「座っとけ」
「うん」
山本君に運ばれて
病院まで行った
治療が速くて大事には至らへん
そういうことやった
山本君は私を連れてそのまま
私の家まで来てくれた
「ほいお茶」
「ごめんありがとう
あ、そこの引き出しに」
「タオルやろ?
ほらよ」
「ありがと
なんか不思議
私の部屋になにがどこか
わかるねんな」
「なんやかんや
あんたの家泊まってるからな」
「そっか
でも、それは
全部私が迷惑を…いてっ」
「アホ、だから
勝手にしょげんなって
別にもう慣れたし
腕は?」
「ちょっと痛い
でも大丈夫やか…ッ!!」
「やっぱりな
お前の大丈夫は
あてにならへんねん」
「へへへ」
「ったく」
「ごめんな?
せっかくの遠足抜け出させて」
「別にだるかったし」
「女の子に囲まれてたやん
好きな子でもできた?」
「お節介か?
あいにく興味全くない
まとわりつかれて迷惑や」
「でも嬉しそうやったで…」
「渡辺?」
「なんでもない
もう帰っても大丈夫
今日は上西さんのとこで
バイトやろ?
頑張ってな?」
「…」
「山本君?」
「お前って嘘ついてるとき
頬に手をやるんやで」
「え?」
「何を隠してる?」
「別になにも…」
「嘘や」
「…関係ないことやからさ
ほら教師と生徒やし
特に…」
「…なんやねんそれ
俺じゃ役に立たへんのか?」
「違う!そうじゃなくて…」
「俺はお前とはそんな
くくりじゃないと思ってたけど
もっとなんか」
「ありがと
でも、ホンマに…」
「はぁ…もぉええ
じゃあな」
「うん…」
閉まった扉
その瞬間涙が出た
危なかった
伝えそうになった
伝えないって決めたのに
彼を困らすから
わかってる
きっと彼は応えようとする
それじゃあ可愛そう
「強くならないと
気持ちがあふれ出ないように」
もっと強くなって
大きくなって
私が彼を守らないと
そうじゃないと
次助けられたら
また抱きしめられたら
今度こそ
気持ちあふれ出るから