(ちゃんとしてくれんと
困るで)
「すいません」
担当医は厳しい先生
っていうか俺のことが嫌い
めっちゃまじめやから
俺のチャラついた見た目が
気に食わんみたい
「やること間違えたかな」
俺の家は
ずっと医者の家系で
病院を継ぐために
俺も医者になったけどホンマは
もっとちゃうことしたくて
「渡辺先生待ってくださいよ」
「急いでるから」
「あぁーもぉ」
何やかんや彩は楽しそう
最初は渡辺先生のこと
なんやねんあいつーとか
すげぇ思ってたけど
よくよく考えれば
けっこう俺らのこと
助けてくれてて
口は悪いけどいい先生
「俺も…渡辺先生が
よかったかもなぁ」
「上西君?」
「吉田さんや!」
「元気ない感じに見えたけど
そんなことなさそうやね」
「え?あぁ俺はいつでも
元気ですよー!
どうです?今晩ごはん…」
「今日は合コンやから
弁護士さんたちと」
「むっ…俺やって
医者の卵ですよ」
「卵のままかえらんかったら
意味ないやん」
「うっ…」
「ほら新人は
現場に出るのみ
頑張って」
「はーい」
結局こんな感じ
自分では頑張ってるつもりやけど
何もできてへん
確かにかえらんかったら意味ない
俺はかえれるか?ちゃんと
「そこ邪魔」
「渡辺先生…」
「ここで死んだ面やめて
患者さんの居心地最悪やから」
「すいません…」
「珍しいやん
あんたが不機嫌ならへんの」
渡辺先生は
煙草に火をつけながら
問いかける
「別に確かにホンマのことやし
渡辺先生の言うことは
正しいって思ったから」
「面白い顔してんな」
「は?」
「心折れたって言うか
メンタル弱すぎ
山本みたいなメンタル
まぁあれは変やけど
それくらいしたらええやん」
「彩?」
「私には関係ないけど
アンタにとって今のスタンスで
進めばしんどいだけ
もっと正直に
自分勝手になればええねん」
「自分勝手?」
「アンタ自分は
悪やみたいな感じおるけど
アンタが一番まじめでちっさい」
「…」
「ふぅ…午後の診察や」
「渡辺先生」
「ん?」
「先生ってなんで
そんなに強いんですか?」
「強くない
強く見せてるねん私は
メスを持てない外科医は
滑稽でしかない」
「…」
「福本先生」
「おぉ上西か」
「あの担当の先生変えてほしいです」
「山田先生は無理やって
山内先生も悪い人じゃ…」
「渡辺先生はだめですか?」
「え…?」
「お願いします」
「ハハッ…ええよ」