先生を抱きしめると
思った以上に小さかった
いつも完璧で大きく見える
でも白衣を脱いだらこんなにも
小さく華奢な女性なんや

「離してや」

「いやです」

「アカンねんホンマに…」

「泣くからですか?」

「…」

「泣いたらいいじゃないですか
俺、深いこと知らへんけど
でも、先生のこと尊敬してるし
ホンマに好きなんです
だから支えたい…
先生を一人で苦しめたくないんです」

「なんも知らんやろ?
そんな軽いもんと…」

「俺は真剣です!
真剣に先生が好きです
真剣に支えたいって思ってます」

「分かってへんよアンタは
何にも…
私はそんな許された人間ちゃう!
殺したんや実の弟を
たった一人の家族を…
殺し…っ」

「殺したっていうな!
それはわざとすることや
自分を犯罪者みたいに
思わんとってくださいよ…」

「…っ」

顔を見て笑いかけると
先生の大きな目から
涙があふれ出た
俺はその顔を見つめる
こぼれる涙をぬぐっては
大丈夫っていう
きっと誰かがこうせぇへんと
アカンかったんや




「はい保冷剤
明日腫れちゃアカンから」

「…ありがと」

「いえ…」

ソファーに二人座る

「ごめんなこんな時間まで」

「そんなん気にしないでください…」

「ホンマに君はお人よしっていうか
都合いい男になるで」

「なんですかそれ」

「…なぁあほなこと聞いてええ?」

「ん?」

「もし山本君が私のこと
好きじゃなくても
同じことしてくれた?
…ううん何言ってるんやろ忘れて?」

「しましたよ」

「え…」

「わかんないけど
先生にはすると思う
ほかの人じゃしないけど
先生なら絶対
だって先生は笑ったほうが綺麗やもん」

「…私、君みたいに
100%の愛伝えられへんよ
急に泣くかもしれへんし
素直にならへん
めんどくさい奴やで?」

「それを知って好きやって言うてるんです」

「山本君…
付き合ってもええよ」

「え…?」

「君といたら
前に進める気がする」

先生はそう言うと
ぎこちなく笑った

「せんせ…美優紀さん
俺が一緒に進むから一人にせんから
だから安心して
美優紀さんは美優紀さんのままで
いてください」

「…ホンマに都合のええ男や」

「まぁいいですよそれでも」

「もうちょっと待って
落ち着いたら
何があったか言うから
だから…」

ギュー

「待ってるから」

「ありがと…彩」