高層タワーマンションの最上階に
エレベーターが止まった
こんなところに住んでるんや
「入って」
「あぁうん」
部屋は綺麗やった
きれいって言うか
なんか必要最低限のものしか
おいてないって感じかな
ここで生活してるんや
「風呂入ってくる
適当にくつろいでてええから」
「あぁうん」
リビングを見渡すと
KEIのポスターが一枚だけ張られていた
かっこええなやっぱり
なんとなくすることなくて
テレビをつける
しばらく見てたらKEIが出てきた
「あったまった
お待たせ」
「ううん」
「よっと…」
ソファーの隣に座るKEI
横顔を見るとあのポスターと一緒で
芸能人なんやなって思う
「芸能人ってやっぱり
自分のポスターとか貼るんやな」
「いや、普通は貼らんと思うで」
「じゃあやっぱり
ナルシストなんやな」
「…分からへんくなるねん」
「え?笑い方とか全部
どうやってたっけって
嘘みたいやろ?
でも、ホンマや
芸能人として最悪やけど」
「なんでなん?」
「俺、養護施設で育ってん
親が俺をゴミ箱に捨てて」
「え?」
「俺のことゴミやってん
その事実知ったとき
俺はだいぶふさぎ込んだけどさ
でも、見返してやろっておもって」
「待ってでもプロフィールには
てか前の母の日のイベントにも
お母さんへの手紙書いて…」
「あれはネットで調べてん
ええエピソードないかなって」
「そんな…」
「芸能界はいって
それなりに人気でて
でも、むなしくて仕方なかった
俺が笑いかければ周りは嬉しそうに
俺のためにって色んなことして
飾ってホンマの自分を見せてくれへん
だから朱里が初めてやってん
ぶつかってくれたひと
だから惚れたんや」
「…」
「やめよ
てか今の全部うっそ…」
「ずっとそうしてきたん?」
「え?」
「今みたいに嘘にして
ホンマの気持ちかくして
ホンマの自分になられへんのは自分やろ
アンタが仮面かぶってるからやろ」
「いってくれるな」
「当たり前やろ
これくらい言わな分からんみたいやし」
「ばれてるわ」
「なぁ朱里のことホンマに好き?」
「え?それはー」
「真剣になって」
「…好きやで
うまくいくか分からへんけど
でも気持ちはホンマ」
「…じゃあ私も真剣に
KEIの気持ちは嬉しい
でもまだお互い知らへんし
そういうの
大切やと思うからだから
…友達から始めよ?」
「振られた?」
「ちゃう…考えたい
KEIのこと好きやで
ずっとファンやったし
でもそれやから付き合うのって
なんかちゃう気がする
朱里が芸能人のKEIを求めたら
ホンマのKEI見られへんもん
だからホンマのKEIが見たい
なぁ名前なんて言うん?
芸名じゃなくて」
「…上西恵」
「わかった恵
ありがと」
「…あーやばい」
「え?」
「なんか
地味に嬉しくて…」
「地味ってな…」
「っ…っ」
「…はぁよしよし」
朱里は恵の頭を撫でた