先生起こさへんと」
仮眠室に入ると
渡辺先生がねていた
別に起こす必要はない
でも…なんか触れたい
頬を撫で頭もなでる
規則的に聞こえる呼吸音
顔を覗き込むとやっぱりかわいい
「先生起きてください…」
「やだ…」
「ちょ、ちょい」
「がんばー」
「無理ですって」
「えぇーやだぁ」
先生は俺の袖を掴む
俺は先生を抱きしめた
「ここ病院」
「うん…でも我慢できなかった」
「アホやな…」
やっぱり少しは変わったんかな
先生が俺の背中に手を回してくれてる
呆れてはいるけど
でも、ちゃんと回してくれてる
「俺…幸せや」
「大げさ」
「そんなことない」
「ふーん
彩寝るん?」
「寝ますよ
今のうちに仮眠しとかへんと」
「じゃあ私が見とくわ」
「ありがとうございます」
「ううん大丈夫」
先生は俺の腕から出ると
大きく伸びをして
タバコに火をつけた
「タバコ美味しいんですか?」
「美味しくなんかないで
でも色々あってから
頼らんとやっていけんくなって」
「じゃあ禁煙できますね」
「は?」
「だって今は俺がおるから
そんなんに頼らんで
俺に頼ったらええ」
「…生意気」
「そうですよね」
「でも…嬉しい
ありがと」
先生は優しく微笑んだ
また胸が高鳴る
この人は何回俺をドキドキ
させるんやろうか…
「美優紀さん」
「ん?」
「…キスしてもいいですか?」
先生は俺を見つめて
だんだん近づいてきた
俺は身構え目を閉じた
先生の腕が俺の首に回る
心臓のドキドキがやばい
先生の匂いが強くなった
くる…
「今は…アカン」
「え…」
「フフフッ」
先生はいたずらっ子みたいに
笑ってから
部屋を出て行った
「はぁ…
アカン、めっちゃ好きや」