ピンポーン
ガチャ
「はい…山本?」

「見ないで出たんですか?
危ないからやめてください」

「見たら出んかった」

「うっ…」

「何の用?」

「大丈夫かなって
今日休んでたから」

「大丈夫やから」

「あ、でも…」

「はぁとりあえず上がれば?」







「夜勤ってしんどいなぁー」

「よぉ上西
これコーヒー」

「さすが福本先生
ありがとうございます」

「なんやそれ
ふぅ…どうや仕事なれたか?」

「まぁ学ぶこと多いけど
楽しいかなって
渡辺先生のおかげですよ」

「渡辺がねぇ
なぁ上西
メスを持てない外科医って
どう思う?」

「渡辺先生は…」

「渡辺とは限らんと
普通に聞いて正直な感想を」

「…最初はやっぱり変やと思いました
もたれんのならすんなよって
でも、この仕事知って行くうちに
分かったんです
命に向き合うのは綺麗ごとで済まないんやって」

「…そうか
俺も同じ風に思うんや
持てないんや頑張っても
本人も苦しんでる
だから分かってやってくれな?
まぁ今の上西は分かってくれるって信じてる」

「はい」

ガラガラ

「福本先生ここに
いらっしゃったんですね?
カルテ持ってきました」

「ありがとう朱里
相変わらず仕事早いな」

「そんなこと…」

「初めは全然できひんかったのに」

「そうでしたかー?」

「そうやで
成長したわ」

「そんなことないですよ」

「ん?どーしたんや上西
いつもならもっと騒ぐのに」

「そうでしたっけ」

「どうしたんや?」

「なんもないですよ
じゃあ俺休憩終わりなんで」

ガラガラ

「朱里?なんかあったんか?」

「なんもないですよ
勝手に向こうがキレてて
意味わかんないですよね
後輩のくせに」

「ホンマにむかついてるんか?」

「えぇ」

「じゃあなんでそんなに…泣きそうなんや?」

「…」

「朱里?
卵がかえるには
温めへんとあかんねんで」

「…はぁ」