「あータバコ切れた」

今日は仕事が夜からで
家でくつろいでテレビ
でも、すぐに消した
テレビの中で
気持ち悪い笑顔で笑う俺
作り上げたKEI
皆の王子様
そんなわけないのに

「散歩でも行くか」

変装をして
町へ出た
色んな所に
俺の写真がある

(KEIかっこええなぁ)
(彼女になりたい!)
(めっちゃ好き)

ブスが何言うてんねん
俺と付き合いうなんて
百年早いわ
女たちが見上げてた
俺の看板

「お前…なんで笑ってんねん」




また色々歩く
少しでも気持ちが晴れれば

「あれ…アイツ」

「やめてください」
(君可愛いからいけるって)
「興味ないですから」
(ええやん)

「あーあ
俺にはあんなに言うたくせに
全然やん
しゃーないなぁ

おいおっさん」

(なんやお前)

「お巡りさんが
不審者でたって探し回ってるで
やばいんちゃう?」

(あぁ?…ッチ)

「はいさいなら

よぉー無事か性悪女」

「アンタ…何してんの」

「散歩息抜き
まぁそれより俺様に…」

「ありがと
じゃあ」

「は?お、おい待て」

「なに?お礼言うたで」

「いや何も言わへんのか?」

「ないよそんなん
じゃあ」

「だから待て…」

シャリンッ

「何か落とした…あ」

女が慌てて拾ったのは
俺のファンクラブのキーホルダー

「なんや!お前俺のファンか
照れ隠しか?
俺様を目の前にして」

「勝手なこと言わんとって」

「は?お前…なんで泣いて」

「私、アンタなんか大っ嫌い…」

(大っ嫌い)
(生まなきゃよかった)

「あ…」

ガシッ
「何、離して」

「悪い…」

「え…どうしたんよ急に」

「…」

「…言い過ぎた
よく考えたら
そんなんよく知らん奴に言われたら
嫌やんな
KEI…さん」

「え」

「仕事頑張ってください
貴方の笑顔で救われる人
いるから
だから笑って?」

「…」

「さよなら」


体が動かない
女の姿が遠ざかる
(笑って?)
そう言って微笑んだ女
凄く綺麗やと思った
胸が早く動く
俺まさか

「アイツに…恋、した?」