「しまっていくでー!!」

「おぉー!!」

今日は甲子園地区予選決勝
大事な試合
部員みんな今日まで
練習頑張ってきた
勝ってほしい
ただそれだけを願った

前半は
お互い0対0

「皆練習の成果出てるなぁ」

「頑張ってたもんなぁ」

「…」

「みるきー?どうしたん?」

「いや…気のせいかな…
先輩なんか調子悪い?」

「彩?そう?
いつも通りな気がする」

「…」



「まーちゅーん!かっ飛ばせよー
ふぅ…ッツ!!!!
やべぇな」

「やっぱり」

「渡辺!?」

「何してるんですか?
こんな隅っこで
怪我してますよね?
見せてください」

「大丈夫やか…」

「見せて」

「おぅ」

「めっちゃ腫れてる
こんな状況で
練習も出てたんですか?」

「まぁ
でも自分でもドジやわ
こけて怪我を」

「合宿の時
私をかばったからですよね…」

「っ…
気づいてたんや」

「私のせいで…
ごめんなさい」

「何言うてんねん」

「監督に話します
今から二年の子に出てもらいます」

「アホか!俺は出る」

「アカン
これ以上は」

「約束した
これはけじめや
ホームラン打って
勝って
気持ち聞かせてくれる
忘れたんか?」

「そんなこと…」

「頼む渡辺
俺はこのために頑張ってん
頼む」

「でも…」

(彩ーチェンジやぞー)

「おぅ」

「待って」

「渡辺…」

「ホンマにしんどくなったら
私を呼んでください
助けます」

「さんきゅ!」


試合は進み
9回裏
うちの攻撃
点差は1対0
うちが負けてる

「なぁ渡辺」

「はい」

「今はピンチやけど
俺にはチャンスや
だってここでホームラン打ったら
かっこええやろ?」

「先輩…」

「渡辺待っててな?」

バッターボックスに向かう先輩の
足はうまく動いてない
たぶん折れてる
軸足やから打つ時に激痛が走るはず

ピッチャーが投げる
空振り
また投げる
空振り

「ック…」

「先輩!」

先輩が膝をついた
思わず叫ぶと
こっちを見て笑う

ラスト一球
投げた



…カキーーーーーーーン